2021年02月11日

◆ 水素からアンモニアへ

 脱・炭素社会ということで、水素社会をめざす動きがある。だが、かわりにアンモニア社会が有望だ。
 
 ――
 
 トヨタが燃料電池車を発売したりして、「脱・炭素社会で、水素社会が来るぞ」と唱える向きもある。だが、水素には「超低温での貯蔵」という難題がある。
 そこで、この難題を避ける方法として、「水素のかわりにアンモニアを使う」という方法が急浮上して、きわめて有望と見なされるようになった。
 朝日新聞の記事にある。
 温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする。政府が昨秋に掲げた脱炭素目標の達成に向け、にわかに注目されている資源がある。アンモニアだ。燃やしても二酸化炭素(CO2)が出ないため、CO2を多く出す石炭に代わる火力発電の燃料として期待されているのだ。ところが、燃料として注目されたのは、ごく最近のこと。
 脱炭素化に向け、経済産業省が昨年末に公表した「グリーン成長戦略」では、先行する欧州で主力の洋上風力などと並び、「燃料アンモニア産業」が重点分野に挙げられた。
 さらに、アンモニアには、早くから「CO2フリー」燃料として注目されてきた水素よりも扱いやすいという利点がある。液体のアンモニアはマイナス33度で貯蔵でき、マイナス253度以下の液体水素に比べ、貯蔵タンクなどの整備費用が安くすみ、運搬もしやすい。
( → 想定外の研究が生んだ燃料アンモニア 脱炭素で注目:朝日新聞

 こういうふうに有望と見なされるようになったわけだが、それは近年になって急に浮かんだ方針だった。
 にわかに期待を集めているアンモニアだが、じつは、政府はもともと全く別の使い道を想定していた。14〜18年度にかけ、内閣府が進めていた研究開発事業では、水素を海外の産地から日本に安く大量に運ぶため、水素をいったんアンモニアに転換して運ぶ手法を探っていた。ところが、その過程で、研究チームは気づいた。アンモニアを発電所で直接燃やした方がいいのではないか。

 とはいえ、コスト面ではまだ解決がされていないそうだ。理由はこうだ。
 アンモニアの合成には水素が必要で、天然ガスから取り出したり、再生可能エネルギー由来の電気で水を分解したりしてまかなう。協議会は、こうした工程に適した条件がそろう北米や豪州などに製造プラントを設け、日本への供給網を築くというシナリオを描く。

 しかし、「天然ガスから取り出したり、再生可能エネルギー由来の電気で水を分解したり」という方法では、どうしても高コストになる。これではコスト面の難題をなかなか解決できない。困った。

 ――

 そこで、困ったときの Openブログ。これを一挙に解決する道を示そう。といっても、私のアイデアではなく、他人のアイデアだが。それは、こうだ。
 「水からアンモニアを合成する」


 そんな馬鹿な! と言われそうだが、嘘ではない。次の記事を読むといい。
  → 世界初、窒素と水からアンモニア 東大の研究チーム:朝日新聞
  → 化石燃料を使わず、次世代型アンモニア合成法を実現する?西林仁昭・東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 教授
  → 50 ℃で水素と窒素からアンモニアを合成する新触媒 「CO2排出ゼロ」のアンモニア生産へブレークスルー | 東京工業大学

 この方法ならば、上記のように水素を必要としない。水素を得るために「天然ガスから取り出したり、再生可能エネルギー由来の電気で水を分解したり」というような手法は必要ない。したがって、低コストでアンモニアを生産できる。つまり、難題は解決する。

 ――

 ここで疑問に思う人がいるだろう。
 「窒素と水を掻き混ぜるだけで、燃やせる燃料であるアンモニアを生み出せるというのは、(エネルギー的に)無から有を得るのも同然だ。化石燃料のようなエネルギー源がいくらでも生じることになる。これではエネルギー保存則に反する」

 もちろん、そんなことはありえない。だから、(私の推測では)たぶん次のようになっているのだろう。
 「窒素と水を掻き混ぜるだけで、燃やせる燃料であるアンモニアを生み出せるが、そのとき、外部からエネルギーを吸収する。常温に近い温度なので、外部から与えられるエネルギーに気づきにくいが、実際には、外部から熱を与えて、熱エネルギーを与え続ける必要がある。つまり、熱源が必要となる」

 ただし、この場合の熱源は、太陽光発電による電気エネルギーを使うか、太陽熱発電 による熱エネルギーを使えばいいだろう。いずれにせよ、太陽からのエネルギーを使う。それは、再生可能エネルギーだから、化石燃料のエネルギーとは違う。(炭素を発生しない。)

 ※ 火力発電所や原子発電所やゴミ発電所から出る、低温の熱源を使う、という案もある。今は廃熱として捨てられていた熱源を有効利用できると、エネルギーをリサイクルしていることになり、これも環境に優しいエネルギーだ。コスト的には、ほぼコストゼロなので、太陽光発電を利用するよりも有利だ。

 ――

 以上をまとめて、対比的に評価すると、こうだ。
  × 化石燃料社会
  △ 水素社会
  ○ アンモニア社会 (水素が原料)
   アンモニア社会 (水と再生エネからつくる) 


 朝日では、上の3番目( ○ )を推奨していた。
 本項では、上の4番目( )を推奨している。



 [ 付記1 ]
 朝日の記事には、次の記述もある。
 燃焼時に出る有害な窒素酸化物(NOx)が障害だったが、それも技術開発で排出量を環境基準値以下にできるようになったという。

 NOx についての言及がある。これを心配する人もいそうだ。
 結果的には、上記のように「排出量を環境基準値以下にできる」ということなので、心配はなさそうだ。
 しかし「排出しなくても、内部に廃棄物が溜まるので、困るのでは?」と心配する人もいるだろう。

 しかし、大丈夫。窒素酸化物は、有害な廃棄物ではない。むしろ、非常に有益な工業原料となる。つまり、有効利用できるのだ。(そのまま放出すると有害だが、きちんと処理すれば、ただのゴミが宝となる。)

 詳しくは下記。
  ・ 一酸化窒素は燃焼して、二酸化窒素へ。
  ・ 二酸化窒素は水溶液で、硝酸と亜硝酸に。
  ・ 硝酸と亜硝酸は、肥料や化学製品(爆薬や医薬品)に。
  ・ 肥料の硝酸成分は、微生物の分解で、窒素と酸素に。


 いろいろと有効利用されたすえ、最終的には、ただの窒素と酸素に戻る。

 [ 付記2 ]
 「馬鹿と挟みは使いよう」という言葉があるが、硝酸は、使い方次第で、毒にも薬にもなるのだ。

 ちなみに、ただの農薬が爆弾と化した、という例もある。
 レバノン当局は、首都ベイルートで発生した大規模爆発について、硝酸アンモニウムが原因となった可能性を指摘している。肥料として広く用いられている無臭の結晶、硝酸アンモニウムは、ここ数十年で多くの産業事故を引き起こしている。
( → レバノン爆発原因か、「硝酸アンモニウム」とは? :AFPBB News

 硝酸アンモニウムは……主に高窒素肥料として農業で使用されている。
( → 硝酸アンモニウム - Wikipedia







 【 関連サイト 】

 → 低温ほど化学反応が速くなる 早大、常識覆す現象を発見:朝日新聞

 → 窒素分子から直接ニトリルを合成(アンモニアを用いない省資源・省エネ型合成法) | 理化学研究所

posted by 管理人 at 23:43| Comment(2) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
臭いから漏れても解る
Posted by 加齢臭 at 2021年02月13日 06:40
 新たな記事。

> 2000キロワットの発電設備の中で、天然ガスにアンモニアを60%まで混ぜて燃やし、発電することに成功しています。アンモニアを混ぜることで、発電量はそのままに、二酸化炭素の排出量を従来より6割も減らすことができます。

 https://news.yahoo.co.jp/articles/bb877aff5e6600b22998aae09d5f7907ab4b2efc
Posted by 管理人 at 2021年02月25日 19:27
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