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現代の若者が保守化したのは、なぜか? ……この問題的には、これまでもいろいろと考えてきた。そのすえに、改めて考え直すと、こう結論したい。
「若者が保守化したのは、変革に対して恐怖心をもっているからだ」
それはどういうことか? 通常、保守化というと、右翼的な体質を連想する。右翼的というと、強くて大きなものに憧れるマッチョな体質と結びつきやすい。しかしながら、現代の若者には、そういうマッチョな体質はない。右翼的な体質はない。
むしろ、その逆だ。彼らには、プラスに憧れる熱情があるのではなく、マイナスを避けたがる恐怖心がある。それは臆病さだ。その臆病さゆえに、変革を恐れるのだ。
現状維持ならば、少なくともマイナスがない。(プラスもないが。)
一方、変革が起これば、プラスとマイナスが同時に生じるだろう。そういうふうにプラスとマイナスの双方が発生する変革に対して、昔の若者はプラスを期待して、「ならば変革を」と望む強さがあった。しかし現代の若者はマイナスを懸念して、「ならば現状維持を」というふうに望む弱さがあるのだ。
かくて、変革を恐れる若者にとっては、現状維持こそが安寧の場となる。現状を崩されることを極端に恐れているがゆえに、安定を求めて、保守化するのだ。
つまり、「変革に対する恐怖心」――これこそが、若者の保守化の理由である。
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ただし、このことは、若者だけに当てはまるわけではない。中年以降の男性にも、当てはまることが多い。
一般に、人は、若いときには活力があり、年を取ると活力がなくなる。だから、活力のある若者は変革を望み、活力のない中高年は変革を恐れて保守化する。……これが通常、人類の歴史で繰り返されてきたことだ。
ところが、現代においては、若者の方が中高年よりも活力がなくなっている。だから、中高年よりも若者の方が保守的である(≒ 自民党支持率が高い)という逆転が起こる。
ではなぜ、若者の方が中高年よりも活力がなくなっているのか? それは、スマホのせいだろう。若者はスマホに夢中になって、すっかり骨抜きになって、牙を抜かれているのである。「去勢された状態」とも言える。……こうして現代の若者は活力を失って、その結果として、保守化することとなった。「若くして老いている」とも言える。
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なお、似た話は、前にも述べたことがある。
(1) 活力の低下・享楽性
活力が低下して、目先の享楽を求めるから、保守化した……という説。
→ 日本人はなぜ保守化したか?: Open ブログ
「日本人は近年、急激に保守化した。その理由は、現状に安定したがることである。現状を変えるのが怖くて仕方ない。少しでも今の生活を守りたい。今が貧しくても、その貧しい生活を最低限のものとして守りたい。現状を変革したくない」
では、どうしてそれほどにも保守的になったのか? どうしてそれほどにも変革を恐れるようになったのか? その理由は、こうだ。
「日本人は近年、活力が大幅に低下した。戦後の高度成長期には、人々の活力は非常に高くて、少しでも現状を変革して、さらなる高みに進もうとしていた。しかし今の人々は、そういう向上心はない。むしろ、努力もしないで、目先の楽しみを享楽しようとする」
(2) スマホのせい
画面の小さいスマホのせいで、視野が狭くなったから、保守化した……という説。
若者の菅支持はなぜ?: Open ブログ
若者が自民党を支持するのは、スマホのせいである。スマホだと、画面が小さい。そのせいで、物理的に視野が狭くなる。そのせいで、思想的にも視野が狭くなるのだ。思想的に、ごく狭い範囲のことを理解するだけであって、広く理解することができなくなるのだ。
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上の (1)(2) を発展させる形で、本項の説が出る。
「スマホのせいで活力が低下したから、現状を変えるのが怖くて仕方ない。こういう恐怖心こそが、保守化の理由である」
というわけだ。
一方、昔の若者は、スマホがなかったので、活力があった。テレビというものが出たが、テレビのせいで、むしろ活力が高まったとも言える。というのは、初期は力道山のプロレスがあり、その後は、金田正一や長島茂雄や松井秀喜といったプロ野球があった。そのいずれも、勝負に熱中する形で、人々の活力を高めた。そこには男同士のバトルがあったし、見る側にも汗と熱気があった。
その後、テレビゲームが流行した初期には、暴力的な対戦ゲームがあったが、ここにも、汗と熱気があった。
今のスマホには、そういうものはない。かわりにあるのは、ゲームの世界でピコピコと戦うことか、さもなくば、萌えキャラと少女遊びをすることぐらいだ。前者にはまだしも弱い熱気があるが、後者にはもはや熱気などはない。簡単に骨抜きにされてしまっている。
小学生ぐらいの子供が夢中になるというのなら、まだわからなくもないが、高校生以上になっても、こんなのに熱中する人が多いのだから、世も末だ。まさしく骨抜きにされてしまっていると言える。当然、社会を変革しようという活力などはない。むしろ、部屋に引きこもって、いつまでも小さな画面のなかの少女と向かいあっていたいのだろう。
彼らにとっては、この小さな画面のなかの2次元世界こそが、彼らの全宇宙なのであって、それを失うことこそが何よりもの恐怖なのだ。だからこそ、できる限り現状維持を望む。その結果として、コロナが蔓延する事態になっても、ずっと自民党を支持し続けるのである。
コロナのような大惨事があると、昔の若者ならば、「社会に目を向けよ。社会に怒れ」と騒ぐところだが、現代の若者は、「社会にはなるべく関与しないで、バーチャル世界と SNS 世界に逃げ込もう」というふうに考えがちだ。だからこそ、コロナが蔓延しても、自民党支持を続けるのである。
【 関連項目 】
→ 選択的夫婦別姓を諦めよ
※ コロナ時代でも人々は無能な自民党政権を支持する……という話を含む。
私はこの3Sに、スマホ、SNSをあわせて5Sにパワーアップさせているのでは、と考えています。さて誰がさせているのか……
https://ja.wikipedia.org/wiki/3S%E6%94%BF%E7%AD%96
まともでなくてもいいんです。最悪でさえなければ。
自民党が好きな人なら、公明党でも選んでおけば?
これは初耳です。そんなのがあるんだ。へえ。
消去法で、国民民主党 でしょうかね。
国民民主党以外の党は、0点。
自民党が過半数を割れば、それだけで、世の中はまともになります。
悲しい現実です。
藤井教授は「唖然としました…菅内閣を支持している人が未だ4割程度おられるのですが、彼等が選択した支持理由トップ項目がナント 『特に理由はない』」と投稿。「41.8%もの人が理由無く菅政権を支持してるのです
藤井聡教授 菅内閣を支持する人々の理由に「唖然」https://news.yahoo.co.jp/articles/8fe1ddf75e491a1a542beb7d785bed6e899dc77a
誤:維新の党
正:日本維新の会
→ https://twitter.com/ShinHori1/status/1379307593781313536
→ https://b.hatena.ne.jp/entry/s/twitter.com/ShinHori1/status/1379307593781313536