2021年01月31日

◆ 新型コロナウイルスの話題 35

 アビガンなし、食料配給、プール方式、病床不足……といった話題。

  【 追記 】 最後に、うつ伏せ治療の話を付け足しました。
     ※ さらに 加筆あり。


 ──

 (1) アビガンが処方されない

 現状では、アビガンは処方されないことが多い。これについては、次の報告がある。


 この人は自宅療養だから、医師の診察を受けていない。だから、アビガンを処方されないのは当然だ、とも言える。(アビガンを処方してもらえるのは、指定された感染症専門病院の患者に限られる。つまり、特別な大病院に入院した患者だけだ。)
 とはいえ、インドでは、自宅療養の患者にもアビガンが処方される。ならば、日本でもそうすることはできるはずだ。
 結局、日本ではは自宅療養者にアビガン処方されないのは、単に制度的なことが理由だ。制度しだいでは、自宅療養者にもアビガンを与えることができるのだ。(インドのように。)
 もしそうすることができれば、日本でもインドのように、コロナの患者を激減させることができるだろう。


 (2) 自宅療養者への食料配給

 自宅療養者には食料が配給される。では、それはどのようなものか? 

 大阪の事情については、次の報告がある。(上のツイートと同じ人だ。この人は、自宅療養者だが、連続ツイートしている。)




 その画像の一部抜粋がネットで話題を呼んだ。

 「公開禁止」と記しているが、画像の本文を見ると、「お願い」とあるので、「禁止」というほど強い表現ではない。「刑事罰にしかねない」というのは、いくら何でも杞憂だろう。(維新は権力を握っていないし、立法化もできないからだ。)
 
 大阪市がこのような「お願い」をしたのは、「ネットにさらされると、困る。みすぼらしくて、恥ずかしいから」というのが理由だろう。実際、みすぼらしい。

 他方、他の自治体は、公開を禁じるどころか、自分自身で情報を公開している。それを下記に紹介しよう。
 各地域の「自宅療養者の食料配給」は、次のようなものだ。リンク先を見てほしい。(それぞれ画像あり)
  → 足立区の食料
  → 江東区の食料
  → 埼玉県の食料

 一方、神奈川県はこうだ。

c-kanagawa-food.jpg
神奈川県の食料


 見ればわかるように、神奈川県だけが、ちょっと変わっている。これは、調理食品の配食サービスだ。給食みたいなものを配達するわけだ。他の自治体が、インスタントやレトルトという非常食を配布するのとは、方式が異なるわけだ。
 こちらの方が良さそうにも思えるが、量の都合が付かないので、大柄で食欲のある男性には、物足りないと思えそうだ。


 (3) プール方式

 PCR検査で、プール方式を使うと、コストが安価になるだけでなく、処理件数が大量になる。その効果で、大量の検査を通じて、未発見の陽性者を発見することで、感染拡大を阻止できる……という話を前に述べた。(
  → 新型コロナウイルスの話題 34: Open ブログ の (2)

 その続報となるような補足情報を記した記事が、朝日新聞に掲載された。
  ・ 検体の濃度が低下するので、感度が下がる。(精度が下がる。)
  ・ 市中の陽性率が上がると、再検査が必要となるので、コスト低下の効果が減じる。

 という話だ。
 特に後者について、一部抜粋しよう。
 早期発見は期待できるが、陰性でも感染していないことの証明にならない精度だという点には注意が必要だ。
 厚労省研究班によると、100人に1人が感染している場合(陽性率1%)、5人分の検体をまとめると、個別検査よりも試薬や消耗品を75%ほど減らせる。陽性率が10%だと、削減効果は40%ほどに下がる。検査時間は、陽性率が1%では半減できたが、10%では個別検査とほとんど変わらなかった。
( → 「プール方式」のPCR、破格の安さ でも精度には注意 :朝日新聞

 なるほど。定量的な情報があるので、有益だと言える。
 とはいえ、肝心の( )の話が抜けているね。( )の話も、朝日の記事だったので、参照するべしと付言しておけばよかったのにね。


 (4) 病床不足と赤字

 病床不足の理由については、先日の項目で、考察した。
  → 看護師不足への対策: Open ブログ

 そこでは、患者を受け入れた場合の支給額は7万円で、やや物足りないと評価しいた。
 しかし現実には、まったく不足していて、病院は大幅赤字だそうだ。そのことを記した記事がある。
 大阪府。ある民間病院は昨年7月から、約400床のうち5床をコロナ患者用とし、軽症・中等症患者を受け入れている。黒字経営だったが、昨年4〜6月期で1億5千万円ほどの赤字になった。受け入れ前から始まった感染の第1波で、感染を懸念する人たちの受診控えなどで外来患者が約3割減ったためだ。
 第1波がおさまっていくと受診控えも解消していった。黒字に戻せそうになった矢先、昨秋以降の第3波が起きた。コロナ患者用ベッドはほぼ満床だ。実施した医療サービスに対して公的医療保険から支払われる診療報酬は、コロナの入院患者1人平均1日7万円ほど。肺炎患者を受け入れた場合の5万円より高いが、事務長は「コロナ患者への対応は一般患者の2倍の手間がかかる」という。
( → コロナ病床ない民間病院も患者受け入れ 大阪の病院調査:朝日新聞

 政府は1日7万円で十分だと見込んだようだが、現実にはコロナ対策にはすごく手間がかかるので、コストは普通の倍額( 10万円?)ぐらいかかるようだ。これでは赤字となるだろう。
 患者を受け入れれば受け入れるほど赤字になるのだから、病院としては受け入れたがらないのも当然だろう。上の例では、400床のうち5床だけがコロナ用だということだが、これ以上増やす気になれないのは、当然だろう。かくて、病床不足が起こる。
 つまり、病床不足の理由は、「1日7万円」という支払額が少なすぎるからだ……ということが、上の記事から判明したわけだ。

 ※ 病院は、黒字経営が大幅な赤字経営(月5千万円の赤字)に転じてしまったということだが、その理由は、病院全体の患者数が3割減になったことだ。コロナ治療の赤字で、大幅赤字になったわけではない。(5床だけなので、コロナ治療の赤字の絶対額はあまり大きくない。とはいえ、病床傍証の数を増やすと、赤字の総額も大幅に増えてしまう。だから、コロナ用の病床を増やさないわけだ。)
 

 (5) うつ伏せで改善

 うつ伏せになることで、肺の状態が改善して、症状が全般的に改善する……ということが報告された。
 患者にうつぶせになってもらう治療法は「腹臥位療法」と呼ばれ、医師でエッセイストの故・日野原重明さんらが推奨してきた。
 中等症患者23人に1日計7時間、腹臥位療法を実施。その結果、血液への酸素の取り込み具合をみる指標は全員が改善し、呼吸回数も記録のある18人中16人が減少した。23人中2人は人工呼吸器の使用を回避できたという。
 大利さんは、効果の背景に患者の肺の機能を生かす発想があると言う。新型コロナの肺炎では、背中側の肺がダメージを受けることが多く、仰向けだと酸素を十分に取り込めない。うつぶせになることで、より健康な腹側の肺に血液が流れて酸素の取り入れがよくなるという。
( → 「うつぶせでコロナ重症化防ぐ」都立病院の看護師ら検証 :朝日新聞

 日野原重明さんの方法か。さすがに、日野原重明さんだ。サリン事件のときに獅子奮迅して大活躍したのに続いて、コロナでも救世主になるのか。死してなお活躍するとは、すごい。(死せる孔明、生ける仲達を走らす。)

 さて。これを読んで、「仰臥位(あおむけ)よりも腹臥位の方がいいとは、どういうことだ?」と不思議に思う人も多いだろう。だが、そういうことではあるまい。 
 私の解釈では、次のように理解できそうだ。
 「仰臥位に比べて、腹臥位が優れている、ということではない。仰臥位と腹臥位を交替することで、背中側と腹の側で、負担をほぼ半分ずつ分けあう。そのことで、片方だけの負担が増えて弱ってしまうことを防ぐ」
 比喩的に言うと、右手だけで荷物を持つと右手が疲れるから、右手と左手をかわるがわる使う……というようなものだ。そういうことだろう、と理解される。

 《 加筆 》
 参考情報がある。裏付けとなる話。
 挿管や人工呼吸器に頼ることを避けるために私たちができることはほかにもある。患者の体位変換(患者をうつ伏せや横に寝かせること)を行うことにより、新型コロナ肺炎で最も影響を受ける下肺と後肺が開くことができる。
 酸素投与と体位変換は患者の呼吸を助け、多くの場合、病気の進行を防ぐように見受けられた。カプトによる予備研究では、新型コロナ肺炎が進行した患者4人のうち3人が、この戦略で対処した直後の24時間内に人工呼吸器を必要としなくなったとのことだ。
( → コロナ「突然重症化した人」の驚くべき共通点 | The New York Times | 東洋経済オンライン

 体位変換という形で、体位を交替させることが重要だ、とわかる。
 
   *   *

 一方で、「腹臥位の方がいい」という話も見つかる。
  → Prone positioning for patients with hypoxic respiratory failure related to COVID-19 | CMAJ

 図で解説されているが、心臓は体の前面側にある。仰臥位では、上にある心臓の重みが、下にある肺を圧迫する。腹臥位では、下にある心臓の重みが、上にある肺を圧迫しない。ゆえに後者の方が、肺への負担が少ない。

 ※ ただし私見では、上の話はおおむね副次的な効果にすぎないと思う。大切なのは、体位を交替させることだ。腹臥位だけにするのは、やはり問題があると思う。

 他にも英語参考文献がある。
  → https://bit.ly/3j1grKE (検索一覧)
 
posted by 管理人 at 23:25| Comment(1) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
くだらない書き込みで失礼します。
経験上、私はうつ伏せ寝の方が寝付きが良いので、なぜだろうと考えると、自然界において人類が仰向けで寝るのは、外敵から身を守る上においていかにも不自然で、本来うつ伏せで寝るのが自然な姿なのではと解釈し、仰向けですやすや眠る人を不思議に思っておりました。
今回、腹臥位療法なるものがある事を知り、まさに我が意を得たりの思いです。
Posted by murata at 2021年02月01日 10:26
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