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強いことは強いが、あまりにも圧倒的すぎるので、ずっと不思議に思っていた。とうてい同じ国のチームだとは思えないほどにも圧倒的だった。そこで、不思議に思いながら、いくつかの解説記事を見たのだが、もっともらしいことが書いてあるだけで、「これぞ真相だ」という解説は見つからなかった。
→ 川崎フロンターレ 強さのヒミツ | NHKスポーツ
→ なぜ川崎Fは記録尽くしの独走Vを果たせたのか?(THE PAGE)
→ なぜフロンターレは覚醒したのか? 快進撃のカギは「ルール変更」を強みに変えた試行錯誤
こうして、謎は謎のまま残っていた。
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ところがこのたび、興味深い記事が出た。欧州から戻った酒井高徳が、「日本サッカーは世界のサッカーと全く違う」と語っている。
→ 酒井高徳「日本サッカーは世界のサッカーと全く違う」
要するに、こうだ。
(フリューゲルスから日本代表監督となった加茂監督以来のゾーンプレスという戦術を取って)、とりあえず相手のボールを奪うというところまではできるのが、日本のチームだ。ところが、ボールを取ったあとは、仲間内でボールを回すだけで、のんびりしている。
一方、海外では、(ドルトムントのクロップ監督のゲーゲンプレスというふうな)高速カウンターアタックが主流となった。ボールを奪ったあとは、一挙にボールを前線にまで運んで、あっという間にボールでゴールを揺らす。
その典型的な例が、先のワードカップで、ベルギー代表が日本代表を粉砕した場面だ。高速カウンターアタックで、あっという間にゴールを揺らした。
→ 別の動画 もある。
この意味で、欧州のサッカーは、日本よりもはるかに先に進んでいる。「方式が違う」というような、単なるスタイルの違いではない。サッカーとしてのレベル格段に違うのだ。「大人と子供」と言えるほどのレベル差がある。
※ 以前の日本は、欧州に近いレベルにあったが、今では大きな差ができてしまっている。大幅に遅れている。
酒井高徳自身は、「日本のレベルが低くなった」とは言っていないが、実質的にはそうなっていることを明らかに告げている。
そして、ここまで読んで、私は氷解した。冒頭の疑問への理由が得られたからだ。
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日本では唯一、高速カウンターアタックをしているチームが、川崎フロンターレだ。そのことは、広く知られていることだが、次の話からもわかる。
→ 首位独走の要因は?山形へ移籍したGK藤嶋栄介が明かすフロンターレが“強い理由”「川崎に行って概念が変わった」
この違いは、それまでは「単なるチームスタイルの違いさ」と思っていた。だが、そうではないということが、酒井高徳の話からわかった。
要するに、川崎フロンターレだけは、欧州流の戦術を取っているのだ。だから世界レベルの試合ができるのだ。
そして、他のチームは、昔ながらの和風の戦術を取っているのだ。だから世界レベルの試合ができない。結果的に、得点力は川崎の約半分以下でしかない。(マリノス・柏・鹿島 以外は)
この戦術差こそが、川崎フロンターレ独走の理由だったのである。
※ 簡単に言えば、川崎フロンターレが特別に優れていたからではなく、他のチームが(時代遅れなほど)劣っていたからである。どれもが日本ふうのガラパゴス戦術を取っていたからである。
[ 付記1 ]
日本も以前は、高速カウンターアタックができたことがある。それは、フランス代表との親善強化試合で、1−0 の勝利をしたときだ。2012年。
このころが、日本サッカーの絶頂期だったかもしれない。今はすっかり腑抜けになったが。(ハリルホジッチ監督のころは最悪だった。彼を解任しなかったら、どうなっていたことやら。)
[ 付記2 ]
もう一つある。歴代最高と言える、鈴木選手の爪先ゴールがあるが、これもまた、高速カウンターアタックから生まれたものだった。通常の動画には、直前のシーンがないが、次の動画には直前のシーンがある。
ベルギー側が前線にボールを送ったあとで、日本側がボールを奪い返して、その直後に、あっという間の電光石火で、敵のゴール前までボールを運んでいることがわかる。
なお、アシストしたのは、小野である。( → 出典 )
このゴールに「感動した」という声はたくさんある。下記で読める。
→ YouTube コメント欄
【 関連サイト 】
→ 高速カウンターアタック - Google 検索
→ ゲーゲンプレス - Google 検索
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/55304
解任して出来た西野ジャパンがベルギーの高速カウンターにやられたのですから、日本サッカーの問題点はあの時点で明瞭だったような気がします。
「デュエル」がまずかったのでは?
日本人の体格では、1対1でなく、1対多のプレス戦術でないと、無理でしょう。
速くしろ、強くなれ、と嫌なこと(しかし正論)ばかり言われて従わなかった代表選手が多かったのが、解任劇の発端ではなかったでしょうか?
> 現役選手は育成世代のころ、2010年W杯南アフリカ大会で優勝したスペイン代表のように、ボールを保持することが守備につながるという戦術になじんできた。
> 欧州ではいま、ボールを奪った瞬間に攻撃のスイッチを入れるのが主流だ。「海外の方が勝負の縦パスをどんどん入れていく。Jリーグでも必要だ」
https://www.asahi.com/articles/DA3S14814619.html
私からも2つ紹介させて頂きます。
https://news.livedoor.com/article/detail/9465132/
https://www.kouenirai.com/kakeru/column/sports/yamamoto_lead/2358
日本サッカーは同じことを繰り返してきています。
縦に速いサッカーはトルシエ時代に山本昌邦コーチ(当時)が口酸っぱく言っていましたが、トルシエはよく選手と問題起こしていました。ザッケローニもコレクティブカウンターを取り入れようとしましたが、選手が言うことを聞かず断念。優しいおじさんでした。アギーレもハリルホジッチも縦に速いサッカーをやらせようとし、ハリルはさらにデュエルを取り入れようとしたため、総スカン。
デュエルについても同じことを繰り返しそうな気がします。
福田氏の文を読むと、自分たちのサッカーを他に求めて、速いサッカーもデュエルもどこかでまた拒否しそう。パス回しのうまいボランチが格好良いと思っているんですよ。
朝日の記事にある「勇気を持った決断の少なさ」が国民性とありますが、ラグビー代表に対して失礼でしょう。体の当たりを嫌う「エエ格好しい」がサッカーを選び、厭わない子がラグビーを選ぶのでは、と私は思っています。