2021年01月27日

◆ 看護師不足への対策

 コロナの患者が増えて、医療崩壊の状況になっている。解決するには、看護師の不足を解消するべきだが、どうすればいいか?

 ――

 (1) 看護師の不足

 コロナの看護師が不足している、という話は、前にも記した。
  → 自衛隊の看護師を派遣するな: Open ブログ
  → 新型コロナウイルスの話題 29: Open ブログ

 そこでは、対策として「給料を上げる」という方法も記した。とはいえ、依然として問題は解決していない。給料の相場も安いままだ。


 (2) 原因

 ここで、原因を探ろう。看護師不足なのに、給料の相場も安いままだというのは、どうしてか? 
 ここでは、市場原理が正常に働いていないことになる。
 「需要が多くて、供給が不足している。なのに、市場価格が上がらない。そのせいで、数が不足したままだ」
 というふうになっている。では、どうしてか?

 私が推定する原因は、こうだ。
 「コロナの看護師が大幅に不足するのは、この冬の数カ月間だけだ。特に不足が激しいのは、1月と2月だけだ。たったの1〜2カ月ぐらいのために、看護師を新規に正規雇用することはできない。なぜなら、いったん正規雇用したら、解雇は難しいからだ。
 では、正規雇用でない非常勤雇用にすればいいか? いや、非常勤雇用だと、労働者の質を保てない。いい加減な看護師にコロナの患者を任せるわけには行かない。
 結局、正規雇用もできず、非常勤雇用もできない。だから、看護師不足の状況でも、新たに看護師を雇用しようとしない」

 さらに、次のこともありそうだ。
 「雇用するために、高い給料を払うつもりはない。どうせ雇用するのなら、従来通りの安い給料で来てくれるような、都合のいい看護師だけだ。そして、そんな人はほとんどいないから、誰も雇用されない。
 結局、安い給料の求人広告はあふれているが、応募する人はいない」

 以上のようなことが原因となって、「看護師不足なのに、給料が安いままなので、看護師不足は解消しない」という結果になる。


 (3) 対策:公的な派遣

 困った。どうする? そこで、困ったときの Openブログ。うまい方法を出そう。こうだ。
 「国または自治体が、看護師を(非常勤の形で)正規雇用する。その上で、請負または派遣という形で、看護師を病院に臨時的に提供する」

 この場合、看護師は、国または自治体に(非常勤の形で)正規雇用されている。各種の社会保険にも加入できる。正規職員とは違って非常勤職員なので、将来的な昇給の見込みはないし、長期の雇用保障もないのだが、そのかわり、短期的にはかなり高い給料をもらえる。(相場以上の額。時給 2000円ぐらいが相場だが、コロナ対応の場合には時給 3000円以上をもらえる。)

 労働者の側から見ると、正規職員ほどの安定性はないが、そこそこの安定性がある。また、短期的には大幅に高い給料をもらえる。したがって、特に大きな不満はないだろう。(人による。それでは不満だという人は、正規職員に応募すればいい。ただし勤務条件などはかなり厳しくなる。)

 病院としては、「忙しい時期だけに派遣を受けることができて、いつでも派遣の取り消しができる」というふうになるので、好都合だ。コロナの流行が終わったあとでも雇用する義務がないからだ。
 ただしその代償として、かなり高めの時給を払う必要がある。額は 3500円ぐらいだ。このうち、時給 3000円が労働者に払う分で、差額の 500円は事務手数料として、派遣元(国または自治体)に払われる。


 (4) 対策:医療予算の増額

 病院の側は「時給 3500円なんていう高い額は払えないぞ」と思うかもしれない。その場合には、ちゃんと払えるように、国が高い医療費を払うようにすればいい。つまり、予算を付けるわけだ。

 実は現状でも、かなり高い額が給付されている。だが、病院の側から見ると、現状の金額では全然足りないそうだ。そのせいで、患者を受け入れる病院には、大幅な赤字が歯発生しているそうだ。
  → コロナ患者の単価、軽症5万4000円・中等症8万円・重症14万2000円で、投下コストに見合わず

 とすると、看護師不足の根本原因は、国の支払う金額(患者一人あたりの額)があまりにも低すぎるのが原因だ、と言えるだろう。
 だから、医療費の予算を増やせばいいのだが、しかし現実には、こうなっている。
 今年度第3次補正予算案は、26日の衆院本会議で、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。立憲民主党や共産党は「Go To」事業などを撤回し、医療機関や生活困窮者への支援を強めるよう予算の組み替えを求めたが、与党に退けられた。
( → Go To1兆円、衆院通過 野党の組み替え要求退ける:朝日新聞

 「 GoTo に予算を付けることが最優先されて、医療費には予算を付けない」という自民党の方針が明白に表れている。
 もう、滅茶苦茶である。


 (5) 病床への補助金

 「コロナ患者を受け入れる病院には大金を払う」という制度は、前に報道されたことがあるはずだ。そう思って、調べ直してみると、実は、そうではなかった。あるにはあるが、不十分なものなのだ。

 まず、これがある。
 東京都は、年末年始も新型コロナウイルスの医療提供体制を確保するため、その期間に入院患者を受け入れる医療機関に対し、患者1人1日当たり、重症で30万円、軽症、中等症では7万円を支払う
( → 年末年始 コロナ重症患者受け入れの医療機関に30万円 東京都 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

 これは、あるにはあるが、年末年始の時期に限られている。それ以外の時期には適用されない。これでは不十分だ。

 では、補助する制度は、何もないのか? 「患者を1人受け入れるごとに金を払う」という制度はないとしても、別の制度はないのか?
 実は、ある。「重症者用の病床1つごとに 1500万円を払う」という制度がある。詳細は下記。
  → 新型コロナ受け入れ医療機関の人件費等を補助、重症者ベッド1 床当たり1500万円など―厚労省
  → 新型コロナウイルス感染症患者の入院を受け入れる医療機関向けの財政支援と神奈川モデル認定医療機関の認定手続について

 この制度は「患者1人ごとに」ではなく、「病床1つごとに」である。では、これは有効か? 「有効だ」と思って、政府は高額の予算を給付したのだろう。
 しかし、よく考えると、そうではない。なぜなら、病院として最も合理的な方針は、こうだからだ。
 「たくさんの病床を設置するが、そのすべては稼働させないでおく」(遊休させておく)

 こうすれば、1500万円ぐらいの金をもらって、何もしないでいることができる。(濡れ手に粟だ。)
 まあ、患者1人ごとに、普通の金はもらえるのだが、そんなふうにまじめに仕事をして赤字を増やすよりは、何もしないで 1500万円だけもらう方がずっとお得である。
 というわけで、看護師を新規雇用することもなしに、何もしないでベッドを遊休させておく……という事態が頻発するわけだ。
 まあ、馬鹿丸出しの制度と言える。

( ※ 元はと言えば、「患者一人あたりの給付金が少なすぎること」が根本原因ではある。ただし、そのまた原因は、「菅首相が GoTo ばかりを重視して、医療予算を削ったこと」にある。自民党でなく立憲が政治をしていれば、こんなことにはならなかったのだが。)
 
posted by 管理人 at 23:49| Comment(4) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
議員の仕事は支持者からの俺たちに金よこせという陳情に応えることです。
今は自民が政権とってるから野党に陳情しないので、野党は好き勝手言えるんです。
陳情を無視すれば落選しますんで、立憲が政権取ってれば陳情に応えて同じことしてますよ。
もししないなら選挙で負けて政権から追い出されます。
Posted by 通り掛り at 2021年01月28日 08:52
 世の中には、事業者よりも被雇用者(従業員)の方が圧倒的に多い。
 金よこせという事業者をすべて無視しても、労働者に金を与えて票をもらえば、圧勝できる。
Posted by 管理人 at 2021年01月28日 09:01
圧倒的に多くても投票しないんだから選挙においてはいないのと同じです。
投票する事業者を買収すれば選挙に勝てるし、やらなければ負ける。
これが現実で、だからこそ自民は今も政権にいるんです。
Posted by 通り掛り at 2021年01月28日 09:44
 それ、本項のテーマ(看護師不足)と関係ないでしょ。
 あなたの説に従うと、看護師不足の対策で、看護・医学の業界に金をぶっ込めば、その業界の票を得られることになる。自民がそうしないことの理屈になっていない。

 GoTo は、旅行や飲食業界への支援(直接給付)ではなくて、一般大衆へのバラマキ・買収政策だから、これはあなたのいう話(業界の陳情)とは違う。国民が望んでもいないのに、菅首相が勝手に金をばらまいているだけだ。
 どうせ買収なら、立憲の言う「特別給付金の再交付」のほうが、よっぽど有効だろう。
Posted by 管理人 at 2021年01月28日 11:32
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