――
大型トラックが路駐していて迷惑だ、という問題が発生している。
誰もが一度は大きなトラックが路上駐車している光景を目にしたことがあるだろう。
まだ薄暗い明け方や、ラッシュが始まる早朝に長い列をなして停まっていることも多く、中にはハンドルに足を上げて居眠りしているドライバーまでいるため、その存在はより一層疎ましく感じるかもしれない。
長時間こうして路駐をしている多くが、BtoB輸送を担うトラックだ。
( → 世間が知らない「トラックが路上駐車をする理由」(橋本愛喜) )
この原因は、トラックの側にあるのではなく、配送先の側にある。
トラックドライバーに「延着」(指定時間に遅れて到着すること)が許されないことはよく知られているが、「早着」(指定時間より早く入構すること)も許されていないということは、世間にはあまり意識されていない。
他業種においても、アポの時間ちょうどに向かうことは当然ではあるのだが、彼らトラックの場合、時間通りに着いた後、そこからさらに数時間、時には1日中、他のトラックの積み降ろしが終わるのを待たされることがあるのだ。
さらに問題なのが、その荷主の敷地内で待機させてもらえないことだ。そればかりか、先の筆者のように、「近所迷惑になるから」「混雑緩和のため」という理由で、荷主の敷地周辺ですら待機が禁止されるケースも少なくない。
こういう問題を引き起こすのは、トヨタ流のかんばん方式に基づく「ジャストインタイム」という手法だ。
→ ジャストインタイムの意味をわかりやすく解説。3原則やメリット・デメリット
この方式を用いると、企業は物流コストを徹底的に引き下げることができる。乾いた雑巾を絞るように。
しかし、企業が利益を得る一方で、公共の道路は企業の駐車場と化していく。これはつまり「公共財をタダで使う」あるいは「公共財を盗む」ということに等しい。「公共財泥棒」だ。土地代や駐車料金を払わずに、勝手に公共物を盗んでいるのも同然だ。
つまり、泥棒が「こんなにたくさん盗んだおかげで、オレは得をしましたよ。オレって頭がいいでしょう」と勝ち誇って威張っているわけだ。そういう犯罪主義の発想が、トヨタ流だ。
そして、その分、周辺住民に迷惑がかかるわけだ。
※ これを肯定する人がいたら、その人の家の前に大型トラックを一日中、駐車してやればいい。そうすれば、「迷惑」という言葉の意味がわかる。
――
これは法的に規制するべきだが、規制の方法が難しい。
・ やたらと駐車違反を厳罰にすると、普通の人も とばっちりを食う。
・ ドライバーが乗車していると、駐車でなく停車なので、違反でない。
つまり、法的に規制するのは、難しい。困った。
――
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
・ 違反の対象を大型トラックに限定する。(普通車は除外)
・ 大型トラックは、駐車だけでなく停車も違反にする。
・ 罰金を払わせるだけでなく、車両をロックする。( → 器具 )
・ ロックされた車両は遅延する。だが、荷主(納入先)は違反金を徴収できない。
最後の点が肝心だ。通常、トラックが延着すると、荷主(納入先)は「遅れた」と言って違反金を徴収する。しかしこれこそが、路駐の諸悪の根源だ。だから、このような違反金[延着への違反金]を徴収することを、法的に禁止する。
( ※ 独禁法違反か、交通法規の違反かは、法的な問題なので、ここでは言及しない。ただの立法手続きの問題なので、法律家が考えればいいことだ。)
――
以上のようにすれば、こうなる。
・ 路駐した大型トラックは、摘発される。罰金 10万円。タイヤロック。
・ そのせいで、荷主(納入先)には、品物が大幅に延着する。
・ 荷主(納入先)は、生産停止になるので、大損する。
・ 荷主(納入先)は、延着への違反金を徴収できないので、損失を転嫁できない。
・ 荷主(納入先)は、延着への違反金を徴収したら、操業禁止処分。
これにて、万事解決。
[ 付記 ]
「じゃあ、荷主(納入先)はどうしたらいいんだよ? ジャストインタイムができないと、自分の工場に駐車場と倉庫が必要になるが、そんなことは無理だぞ」
という批判が生じるだろう。しかし、大丈夫。それは「ジャストインタイムの弊害をなくす方法」ということで、すでに考慮済みだ。ググればわかる。
ジャストインタイム物流の課題を解決する方法
配送コスト増大を防ぐ方法として、「クロスドック」「共同配送」「ミルクラン」などが知られています。
( → ジャストインタイム(JIT)物流とは?メリットや問題点も紹介!|ITトレンド )
詳しくは、上記記事(リンク先)を参照。
――
ついでだが、抜本的な対策もできる。こうだ。
「今は物流費がやたらと税額軽減されていて、安上がりになっている。公共の道路を利用する料金の正当な負担を免れている。だから、物流費の税額軽減をやめればいい。そうすれば、物流費が高額になるので、物流の量が削減される。幹線路の自動車両の半分がトラックであるというような、トラックだらけの状況が改善される。このことで、大量の燃料消費が抑制されて、地球温暖化も阻止できる」
具体的には、次のことだ。
・ 軽油税がガソリン税よりも低いのを是正する。
・ 大型トラックの税額が低いのを是正する。
・ 大型トラックの高速道路料が低いのを是正する。
一般に、車両重量の2乗に比例して、道路や橋などのインフラは傷む。したがって、大型トラックの税額を大幅に引き上げるべきだ。そのことで、大型トラックの量を大幅に減らすべきだ。
そうすると、道路や橋などのインフラが傷む度合いを減らせるので、インフラの再構築の費用も減らせる。一石二鳥。
現状では、物流にかかる本来のコストを、荷主が自分で払わないで、国民全体に転嫁してしまっている。そのせいで、荷主は大幅に利益を得るが、国民全体はそのぶん大損する。
これが、ジャストインタイムの正体だ。(公共財泥棒と言える。)
《 加筆 》
「大型トラックを減らす」
というのは、
「大型トラックを減らして、小型トラックを増やす」
という意味ではないので、誤解のないように。
ディーゼル排ガスを撒き散らして道路を損傷するトラック全般を減らす……という意味です。特に大型を減らすが、小型もついでに減らす。トラックの量を全般的に減らす。(無駄な物流を減らす。)
たとえば、コンビニに一日に何度も配達するのは無駄だ。同様に、自動車の部品を一日に何度も配達するのは無駄だし、毎日配達するのも無駄だ。三日にいっぺんぐらいの配達にすれば、物流の量は大幅に減るはずだ。
ただし、クロネコヤマトみたいなのは、常に満杯で運搬するから、配送料は減らせないかもしれない。しかし、配送コストを引き上げると、「送料無料」は不可能となり、高額の配送料を取る必要が出るから、ネット販売の量は大幅に減るだろう。これでクロネコヤマトの物流の量も大幅に減らせる。
かくて、物流の量を減らすことで、脱炭素とインフラ損傷低減を、同時に実現できる。
野暮ですが、ツッコミを入れさせてください。
(性格悪いやつ≒トヨタ≒私のようなやつ、なら以下のような方法で逃げ道を探すでしょう)
それで議論が深まればよいと思っていますが、
ただの自己満足とかマウンティングになってしまうかもしれません。
もしくは、くだらない意見だと、私が一閃されるだけかもしれません。
> ・ 違反の対象を大型トラックに限定する。(普通車は除外)
> ・ 大型トラックは、駐車だけでなく停車も違反にする。
> ・ 罰金を払わせるだけでなく、車両をロックする。( → 器具 )
これを実行すると、トラックの運転手が工場の近く(工場の直近、もしくは数分の場所)でぐるぐる回るだけになるでしょう。
そのことによってトラックの運転手が過労死するか、過労死しなくても、誰かが轢かれる可能性が高くなります。
工場の直近でぐるぐる回ると、工場の関係者が轢かれる可能性が高くなるので、
工場の直近でぐるぐるは禁止されると思います(スマホ+GPSで、ほぼノーコストで管理できます)
> ・ ロックされた車両は遅延する。だが、荷主(納入先)は違反金を徴収できない。
契約を解除する、買取価格を下げるという脅しで代用できます。
口で言うだけなら、ほぼ証拠が残りません。
それぞれ、景気が悪くなったから解約、競争が激しくなったから価格を下げさせてもらうと言えば、
行政の介入を排除できるでしょう。
建設的な代案も提示させていただきます。
広い道路だが、交通量も少ない、そして民家とも接していない、という場所もあります。
具体例として、役所を囲む道路には、このような場所が多いと思います。
このような場所を、罰金の例外にするとよいでしょう。
このような場所がない地域もあるでしょうが。
>そのことで、大型トラックの量を大幅に減らすべきだ。
インフラの損傷が軽減するというメリットは目から鱗でした、
しかし運転手が不足しているので、下策だと思います。
エネルギー効率も下がります。
トラック運転手の給料を上げることで、運転手の数が増えるのであればよいですが。
別の視点として、大型トラック1台の代わりに、小型トラック3台が路駐する方が良いとは一概には言えませんよね。
路駐される長さ、排気ガスの密度など、複数のメリットデメリットがあります。
小型トラックなら大型トラックが利用できない場所に駐車できる、というメリットは指摘させていただきます。
しかし、なんともまあ、すごく議論の甲斐がある話題ですね。
宮本茂の名言「アイデアというのは複数の問題をいっぺんに解決することだ」
> 大型トラック1台の代わりに、小型トラック3台が路駐する方が良いとは一概には言えませんよね。
ちょっと舌足らずでしたね。「大型トラックを減らして小型トラックを増やす」という意味ではなくて、「トラック全般を減らす」という意味です。大型も小型も、トラックは全部減らす。軽油税の引き上げは、大型も小型もすべて適用されます。
3時間ぐらい、グルグル回っていたら、燃料費が莫大になります。軽油税を大幅に高めれば、阻止できるでしょう。
また、3時間も実働時間が増えたら、(給与総額は同じなので)時給は大幅に低下してしまいます。下手をすると、最賃割れだ。こうなったら、誰も運転手にならなくなります。
別の案として、
工場が一定以上の荷捌き用駐車場を持つ場合は、法人税を下げる、
そうでない場合は、法人税を上げるという方法はどうでしょうか。
ただし、産業界が政治家に与える影響は強いので、
産業界にうまみのない法案は、実現が不可能ではないにしても困難だと思います。
遅延の罰金を避けるために荷主の工場近くに倉庫建てるとか。
大型トラックが路駐していて迷惑だ、という問題なのではなく、
大型トラックの路駐が日本人の生活費の安さに繋がっているのでは?
間接税というか、道路消費税(物理)として。
我々は物流コストの上に乗らせてもらっている訳ですから。
これにだまされる人が多いですね。物流コストを負担する人の支払額が少なければ、その分、それ以外の全員が負担することになります。コストの発生額を減らしているのではなく、コストの負担額を減らしているだけなので、負担を他人にツケ回ししていることになる。
結果的に、物流をいっぱい使う人が得をして、物流をあまり使わない人が損をする。
端的に言えば、トヨタのような会社が得をして、他の人々が損をする。
なお、国全体で見れば、余計な物流が増えるので、無駄の額が増える分だけ、損をしていることになる。
――
わかりにくいかもしれないので、具体的に言うと、こうだ。
物流費が下がっているおかげで、われわれの購入する商品は価格が下がる。その分、得をしている。「儲けた、儲けた」と喜んでいる。
しかしその裏では、インフラの補修のための費用負担が発生しているので、国庫から金を投入する。そのための原資として、消費税を値上げする。
100円の商品があるとして、物流コストが2円下がり、商品価格が1円下がる。消費者は「1円下がった」と言って喜ぶ。しかしその分、消費税が2円上がるので、差し引きして、消費者は1円損する。
差額の1円は、物流費を下げて儲けた会社(トヨタなど)の懐に入る。
国民は差し引きして1円損しているのだが、「1円もらって、2円を失う」という構造のため、「1円もらって得した」と喜ぶ。ちょろいものだ。
こうして、本来の費用負担を免れた会社は金を奪い取り、背後で増税をこうむった国民は金を奪われる。
と経団連が主張して、国民も賛同する。しかし、国費というのが自分たちの金だ、ということに気づかない。自分たちの懐から2円を出して、それを企業と1円ずつ分けあう。「1円を得たから、儲かった」と喜ぶ。その金を出したのは自分自身だということに気づかない。
こうして経団連のペテンにだまされるわけだ。
>本来の費用負担を免れた会社は金を奪い取り、背後で増税をこうむった国民は金を奪われる
ところが、日本はグローバル経済の一角なので(手段:地理と規模の経済と技術漸進)、
他所の国から費用と資源を回収し続けられさえすれば……
参考
https://yaruonichijou.blog.fc2.com/blog-entry-47750.html
https://yaruonichijou.blog.fc2.com/blog-entry-47823.html
https://yaruonichijou.blog.fc2.com/blog-entry-49367.html
それをやったのが戦前の日本。あげく「侵略」と海外から罵られて、石油禁輸を食らって、ついには戦争に突入して、国は滅びた。
> 技術漸進
IT技術の進展で、人々はみんな豊かになると思えた。だが、現実には、富の集中が起こって、金持ちはますます豊かになり、一般人はますます貧しくなった。
今となっては同盟国という名の利き手ですらある……お休みなさい(さすがにもう眠い)。
参考
https://geopoli.exblog.jp/29531126/
https://geopoli.exblog.jp/29325398/
https://geopoli.exblog.jp/29534815/