2021年02月02日

◆ 都のコロナ対策の責任

 東京都のコロナ対策は、ひどいものだ。その責任は、誰にあるか? 都知事か、首相か?

 ――

 全国および東京都の新規感染者数は、順調に減少している。その意味では、最悪の状況を避けられたと言える。
 とはいえ、現状が「改善されたか」というと、とてもそうは言えない。医療崩壊の状況は脱しておらず、地獄の状況は続いている。最悪の地獄から、次悪の地獄になった、という程度のことだ。いまだに惨状を呈している。
 具体的に言うと、新規感染者が、入院もホテル宿泊もできずに、自宅で放置されたまま、次々と死んでいる……という状況が続いている。
 大学生の女性(18)はベッドで体を丸めて必死に呼吸を整えていた。空気をうまく吸い込めない。全身が痛み、しびれもひどかった。
 「このままでは死んでしまうかもしれない」。体調が悪化したときのための都の相談窓口に電話した。30分以上かけてやっとつながり、入院かホテル療養はできないかと助けを求めた。しかし返ってきたのは「電話できているなら、大丈夫でしょう」。ベッドの上で涙した。
 陽性と判定されたときは37.5度ほどの熱があるぐらいで、自宅で療養するよう保健所から指示された。「若いからすぐ治る」とも言われたという。
 しかし急に体調が悪化した。(中略)
 保健所から健康観察のための連絡が入ると聞いていたが、一度もなかった。不安と絶望ばかりが募った。
 ――
 都内の会社員の女性(38)が陽性と判定されたのは、1月中旬だった。 一人暮らし。そのうえぜんそくを患っている。
 看護師が常駐しているホテルで療養させてほしいと、保健所に頼んだ。担当者は「待ちの方もいるので、なんとも言えません」。2日間待ったが、結局、「調整がつきませんでした」と断られた。
( → 息が、持病が…家で1人療養:朝日新聞

 電話の問い合わせも自動通話システムだけだという。それに答えられずに寝込んでいても、人から電話がかかってくることはなく、単に放置されるそうだ。症状が悪化して死んだとしても、あとで死体が発見されるだけだ。
 実際に死体で発見された例も 18人あるそうだ。(下記)
 厚生労働省によると、新型コロナウイルスに感染して自宅で療養している人は、1月27日時点で2万6130人にのぼる。感染拡大とともに急増し、この1カ月で3倍近くになった。
 とくに多いのが東京都だ。都によると、自宅療養者は2月1日時点で4692人。ベッドが埋まっているなどの理由で、入院や宿泊療養などを「調整中」の患者も3472人にのぼる。
 課題となっているのが、自宅療養中に体調が悪化した人たちへの対応だ。症状が急変する人が相次ぎ、都内では1月末までに 18人が自宅療養中に亡くなった。
( → 息が、持病が…家で1人療養:朝日新聞

 こういうひどい惨状にあるそうだ。それで東京都は何をしているかというと、こうだ。
 そのため都は、自宅にいる感染者の見守りや支援を強化。一部地域で導入していたLINEでの健康観察や、水やインスタント麺などの飲食料品の配布、相談窓口での24時間対応などを、1月25日から都内全域に広げた。
( → 同じ記事 )

 しかし、こんな「食料配布」なんてものは、何の対策にもなっていない。これでは患者への対策ではなく、生活貧困者への対策であるにすぎない。「餓死対策」をしているだけであって、「治療や検査」はまったく含まれていない。
 これに比べれば、神奈川県の方が、ずっとまともである。
 神奈川県は1日、自宅や宿泊療養施設にいる新型コロナウイルス感染者のうち、症状が悪化して入院が必要なのに、病床不足で入院先が決まらない人を一時的に受け入れる緊急酸素投与センター(24床)を開設する準備が整ったと発表した。県内では現在、感染者数が減ってきているため、再び急増した際に立ち上げるという。
 県によると、開設場所は県立スポーツセンター(同県藤沢市)にある陸上競技場の屋内。すでに、ベッドや酸素投与の機材、停電に備えた非常用電源装置の設置を済ませたという。同センターは緊急事態宣言を受け、原則休業している。
 開設時には、県から要請を受けた災害派遣医療チーム(DMAT)や日本医師会の災害医療チーム(JMAT)の医師、県立看護専門学校の教員らが感染者の対応にあたる。
( → 神奈川県、感染急増時に「緊急酸素投与センター」開設へ:朝日新聞

 このくらいのことは、東京都もやってほしいものだ。ただし、神奈川県も、24床だけらしいので、量的にはまだまだ足りない。もっと大幅に増やす必要があるだろう。

 だが、何よりも大切なのは、次の3点だ。
  ・ 患者を全員、ホテルに収容する。
  ・ 患者を常にパルス・オキシメーターで観察・測定する。
  ・ パルス・オキシメーターの数値が悪化したら、病院に転送する。

 こういうシステムが絶対に必要不可欠だ。

 ところが、その最初の前提となる宿泊施設自体が不足している。特に東京都がひどい。
 感染が確認されると、保健所は本人の希望を踏まえながら、宿泊療養か自宅療養かを都と調整して判断する。都は1月31日時点で12の宿泊施設を用意しているが、動線の整理やホテルへの搬送車の準備などが必要で、宿泊療養している人は同日時点で683人。担当者は「必ずしも希望者全員が宿泊できるわけではない。ホテルや患者の状態から総合的に判断している」と話す。
( → 息が、持病が…家で1人療養:朝日新聞

 宿泊療養している人は、たったの 683人だけだ。前に報道されたときには、2360人分が用意されているはずだったのだが。
 東京都の小池百合子知事は18日の定例記者会見で、新型コロナウイルスに対応する医療機関の負担軽減に向けて宿泊療養施設の活用を進める方針を改めて示し、「軽症、無症状の人は大切な家族らに感染させないように、ぜひ宿泊施設での療養をお願いしたい」と呼び掛けた。
 都は17日、入院が必要ない軽症者らが入る宿泊療養施設を1施設追加し、計10施設で 2360人の受け入れが可能となった。17日時点の滞在者数は928人で、都は入院としている65歳以上の軽症者らのうち、基礎疾患などがない70歳未満は宿泊療養施設で受け入れることを検討している。
( → 小池都知事「軽症、無症状の人は宿泊療養を」 - 産経ニュース 2020.12.18 )

 2020.12.18 の時点で、計10施設で 2360人。一方、現在は「1月31日時点で12の宿泊施設」だから、2500人以上の宿泊施設があるはずだ。なのに実際には、683人だけだ。仏作って魂入れず。施設を無駄にしている。(たぶん担当者の人手不足。)
 その結果、冒頭の記事のように、「入院か宿泊したい」という希望を断られてしまうことになる。あとは自然治癒するか死ぬまで、単に放置されるだけだ。(ひどいものだ。)

 ここまで来ると、都知事の無能ぶりが際立つ。宿泊施設の数そのものはあるらしいのだが、そこに患者を宿泊させるための人手がないのだから、担当者を配置しないという行政手腕の欠落があることになる。無能の極みと言える。
 では、担当者を置く金がないのかというと、そうでもない。東京都はもともと1兆円近くの準備金があった。なのにそのほとんどを、昨年春の第一波のときに、「休んだ店への休業手当を大盤振る舞いする」という形で、一挙に使い果たしてしまった。
 東京都は、9000億円のうち 8500億円を使い果たして、残りは 500億円になった。
  → コロナ対策1兆円超、 底つく貯金懸念 不透明な財政見通し
  → 東京都 新型コロナ対策で「財政調整基金」95%近く取り崩し | NHK

( → 新型コロナウイルスの話題 25: Open ブログ

 8500億円を使ったのに、そのほとんどは消えてしまって、あとには何も残らない。その一方で、患者をホテルに宿泊させるための人手をかけるための金がない。かくて大量のホテルの空き室が無駄に遊休することになる。馬鹿の極み。

 こういう馬鹿が、「春先には休業手当を出して、立派なコロナ対策をやった」と評価されたので、夏には都知事選で圧勝した。
 とすれば、こんな馬鹿を評価する東京都民もまた、馬鹿だと言うしかないね。大阪府民が維新を支持するのが、他の地域の人々から馬鹿にされているが、東京都民もまた、同じぐらい馬鹿だということになるね。

 ――

 とはいえ、よく考えると、都知事の責任だけではない。責任は、菅首相にもなる。というのは、元はと言えば、GoTo なんかをやって、感染者の急増を招いたのが、菅首相だったからだ。
 大幅に遅れて緊急事態宣言を発令したが、それが効果を出して、最近では減少が続いていることを見ても、緊急事態宣言の発令の遅れが感染の急拡大を招いたのは疑いを容れない。というか、そもそも「 GoTo をやめろ」と日本中が騒いでいた 11月と12月前半に、ずっと GoTo を継続していたんだから、呆れるほかはない。( GoTo 停止の決定は 12月14日。緊急事態宣言の発令は1月7日。)
  → GoTo をやめるフリ: Open ブログ(2020年11月21日)
  → GoTo 停止は東京を除外: Open ブログ(2020年11月28日)

 その結果として、冒頭記事のようなひどい状況となったわけだ。
 換言すれば、こういうひどい状況(惨状)の原因は、都知事と首相の双方にある。
  ・ 感染の急増を招いたのは、首相である。
  ・ 感染の急増に対して無為無策だったのは、都知事である。
 

 比喩で言えば、火事で放火をしたのは首相であり、消防車を出さずに消防車を眠らせていたのは都知事である。このどちらも無能すぎたから、多数の火事が起こって、多数の焼死者が出たことになる。無能の二重唱だね。



 [ 付記 ]
 こういうときに自分でできることはと言えば、「うつぶせ寝」になることだけらしい。先に記したとおり。
  → 新型コロナウイルスの話題 35: Open ブログ の (5)

 これについては、本日夕刊に記事が掲載された。(先の記事と同じ内容。)
 先日と同じ話になるが、かなりめざましい効果が出ているそうだ。
 中等症患者23人に1日計7時間、腹臥位療法を実施。その結果、血液への酸素の取り込み具合をみる指標は全員が改善し、呼吸回数も記録のある18人中16人が減少した。23人中2人は人工呼吸器の使用を回避できたという。
( → 「うつぶせでコロナ重症化防ぐ」都立病院の看護師ら検証:朝日新聞

 「血液への酸素の取り込み具合をみる指標は全員が改善し、呼吸回数も記録のある18人中16人が減少した」というのは、めざましい効果だと言える。
 ただし、「23人中2人は人工呼吸器の使用を回避できた」というのは、変ですね。「23人中21人は人工呼吸器の使用を回避できなかった」ということになる。酸素吸入器から人工呼吸器に移ったことになる。つまり、中等症から重症に悪化したことになる。「えええっ」と叫びたくなる。
 意味がよくわからないですね。もしかしたら、「酸素吸入器の使用を回避できた」の間違いかもね。両者は違うんだが。


medical_bikou_cannula_woman.png
鼻チューブ(酸素吸入器)

medical_sanso_mask_woman.png
酸素マスク(酸素吸入器)

medical_jinkoukokyu_kikan_soukan.png
気管挿管(人工呼吸器)

medical_jinkoukokyu_kikan_sekkai.png
気管切開(人工呼吸器)




 【 追記 】
 神奈川県の新施設への続報。
 神奈川県は2日、新型コロナウイルス感染者用に新設する「緊急酸素投与センター」(同県藤沢市)の内部を報道陣に公開した。症状が悪化したのに病床逼迫(ひっぱく)ですぐに入院できない患者を、一時的に受け入れるための施設だ。県内の感染者数が減っているため、県は当面は稼働させない方針だが、緊急事態宣言が出ている間はすぐに使える状態を維持するとしている。
( → コロナ患者の一時受け入れ、陸上競技場に新設 神奈川県 [新型コロナウイルス]:朝日新聞

 稼働させなくて済む、ということなので、神奈川県では医療崩壊は起こっていないことになる。つまり、入院が必要な患者は漏れなく入院ができていることになる。
 この点では、東京都の医療崩壊状況とは、雲泥の差があることになる。
 逆に言えば、同じ菅首相の下でも、東京都知事と神奈川県知事との対処には、雲泥の差があることになる。その意味でも、東京都知事の責任(罪)は大きい。



 【 謝辞 】
 文中では朝日新聞の記事をたくさん引用させてもらった。有料記事で非公開の部分を含む。勝手な引用なので、申し訳ない気分もするので、ここに謝辞を述べておきます。
 と同時に、有益な情報が多かったので、「皆さんも朝日新聞を購読しましょう」と推奨しておきます。

 ※ なお、引用は、丸ごとの引用ではなく、部分引用です。途中で文字を省略した箇所もたくさんあります。(中略)と記した箇所もあるが、記さないまま略した箇所もたくさんあります。全文を読みたければ、朝日新聞を購読しましょう。朝日がつぶれると、私も困るんだよ。
 

posted by 管理人 at 23:59| Comment(8) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後のあたりに 【 追記 】 を加筆しました。
 神奈川県の新施設への続報。
Posted by 管理人 at 2021年02月03日 09:10
> 宿泊療養している人は、たったの 683人だけだ。前に報道されたときには、2360人分が用意されているはずだったのだが。

⇒ この、部屋の稼働率が上がらない理由として、ホテルでの清掃・消毒のやり方が問題だという報道がチラホラあります。東京都について書かれた記事が見つからないのですが、少し前のテレ朝モーニングショーでは、東京都も同様のことが主因だと報道されていたと記憶しています。このやり方は、厚労省などが指導するなどして、全国共通になっているのではないでしょうか。

@ 福岡県の場合
(下リンクの記事より ※文言を一部修正)県は療養ホテルの運用に関して、消毒は同じフロアにある全部屋が空室になってから、さらに清掃は消毒後24時間たってから実施している。感染者との接触による作業員の感染リスクを減らすためで、作業も日中は入退所の手続きがあるため夜間などに限られる。結果、新規の療養者が入所するのに時間を要し、感染ペースに受け入れ態勢が追いつかないというわけだ。

 https://www.nishinippon.co.jp/item/n/682256/

A 静岡県の場合
(下リンクの記事より ※文言を一部修正)清掃会社の社長の話「ここは今消毒をしているので(部屋から)出ないでください」と(同じフロアの療養者に)言っても、部屋の外に出る方もいる。廊下とかの共用部分を(清掃・消毒)作業している時にマスクなしで来る。そういうことがあると、作業員も感染のリスクが高まるので、フロアごとに療養者が全員退所してもらってからの作業になってしまうなどのタイムラグがある。作業の効率だけ考えればどんどんやりたいところだけど、安全面からできないところもある」--> 軽症者用ホテルの清掃・消毒は、部屋単位ではなくフロア単位で行っているといいます。部屋が空くたびに…とはいかず、稼働率がなかなか上がらないというのです。

 https://look.satv.co.jp/_ct/17427519
Posted by かわっこだっこ at 2021年02月03日 09:35
 すみません、上のコメントについてですが、東京都もそうだと書かれた記事が見つかりました。後追いですみません。

(記事より)大きな要因となっているのが部屋の消毒・清掃で、患者が療養を終えた部屋ごとではなく、1つのフロアの患者全員が退所するのを待って消毒と清掃を行っているということです。エレベーターや廊下など建物の共用部を療養している人たちが使っているため、リネンの交換を行う業者などから感染への不安の声があるということで、都は「安全面から運用の変更は難しく宿泊療養者をもっと受け入れるためには施設を増やしていくしかない」としています。

 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210118/k10012820301000.html
Posted by かわっこだっこ at 2021年02月03日 09:40
> 【 謝辞 】文中では朝日新聞の記事をたくさん引用させてもらった。(中略)有益な情報が多かったので、「皆さんも朝日新聞を購読しましょう」と推奨しておきます。

⇒ 私も朝日(紙)はとっていませんが、デジタル版は契約しています。ただ、下リンクの記事のようにタイトルの付け方が滅茶苦茶だったり、他にも本文の日本語がおかしいものが散見されます。朝日に限らず、ヤフーニュースなどデジタル版は、アルバイトやフリー記者が書いているのかもしれません(それにしても下のは記名記事ですが……)。

 https://news.yahoo.co.jp/articles/af965b3732ad38af8597e746a4c88296e13a9ade
Posted by かわっこだっこ at 2021年02月03日 11:18
京都も地名なので目が滑りました
>この点では、という京都の医療法海上橋とは、雲泥の差があることになる。
この点では、東京都の医療崩壊状況とは、雲泥の差があることになる。

>かわっこだっこ さん
フロア毎に空き部屋があるのなら
デフラグのように患者を移動して1フロア全部を空けることはできないものなのでしょうか
Posted by 単純脳 at 2021年02月03日 11:30
 誤字は申し訳ありません。訂正しました。
Posted by 管理人 at 2021年02月03日 13:11
>かわっこだっこ さん

 ご指摘ありがとうございました。本日分の新たな記事で、対案を出しておきます。

> デフラグのように患者を移動して1フロア全部を空ける

 そうです。書こうと思っていたら、同じことを考えた人がいるんですね。いずれにせよ、あとで詳細を記します。
Posted by 管理人 at 2021年02月03日 13:13
> 単純脳さん

 私も、デフラグ方式でいいと思います。1年近く前だと、退院・退所(療養解除)の基準がハッキリせず、PCR検査で陰性必須だとか連続2回陰性必須だという運用だったと思いますので、入所者が部屋を移動するとややこしくなりますよね(その人からはウイルス排出しなくなっていても、移動先の部屋でまた別の人からのウイルスが付着して陽性になったりする)。
 しかし昨年6月頃に既にPCR検査は必須でなくなりました(発症日からの日数と症状軽快からの時間で管理になった)ので、それに沿った方式に改めていくべきですね。
Posted by かわっこだっこ at 2021年02月03日 20:59
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