2021年02月10日

◆ 家電会社は大阪に多い

 家電会社は大阪に多い。そして、家電会社は衰退していった。

 ――

  ・ 家電会社は大阪に多い。
  ・ 家電会社は衰退していった。

 この二つに関係はあるか? それがテーマだ。

 なぞなぞふうに言えば、「……とかけて……と解く。その心は?」というわけだ。
 それに答えて、私はこう告げよう。
 「給料が安いから」
 
 ――

 「何のこっちゃ?」
 と思う人が多いだろう。そこで、話の裏話をしよう。

 話の出発点は、次のことだ。
 「パナソニックの給料は安い。技術者でも給料が安い。韓国のサムスンに比べて、大幅に安い」


 このことは、給料の数字を上げて、具体的に示した。詳しくは、下記項目の後半を参照。
  → EV用の電池の支援に1兆円: Open ブログ
 こうして、「パナソニックの給料は安い」ということがわかった。

 一方、次の事実もある。
 「大阪の家電会社の給料は、ほぼ横並びである。そのなかで、パナソニックはトップクラスである」

 このことから、次のように結論できる。
 「大阪の家電会社の給料は、いずれもパナソニック並みで、安月給である」

 なお、ここで言う「安い」というのは、「人材のレベルの割には」という意味だ。学歴からして、理系ではトップクラスの人材を多く採用しているのに、その学歴に見合った給料が支払われていない。特に、技術者では顕著だ。
 また、バブル崩壊以前では、かなり高収益を上げていた会社が多いのに、そのときですら、儲かるのは会社ばかりで、社員には還元されなかった……という歴史がある。

 以上のことから、次のように結論できる。
 「パナソニック、三洋、シャープなど、大阪には家電会社が多くあるが、いずれも安月給だった」

 また、次の事実もある。
 「パナソニック、三洋、シャープなど、大阪には家電会社が多くあるが、いずれも家電産業全体とともに衰退していった」

 ――

 さて。問題は、次のことだ。
 「これらの家電会社が衰退していったことと、大阪にあったということは、関係があるのか?」

 「なんでや。阪神は関係ないやろ。大阪は関係ないやろ」
 と思うかもしれない。だが、私は否定する。つまり、 
 「これらの家電会社が衰退したことと、大阪にあったこととは、関連する」
 と。
 その理由を示そう。

 ――

 そもそも、バブル期以前には、家電会社と自動車会社は、どちらも日本の工業力の花形であって、多大な黒字を稼ぎ出していた。ところが、その後の推移は違った。
  ・ 自動車会社は相も変わらず黒字を稼ぎ出している。
  ・ 家電会社は衰退していった。


 自動車産業は没落しないのに、家電産業はどんどん没落していった。では、どうしてか? どこに差があったのか? 
 「それは給料の差だ」
 というのが私の回答だ。
 「自動車会社は、日本でもトップクラスの給料を払い続けた。だから、日本ではトップクラスの人材を集め続けた。かくて、世界最高レベルの競争力を保ち続けた。
 家電会社は、いくらボロ儲けしても、給料を上げようとしなかった。日本では最優秀の人材を集めても、並みの給料しか払わなかった。払うとしたら、文系の管理職に払うだけで、理系の技術者にはまともに払おうとしなかった。だから、優秀な技術者は家電会社を避けた。かくて、世界最高レベルの競争力を維持できなくなった」

 ――

 ただしこれには、地域差がある。

 (1) 東京
 東京では、日立・東芝・三菱電機などは、安月給だと知られたので、まともな技術者が来なかった。会社そのものが(家電部門では)どんどん没落していった。(それはバブル期以前から起こった没落だった。)

 (2) 大阪
 大阪では、パナソニック、三洋、シャープは、特に安月給だとは思われなかった。なぜなら、東京や名古屋と違って、大阪には自動車会社がないからである。関西の優秀な理系技術者は、東京や名古屋に出向くか、地元に留まって、パナソニック、三洋、シャープに入るか、という選択肢ぐらいしかなかった。そこで、地元にこだわる優秀な理系技術者は、パナソニック、三洋、シャープに入ることが多かった。
 逆に言えば、大阪には自動車会社がなかったおかげで、パナソニック、三洋、シャープは、優秀な人材を確保することができた。その効果で、バブル期までは、パナソニック、三洋、シャープは十分に成長できた。
 しかしバブル崩壊後は違った。バブル崩壊後には、自動車会社はまだ十分に高給を払い続けたが、家電会社は一挙に給料を渋りだした。それまでは自動車会社と大差のない(いくらかは差のある)給料だったが、それ以後は大幅に差のある安月給となった。会社はやたらと「リストラ」と「賃下げ」に走るようになった。こうなると、もはやまともな理系技術者は、家電会社に入ろうとしなくなった。代わりに、成長力のある他の会社に入ろうとした。(そこでは「鶏口となるも牛後となるなかれ」の効果で、優秀な技術者は出世が見込めることも多かった。)
 
 ――

 まとめて言えば、こうだ。
 「大阪の家電会社(パナソニック、三洋、シャープ)は、大阪に自動車会社がないことのメリットで、優秀な技術者を確保して、成長することができた。そのメリットは、東京の家電会社にはないメリットだった。
 しかるに、バブル崩壊後には、やたらと給料を出し渋ることになった。そのせいで、優秀な人材が来なくなった。せっかくあった有利さを、自ら手放すことになった。かくて、残るのは、クズみたいな人材ばかりとなった。韓国のサムスンに比べて、圧倒的に劣る人材しか採れなくなった。かくて『貧すれば鈍す』で、没落の一途となった」

 ――

 なお、東京では、次のように二極分化が起こった。
  ・ もともと安月給だった日立・東芝・三菱電機では、バブル期以前から没落し続けた。今では家電部門はろくに残っていない。
  ・ もともと高給だったソニーとキヤノンは、バブル期以後も成長を続けることができた。
   (ソニーは、家電とは少し違う分野に転進して、そこで技術者を生かした。)
   (キヤノンは、初めから家電会社ではなかったが、理系の技術者を十分に生かして、家電とは別の分野で成長を続けた。)

  ※ 要するに、高給だったソニーとキヤノンは、優秀な人材を集めたので、没落を免れた。

 ――

 結論。

 会社が成長するか没落するかは、会社が技術者に高給を払って、優秀な人材を集めるか否かによる。
 それができた会社は成長するし、それができなかった会社は没落する。
 大阪の会社は、ケチさゆえに、自分で自分の首を絞めることにつながった。

  ※ 大阪の人が維新を選ぶのも、また同じかもね。
 
posted by 管理人 at 21:37| Comment(1) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
リストラされてヘッドハンティングされた技術者が
韓国系企業の基礎をつくったけど
技術を吸収されたら「さよなら」された
Posted by あわれ at 2021年02月11日 10:58
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