2021年01月23日

◆ 欧州の CO₂ 排出規制

 欧州の CO2 排出規制への、自動車各社の対応の状況。( VW社、トヨタ、日産の EV・HV の状況)

  【 追記 】 最後に、ホンダの状況を追加しました。

 ――

 次の記事があった。
 《 EUの新車CO2規制で明暗 VWは未達、トヨタなどクリア 》
 2020年に欧州連合(EU)が導入した新車の二酸化炭素(CO2)排出規制で、メーカー間で明暗が分かれた。各社は電動化を進め、トヨタ自動車や独ダイムラーなど多くの企業がクリア。一方、欧州最大手の独フォルクスワーゲン(VW)は大幅に削減したものの規制値に届かなかった。
 VWは21日、新車平均で走行1キロメートルあたり99.3グラムを求められた同社の規制値を0.5グラム超過したと発表した。
( → 日本経済新聞

 前に別記事で、「 VW の電気自動車はいっぱい販売された」ということだったので、VW が未達だというのはちょっと不思議だった。また、トヨタや日産の状況も知りたくなった。
 そこで調べると……

 (1) VW

 ゴルフの EV は、2019年にはたくさん売れたが、2020年末をもって生産中止になった。かわりに新世代の ID.3 に替わった。
  → なぜいま 人気の電気自動車「e-ゴルフ」が生産終了? VWが見据える今後のEV戦略とは
 その一方で、 ID.3 は、コロナの影響で、生産が順調でなかった。
 20年に出荷を始めた主力の電気自動車「ID.3」の拡販で一気に達成する考えだったが、新型コロナウイルスで生産が滞り出荷が遅れたことが響いた。
 20年は未達だったVWは「さらなるEVの投入で今年は達成できる」(ヘルベルト・ディース社長)と強調している。(日経)

 ただ、VW は販売台数の総数が多いから、必要となる EV の販売台数も多くなる。比率でなく販売の絶対数で見ると、VW の販売した EV の台数はそこそこ多い。(ルノーのゾエほどではないが。)
  → 【世界全体編】EV/PHV/PHEV 年間 販売台数ランキング TOP20【2019年 最新】


 (2) トヨタ

 トヨタは、EV の販売数は少ないが、ハイブリッドの販売数がとても多いので、排出規制は楽々クリアした。排出量も少なく、最も余裕がある。ただし、今後も厳しくなる規制をクリアするには、ハイブリッドでは足りず、EV を増やす必要があるので、先の見通しは甘くない。
  → 欧州二酸化炭素排出量レポート発表 トヨタ、シトロエン、日産が好成績を記録!
 
 (3) 日産

 日産は、重い SUV の販売が多いので、不利なのだが、その分、課される規制値も甘めになっている。それに、リーフの販売台数があるので、規制値をクリアできている。
  → 欧州二酸化炭素排出量レポート発表 トヨタ、シトロエン、日産が好成績を記録!

 日産はさらに、欧州で e-POWER を発売する予定だ。車種は SUV のキャシュカイ。
  → 日産 キャシュカイ 新型、欧州初の「e-POWER」設定 2022年発売

 これを見ると、エンジン直結モードはないので、高速燃費は良くならないようだ。それでも市街地の燃費は良くなるので、排出規制をクリアするには有利だろう。

 日産は、これに加えて、EV のアリアを発売する予定だ。両者によって、電動車の販売台数を5倍に増やす予定だ。
 日産は、「e-POWER」と並んで、ピュアEVのSUVである、「アリア」もグローバル展開する予定で、2022年以降は電動系テクノロジー車の販売比率をいちだんと高めるもくろみだ。
 とくにヨーロッパでは、次期キャシュカイとともに、人気のSUV市場に攻め入ることで、電動系モデルの販売を5倍に増やすという。
( → 日産「e-POWER」が、海を渡って欧州に:旬ネタ|日刊カーセンサー

 現在の 日産(欧州)は、EV の比率は9%。HV はゼロ。ガソリンとディーゼルは 91%。この9%が5倍になると、45%。91%はそのまま残ると仮定すると、合計で 136%。そのうちの 45% は、136% に対して 33%となる。つまり、日産は電動車の販売比率を 33% に上げることになる。
 これが実現すれば、日産は排出規制で非常に優等生になると言えそうだ。それというのも、ハイブリッドと EV の双方の路線を持つのは、日産だけだからだ。トヨタはハイブリッドばかりで EV が弱いし、VW は EV ばかりでハイブリッドが弱い。双方の路線を取れる日産はかなり有利だと言える。
 ただし、肝心のリーフが旧式のままで、販売増加ができないのが痛い。アリア頼みだと、ちょっと苦しいね。
 どうせなら、ノート e-POWER を欧州で販売すれば、すごく売れそうなのだが、どうしてそうしないんだろう? 設備の遊休しているルノーの生産ラインを借りれば、双方で win-win になりそうだが。

 ――

 なお、日産は e-POWER の電池容量を少し増やして PHEV にする……という計画を持たないそうだ。
Q プラグイン・ハイブリッド(PHEV)の計画はありますか?

A 「わたし達が提供するものではありません。わたし達は、eパワーがPHEVよりも親しみやすさと低コストを実現できると確信しています」
( → 【欧州初のeパワー採用】次期日産キャシュカイ パワートレイン詳細発表 eペダルも | AUTOCAR JAPAN - (4)

 残念ですね。もったいない。 e-POWER の電池容量を少し増やすだけで済むのに。



 【 追記 】
 ホンダは(欧州では)最も出遅れた感じだったが、今年に入って大攻勢に転じた。ハイブリッドを大々的に展開する。
 新型『HR-V』(日本名:『ヴェゼル』)の HV を2月に発売。
  → ホンダ HR-V 新型、2月に欧州発表へ…初のハイブリッド設定
 新型『ジャズ』(日本名:『フィット』)がそれに続く。「欧州でのラインナップをハイブリッドに1本化」とのことだ。
  → ホンダが欧州フル電動化計画を前倒し、2022年までに達成へ…新型EVとハイブリッドも投入

 ホンダの HV は、日産の e-POWER と同様のシリーズ方式で、しかも、エンジン直結モードがあるので、欧州では日産よりも圧倒的に有利だ。(欧州では高速燃費が重視されるので。)
 これに比べたら、日産の e-POWER は勝ち目がないので、フィットと戦うことはできそうにない。SUV に逃げ込むしかない。しかし SUV の e-POWER を出しても、ホンダがエンジン直結モードのハイブリッドを出したら、たちまち完敗して、生産縮小に追い込まれるかも。
 エンジン直結モードは、ホンダの例からすると、コストは 10万円ぐらい。このコストを惜しんで、日産は欧州で大失敗するかも。(ホンダに叩きのめされる形で。)
 

posted by 管理人 at 19:40| Comment(0) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
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