2021年03月07日

◆ ガラス瓶の再利用はエコか?

 プラごみが増えていて、環境汚染と地球温暖化の問題が生じる。そこで、プラごみを減らすために、ガラス瓶の再利用をするべきだ、……という説があるが。

 ※ 最後に 【 追記 】 を加筆しました。インチキの指摘。


 ――

 その説は、下記にある。
  → (社説余滴)温故知新でプラごみ削減 村山知博:朝日新聞

 昔はガラス瓶が多く使われた。日本酒、ビール、醤油、牛乳、など。
 ところが今では、たいていが PETボトルや紙容器になっている。
 そこで、これらのプラスチック容器をガラス瓶に戻すことでエコになるはずだ……というのが、記事の趣旨だ。

 ――

 ところが、よく考えると、話はそう単純ではない。
  ・ 確かに再利用すれば、製造コストは1回分だけで済む。
  ・ しかし、汚れた瓶の洗浄コストがかかる。
  ・ 重いガラス瓶の、運搬コストもかかる。


 ここで言うコストは、金銭的なコストのほかに、炭酸ガス放出のような環境コストも含まれる。

 一方、プラスチック容器でも、紙容器でも、これらのコストは激減する。洗浄コストは(洗浄しないので)ゼロで済むし、運搬コストも(軽いので)運搬コストは少なくて済む。
 おまけに、最後にゴミ発電をすれば、コストとは逆の収益を得るから、それまでにかかったコストを相殺する効果が生じる。
 あれこれと考えると、ガラス瓶の再利用よりも、プラスチック容器や紙容器の方が、かえってエコであるようにも感じられる。
 では、本当はどうか? 

 ――

 それについて調べた研究がネットで見つかる。
  → 瓶リユースに関する環境負荷影響評価(環境省)

 これによると、「ガラス瓶の再利用の方が、環境負担は小さい(プラスチックの半分程度である)」というふうな評価が出ている。
 意外にも、重たいガラス瓶を運んで洗浄する方が、環境負担は小さいとのことだ。
 特に、運搬の環境負担は意外にも、かなり小さいそうだ。(最も大きな負担は、ガラス瓶の洗浄で、これが半分以上を占める。)
 PETボトルは、意外にも、製造にかかる環境負担が大きいらしい。最近のペットボトルは、ごく薄いので、ほとんど製造の負担はないと思えたのが、そうでもないらしい。

 不可解なのは、10グラムぐらいしかなさそうな PETボトルの輸送にかかる負担が、とても重たいガラス瓶の輸送にかかる負担に比べて、何倍にもなっていることだ。これは「10グラムを輸送するには、200グラムを輸送するよりも、何倍ものエネルギーが必要だ」ということになる。わけがわからん。


bin.png
(21頁)


 中身が入っているときならともかく、回収時には PETボトルは空になっているし、押しつぶされている。大量の PETボトル を簡単に回収できる。なのにガラス瓶より輸送コストがかかるというのは、謎すぎる。
 輸送だけでなく廃棄のためのエネルギーも考えているのかもしれない。だが、廃棄のエネルギーなら、プラスチックはゴミ発電で回収できるので、かえって有利になるはずだ。

 ――

 どうも、この報告の数値データには、納得しがたいところがある。ゆえに、「ガラス瓶の再利用の方がずっとエコである」という主張には、私としては素直に同意できない。
 ただし、否定できるだけのデータがあるわけでもない。
 というわけで、この件については、意見を保留しておく。
 


 【 追記 】
 重大な事実を発見した。
 上のデータは、環境省の公開するデータなので、公平なものであると思えた。だが、事実はそうではなかった。
 このデータは、環境省が公開しているが、環境省の独自データではなく、他のデータの転載であった。元ネタのデータは、ここにある。
  → LCA手法による容器間比較報告書 | 環境データ - リターナブルびんナビ

 このデータは、「容器間比較研究会」によるものだとされているが、この研究会は、中立的なものではない。上のリンク先に記してある通りで、
   容器間比較研究会(ガラスびんリサイクル促進協議会)
 によるデータだ。つまりは、手前ミソ。自分が有利になるように、最初から自分勝手なデータを作っているわけだ。
 データを捏造したとは言わないが、自分たちに有利になるように、勝手に条件設定をしているはずだ。「これこれの条件では、リターナル瓶が有利である」というふうに。

 利害関係者による手前ミソのデータなど、初めから信用できるわけがない。インチキに等しい。
 こんなものを環境省が政策決定のためのデータとして公開しているんだから、国による「詐欺の加担」も同然だね。

 ――

 《 オマケ 》

 なお、私の直感で言うなら、薄い PETボトル 容器に使われる石油の量は、重いガラス瓶を配達して回収する輸送のために使う石油の量と、ほぼ等しい。ガラス瓶は、さらに洗浄のためのエネルギーが多くかかるので、ガラス瓶の方が環境負担は大きい。
 スーパーの内部で重たい瓶を運ぶことの労働コストも考えると、スーパーではガラス瓶を使う動機はないだろう。(長期保存を必要とする酒類は別だが。)
 
 ただし、肉厚の PETボトルだと、石油の消費量が多いので、リターナル瓶の方がエコになりそうだ。……上記の調査では、そういう条件を勝手に設定しているのだと推察される。(都合のいいデータだけを勝手につまみ食いするわけだ。STAP細胞の場合と似ている。)

 参考:
  → 人にやさしいペコロジーボトル 2
  → 人にやさしいペコロジーボトル 3

posted by 管理人 at 23:59| Comment(1) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
店舗内の移動や配置のコスト
より多くの品物を並べるには紙やPETの方が有利なことは
統計に入っているんですかね
PETだとケースで売れますよね
ビール業界もおなじ
スーパーじゃ瓶ビールは売っていない

Posted by 老人 at 2021年03月08日 07:16
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