2021年03月03日

◆ 石炭発電と石炭税

 石炭は安価なので、途上国やアメリカではよく利用されているが、どのくらいのコストなのか?

 ――

 石炭発電のコスト


 石炭は安価なので、途上国やアメリカではよく利用されている。だからかなり低コストだと推測される。
 前項で述べたように、欧州では石炭発電が LNG よりもコスト的に優位にある。(たとえ炭素税を払っても。)
 その一方で、日本ではせっせと LNG 発電を導入している。中国もまた、最近では石炭発電をどんどん廃止して、LNG 発電に転換している。(その主たる理由は、ひどい大気汚染の解決だが。)

 以上のことを見ると、石炭発電は低コストだとも、そうでないとも見える。本当はどのくらいなのか?
 また、普通の石炭発電と、最新鋭の IGCC(石炭ガス化複合発電)とでは、どのくらいの差があるのか?

 ――

 そこでネットで調べてみたのだが、国内の比較データは、2014年のものしか見つからなかった。かわりに、石炭単独のグラフはあった。
  → 石炭火力発電の単価推移|新電力ネット

 これを見ると、2020年12月の段階で、 11.7円/kWh という値になっている。この価格は、特に安くはないようだ。

 では、日本だけで石炭発電の価格が高いのか? そう思って、世界のデータを調べた。二つ掲げよう。


power-cost1.png
Cost of electricity by source - Wikipedia


power-cost2.png
Projected Costs of Generating Electricity 2020 Analysis - IEA



 どちらの数値も、同じような値だ。石炭発電は、通常でも、ガス複合発電でも、いずれにしても 11円/kWh を少し上回る値であって、「やや高い」部類に入る。炭酸ガスの排出量が多いことを考えると、とうていお勧めできるものではない。
 これが調査の結果、わかったことだ。

 石炭税の導入


 上の事実はあるのだが、それでも欧州や米国では、石炭発電がなかなか減らない。
 炭素税の導入で何とかなるかと思ったが、炭素税の額が低すぎるので、あまり効果がないようだ。( → 前項 )
 かといって、炭素税を高額にすると、灯油を燃料にしている人々を直撃する。これは、北海道のような寒冷地にいる人にとっては困ることだ。
 あちらが立てば、こちらが立たず。困った。どうする?

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 「石炭税を導入する」

 これなら、石炭を狙い撃ちして、「炭酸ガスの排出」を阻止することができる。また、それによって得た税収は、国民全体のために使うことができるから、その国にとっても損ではない。
 これを本サイトの提案としておこう。



 [ 付記1 ]
 石炭複合発電は、現状ではどうか? 
 環境省は反対しているが、経産省は推進していて、政府としての統一政策はできていなかったようだ。(2018年)
 その後、とりあえず妥協した中間的な政策を取って、「旧式の石炭発電は廃止するが、高効率な石炭複合発電は推進する」というふうに合意したようだ。

 [ 付記2 ]
 コジェネの燃料としては、石炭と重油が低コストだと見込まれる。では、どちらがいいか? どちらも同様か?
 実は、この両者はまったく異なる事情にある。

 石炭は、そのまま使わないでいることができる。単に炭田に放置しておけばいいだけだ。
 重油は、そうは行かない。使い切る必要がある。なぜなら、原油を精製したときに、ガソリンと同時に生産されるからだ。
   原油 → ガソリン + 灯油・軽油 + 重油

 原油からガソリンを生産すれば、同時に、灯油・軽油・重油もまた生産されてしまうのだ。こうして生産された重油は、地下に埋め戻すわけにも行かないので、使い切るしかない。
  ※ 仮に埋め戻すと、そのためにエネルギーが必要となるので、無駄だ。

 というわけで、コジェネや火力発電に重油を使うことは必要となる。一方、石炭は使う必要がない。だから、(炭素税のかわりに)石炭税をかけて、石炭の使用を抑止することは、十分に可能なのである。



 【 追記 】
 石炭発電のコストは、あまり低くない。では、どうして一部の国では、低いコストで石炭発電ができるのか? 話が矛盾しているのではないか? ……そう疑問に思ったので、考え直すと、次のことがあるようだ。
 「国際的なコスト計算では、石炭は貿易品としての輸入炭の価格で計算するが、国内で発電するときには、安価な国内炭を使うことができる。だから、国内炭を使う石炭発電では、上記のグラフよりも低いコストで済む」

 このことは、次の二点が理由だろう。(推測)
  ・ 国内炭では、低品質で低コストな石炭を使うことができる。(亜瀝青炭 )
  ・ 鉱山近辺の発電では、輸送費が安く済むので、輸送費の分、コストが下がる。


 後者については、「低品質な石炭(亜瀝青炭)は、水分が多くて、輸送費がかさむ」ということが判明した。
  → 石炭 - Wikipedia
 というわけで、上の推測は、妥当であると言える。詳しくは上記リンクを参照。

 ともあれ、こうして、「一部の国では、低コストで石炭発電ができる」ということが説明された。(上記グラフの適用外となる。)
 
 ――

 なお、このような低コストの石炭発電では、使われるのは低品質な石炭(亜瀝青炭)なので、石炭ガス複合発電の用途には向いていない。したがって「旧式の石炭発電から、最新型の石炭発電へ転換する」という狙いは、目論見はずれとなる。残念でした。(経産省や環境省の狙いは、見事にハズレてしまった。)
 となると、やはり、石炭税で規制するしかないようだ。

 《 加筆 》
 低品位の石炭を石炭ガス複合発電の用途に使うことは、現在技術ではできていないようだが、ただ今技術開発中なので、不可能ではないらしい。
  → https://bit.ly/30cFT7s
 これができると、「旧式の石炭発電から、最新型の石炭発電へ転換する」という狙いは、達成されることになるね。(将来の話だが。)

 ※ ただしそれでも、「炭素の排出量が多い」という根本問題は、解決されそうにない。水分の含有量が多いと、水を気化するために余分なエネルギーが必要なので、その意味でも、炭素の排出量が多くなる。あれこれと、「脱炭素社会」には不向きだ。(それでもコストは安いから、普及の目はある。それを阻止するには、石炭税が必要だ。)
 


 【 関連サイト 】

 朝日新聞の記事。

 → (いちからわかる!)二酸化炭素を出すと、お金を取られるの?:朝日新聞
 → (多事奏論)グリーンバブルと日本 脱炭素目標の残念な現実 原真人:朝日新聞
 → 欧州「脱ガソリン車」加速 メーカー、規制対応しEVへ:朝日新聞
 → 成長につながるカーボンプライシングとは何か - 西村六善|論座
 → 加速する「実質ゼロ」の流れ 脱炭素社会への道のりは:朝日新聞
 → 米中の脱炭素、世界が注目 地球温暖化巡る今年の動きは:朝日新聞
 → CO2ゼロのくらしって? 2050年の未来図を描く:朝日新聞



posted by 管理人 at 23:58| Comment(0) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
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