2021年03月10日

◆ 太陽光パネルの設置禁止

 再生可能エネルギー(太陽光発電・風力発電)を推進するというのが政府方針だが、実際にはそれは、制度によって禁止されている。

 ――

 日本では太陽光発電は(実質的に)禁止されている。住宅の屋根で発電するというような小規模発電なら許容されているが、それは補助金なしでは成立しないような高コストなものだ。一方、大規模発電はどうかというと、やりたくてもやれない。制度によって禁止されているからだ。
 山林については、山林を削って太陽光パネルを設置することは、原則禁止である。これは別に悪くない。禿げ山をいっぱい作ることは好ましくないことだからだ。(緑地減少では、脱炭素社会にも反する。)
 農地についてはどうか? 耕作放棄された農地ならば太陽光パネルを設置する方がマシだろう。しかし、意外なことに、これは禁止されているのだ。
 「馬鹿な」と思うだろうが、本当である。そして、これは馬鹿げたことだ。この馬鹿さ加減を、本項では指摘する。

 ――

 まず、これは私の嘘(デマ)ではない。出典として朝日新聞の記事を掲げる。
 福島県が「再生可能エネルギー100%」の2040年の実現をめざす。太陽光発電は全国首位で、風力も建設ラッシュが起きつつある。

 最大の悩みは農地法だ。パネルの支柱をつくるには農作物の収穫量を地元平均の8割に保って農地転用の許可を得る必要がある。
 この8割ルールについて政府の「再エネ規制総点検タスクフォース」では有識者から指摘が相次ぐ。「合理性がない」「撤廃してはどうか」
 これに対し、農林水産省は荒廃農地に絞って規制を緩める方向。撤廃にまでは踏み込まない構えだ。
( → 「再エネ100%」めざす福島 風車の建設ラッシュへ:朝日新聞

 ここでは農水省が再生エネの許可権限を持っている。再生エネの推進は、再生エネの担当の省庁が管理する権限を持つべきだが、再生エネとは利害の相反する農水省が(管轄外なのに)権限を持っているのだ。

 ――

 もう少し細かく見よう。
 再生エネ(太陽光発電)をやるとしたら、通常は、山林または耕作放棄地を使う。
 このうち、山林を使うのはまずいから、農水相が許可権限を持って、再生エネの利用を不許可にするのは、妥当である。そのまま山林にしておくのが妥当であるから、山林を地目変更して再生エネに当てるのは不適当である。
 他方、耕作放棄地を地目変更して再生エネに当てるのは適切である。これこそが最も好ましいことだと言えるだろう。たとえば、山面の棚田や段々畑がそうだ。こんなところに人が着て耕作するのは、(昔はともかく)今は不可能だから、太陽光パネルを置くのが好ましい。農業が不可能なところには、太陽光パネルを置くのが最善なのだ。(風車でもいいが。)
 ところが農水省は、これを不許可にする。それは、上記記事で示した通りだ。なぜか? 農水省の目的は、あくまで農業の振興である。既存の農地を多用途に転換することは、「農業の振興」という省庁の目的には適さない。だから、すでにある農地を太陽光発電のために利用するのは、なるべく拒否する。「どうしてもやりたいのなら、農業もやれ」と強制する。というわけで、
 「パネルの支柱をつくるには農作物の収穫量を地元平均の8割に保って農地転用の許可を得る必要がある」
 という8割ルールを強制する。

 これはつまり、
  ・ 農業に適した土地では、農作をする
  ・ 農業に適さない土地で、太陽光パネルを置く

 という正しい方策を否定して、
  ・ 農業に適した土地では、太陽光パネルを置く
  ・ 農業に適さない土地で、農作をする

 という間違った方策を取ることになる。
 狂気の沙汰だ。頭がイカレているとしか言えない。

 そして、こういうことになったのは、「太陽光パネルの設置の許可権限を、農水省が持つ」という、倒錯した権限管理がなされているからだ。

 ――

 どうしてこうなったか? なぜ太陽光パネルの許可権限を農水省が持つようになったか? それは、土地税制が関係する。
 土地税制では、山林や農地の固定資産税がほぼゼロ同然である。次いで、小規模住宅用の固定資産税が、大幅に減免される。
 専用住宅の敷地に供されている土地について、面積200平方メートル以下の部分に対する標準課税が、固定資産税は評価額の6分の1に、都市計画税は同3分の1にそれぞれ軽減される。
( → 小規模宅地の特例とは|不動産用語集|みずほ不動産販売

 そして、これ以外の土地は、大幅に高い税が徴収される。もちろん、太陽光パネルもそうだ。となると、現状では、太陽光パネルを設置するには、「農地」に分類されるしかない。そして、農地に分類されるからには、農地としての実態が必要であり、農水省が管理して、実際に農地として使われているかどうかを確認することになる。

 ――

 以上の本質を言えば、こうだ。
 「日本の税制では、太陽光パネルを設置するための土地税制が整備されていない。耕作放棄地に太陽光パネルを設置できるような土地税制がない。そのせいで、耕作放棄地に太陽光パネルを設置しようとすると、ものすごい高額の税が徴収されるので、実質的に、太陽光パネルの設置が禁止されている」

 つまり、日本では太陽光パネルの設置が禁止されているのである。(住宅用の屋根用を別とすれば。)
 政府は口先では「再生エネの推進」と言っているが、実際には税制によって「太陽光パネルの設置」を禁止しているのだ。

 そして、この歪んだ税制の穴となっているのが、「農地として利用すれば、太陽光パネルを設置できる」ということだ。だから、この穴を利用して、農水省は省益のために、「太陽光パネルを設置したければ、農業をやれ」と強要しているわけだ。ヤクザも同然だね。(抱き合わせ商法の押しつけだ。)

 ――

 ともあれ、こうして、物事の本質がわかった。日本政府の口にする「脱炭素社会の推進」というのは、口先だけであって、実際にはその反対のことをやっているのだ。そのことが明らかになったわけだ。

 ※ 悪いのは、自分勝手な農水省でもないし、権限を持たない環境省でもない。国としてのグランドデザインをもたないまま、各省庁が勝手に省益だけを展開する……という、政府首脳の愚かさが悪い。
 ※ マスコミもまた、同様だ。脱炭素社会というとき、細かな数値や技術には目を向けるが、国全体のグランドデザインという大きなものには目を向けない。ちょうど、世界地図において「ユーラシア」という広範な文字が目に入らないように。あるいは、日本地図において、「日本列島」という広範な文字が目に入らないように。


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 [ 付記 ]
 「山林については、山林を削って太陽光パネルを設置することは、原則禁止である」
 と冒頭で述べた。これに対しては反論があるだろう。
 「現実には、そういう例があるぞ。山林を削って太陽光パネルを設置する例はあるぞ」
 というふうに。確かにそういう例はある。
 しかしそれは、「原則禁止」というのを踏みにじった例外である。では、どうしてそういうことが起こるのか? 
 私が推測すれば、それは、「自民党に賄賂を贈ったから」である。山林を削って太陽光パネルを設置すれば、利益を得るから、地目の変更などで、何とかして許可を得たい。そのために、自民党に献金して、自治体に許可を出させるのだ。
 「そんな馬鹿な」
 と思うかもしれないが、自民党に賄賂を贈れば馬鹿なことができるということは、周知の事実である。ただし、自民党だけでなく、役人も買収する必要があるが。
  ・ 東北新社は、総務省の役人を接待して、外資規制という違法行為を見逃してもらった。( → 朝日新聞
  ・ パソナは、どこかで裏工作をして、買収価格の 10分の1という安値で土地を払い下げてもらった。( → 日本共産党

 こういう例があるのだから、土地の規制のために自治体を動かすということぐらいは、簡単にできるだろう。上記の例では「違法行為をお目こぼし願う」「自治体の財産を 46億円分も奪う」ということをやりのけている。それに比べれば、「太陽光パネル設置の許可を与える」というのは、誰にも経済的な損失を与えていない(環境的な損失を与えているだけだ)ので、はるかに容易だろう。
 馬鹿げたことでも、現実には起こるのである。無理が通れば道理引っ込む。兎角この世は金次第。
posted by 管理人 at 23:31| Comment(1) |  太陽光発電・風力 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
農業振興の目的なら
(農業関連の施設がちょこっとあるなら)
大規模の農地がショッピングモールに変わっちまった
野菜工場もすぐに許可がおりる
農業振興地域に指定されながら
大規模な配送業者の拠点に変わっちまった
どこかで大金(ポッケマネー)が動いてるに違いない
自然を保護しようとする気持ちは今の市長にはないらしい
Posted by 田舎の老人 at 2021年03月11日 13:38
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