2021年02月21日

◆ 洋上風力を推進すべきか? 3

 洋上風力発電が、最近になって、急に有望になってきた。理由は炭素繊維だ。

 ――

 再生エネとして、洋上風力発電が有望視されているようだが、どうか? このテーマで、これまで2回、言及してきた。

 1回目には、こう述べた。
 次の方式もある。
 「強い風が吹いたときに、その風を受け流す。そのために、羽根をたたむとか、力を受け流すリンクを使うとか、何らかの技術的な対処を取る」

 ただし、このような技術は、いまだ未完成だ。だから、導入するとしても、少しずつ手探りでやるしかない。
 一方、一挙に大量に洋上風力発電を導入すると、導入したものが数年後にいっせいにぽっきりと折れてしまう、という危険もある。それはまずい。

 結論。
 風力発電は、理念はいいが、現実には技術が追いついていない。そのせいで、羽根が折れるという問題も生じる。
 ならば、やたらと焦らずに、少しずつ技術開発するべきだろう。技術開発もしないまま、導入ばかりを焦って実行しても、「台風で大量に破壊される」という問題が起こりかねない。
( → 洋上風力を推進すべきか?: Open ブログ

 2回目には、こう述べた。
 「風力発電の普及は、2050年以後でいい。日本には台風が来るので、風力発電の設備は壊れやすい。この問題を解決するには、電子的な技術開発では足りず、材料工学的な技術開発が必要となる。それには、かなり長い年月がかかりそうだ。
 単に強度を得るだけなら、ケブラーやカーボンナノチューブなどでも使えば解決可能だろうが、これらはやたらとコストがかかる。こういう材料が安価に製造できるようになるには、かなり長い年月がかかりそうだ。
 それゆえ、洋上風力を推進するのはいいとしても、それが実用レベルになるまでには、かなり長い時間を見込んだ方がいいだろう。
( → 洋上風力を推進すべきか? 2: Open ブログ

 ところが、この予想が覆る事態が起こった。「ケブラーやカーボンナノチューブを使う」という前に、「炭素繊維を使う」という手法が開発されたのだ。
 なるほど。カーボンナノチューブは超高額だが、ケブラーや炭素繊維ならば手の届く範囲内にある。しかも、性能は従来に比べて格段に向上する。
 そして、こういう素材を使う手法は、以前は開発されていなかったのだが、近年になって急に開発されるようになったそうだ。
  → 「お家芸」炭素繊維に逆風 コロナ影響、航空機生産減 風力発電向けは拡大:朝日新聞

 この記事では、あまり情報量がないので、ネットで検索してみた。だが、「風力発電に炭素繊維は役立ちます」ということぐらいの情報しか見つからなかった。ことさら特記するような情報は見出せなかった。

 ただ、風力発電の製造会社は、すべて欧米の会社であるようだ。(日本の会社は撤退した。)
 他に、中国の会社もあるようだが、中国製を日本に持ってくるわけにも行かないだろう。
 とにかく、日本には季節風と台風があるので、条件的にはきわめて厳しい。普通の構造では、容易にポキッと折れてしまいがちだ。炭素繊維で強化した風力発電が普及するようになれば、日本でも他国並みに、風力発電が普及するようになりそうだ。

 ※ 朝日新聞はやたらと「風力発電を増やせ」と主張するが、そのための方法は「補助金を出せ」とか「キャンペーンをしろ」とか、そういうことぐらいしかないようだ。それよりはむしろ「技術開発が大事だ」というのが私の主張だった。そして、それが満たされつつあるようなので、そのとき初めて、「風力発電を増やせ」という言葉が有効性を持つようになるのだ。

 ――

 《 注記 》

 ただし、後で調べ直すと、炭素繊維が使われるのは、(風車で回転する)翼だけであるようだ。
 構造物に炭素繊維を使うというのは、コスト的にもまだ無理なのかもしれない。コンクリートにアラミド繊維(ケブラー)を織り込んで強化する、という方法は、ずっと前から知られているのだが、風力発電に使われるという話があるのかどうかは私は知らない。
 
 とりあえず、風車の翼についでだけなら、炭素繊維を使うことで、台風対策になるようだ。一方、風車の構造物については、台風対策ができているのかどうかは、不明である。

 なお、現実には、落雷による破壊が最も多いそうだ。これも日本では被害の理由になる。




 [ 付記1 ]
 参考情報として、中国の風力発電の事情。
 《 原発120基分の発電力が1年で 中国、再生可能エネルギー急拡大 》
 中国が再生可能エネルギーの導入を急拡大している。2020年に新設された風力発電の設備容量(最大時の発電能力)は前年の2.7倍、太陽光発電も8割増となった。発電設備の規模としては、原発約120基分もの再エネがわずか1年で整備された計算だ。
( → 毎日新聞

 これを見て、「中国はすごい」と思うのは妥当だが、「だから中国の真似をしろ」というのは妥当ではない。中国がそういうことができるのは、中国の内陸部には台風が来ないからだ。また、広大な砂漠があって、風力発電には適地となるからだ。
 日本では、台風があるし、国土のほとんどは緑豊かな山地である。緑をやたらと刈るわけにも行かないし、山地は風力発電にはあまり適していない。谷間は「風の道」となるので、風車を置くのに適しているのだが、同時に、「風の道」は鳥の飛ぶコースになるので、両者が重なるからだ。結果的に、風車に鳥がぶつかるという「バードストライク」が起こりがちだ。風車のせいで大量の鳥が死んでしまう。これでは「環境に良い」とはとても言えない。
 
 [ 付記2 ]
 風車にぶつかって死んだ大量の鷲の死骸。バードストライクの被害。
  → 山積みにされた大きな袋。これらは全部、風力発電用の風車に衝突して死んだオジロワシ - Togetter

 [ 付記3 ]
 レーザーというハイテクで鳥を追い払うシステム。
  → 1.6キロ先まで届くレーザーで鳥を追い払う。鳥害を防ぐレーザー監視システム

 これを援用すれば、バードストライクを防げるか? 

posted by 管理人 at 21:21| Comment(1) |  太陽光発電・風力 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
バードストライクと言って真っ先に思い浮かぶのは航空分野でしょうね。

あまり参考にならないかもしれませんが、国交省航空局で細々と取り組んでいるようですので、航空分野との連携はアリかもしれません。

(国交省HPより)
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr2_000018.html
Posted by 反財務省 at 2021年02月21日 22:01
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