2021年01月15日

◆ 原発の将来

 原発のコスト計算をしてみよう。付帯条件を加味すると、かなり高額になって、火力発電並みになるという。では、原発に将来はないか? 

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 原発のコスト計算をすると、単純なコストは kwh あたり 6円ぐらいで安い。だが、地元振興費や廃炉費用や事故補償費などを込みにして計算すると、9円ぐらいになって、火力発電の 10円と大差ないという。また、米国内ではシェールガスが激安なので、米国は火力発電が有利らしい。
 では、原発に未来はないか? 

 少なくとも日本に関しては、地震国なので、原発はあまり有望ではない。これで話は片付いてしまいそうだ。
 では、日本は別として、他の国は?

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 特に、インドや中国を考えると、「原発はかなり有望だ」と思える。その理由はこうだ。
 「広大な大陸に属して、内陸部分が広いので、海外からの燃料を運搬するのが困難だ」

 日本のような島国なら、沿岸部に火力発電所を設置すればいい。しかし中国やインドではそうは行かない。石油や LNG を内陸部まで延々と運ぶことは大変だ。一方、ウランならば、簡単に運べる。というわけで、中国やインドでは、原発はとても有望だろう。

 別の理由もある。石油や LNG は、輸入物資のコストがとてもかかるので、途上国にとっては代金の支払いが大変だ。一方、地元対策費ならば、国内でまかなえるので、大きな問題はない。また、その支払金額も激安で済む。(途上国だから。)

 また、将来の廃炉費用も、現時点での中国やインド(つまり途上国)が払う必要はなく、成長後に支払うことができる。

 さらに言えば、近年、LNG が大幅に不足している。中国が石炭発電をやめて、LNG に転換しているからだ。さらに将来は、もっと逼迫しそうだ。(中国の人口は 13億人。これは、日本・米国・欧州の全人口の2倍にあたる。)
  → 電力の需給逼迫が続く: Open ブログ

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 以上のような理由で、「内陸部にある途上国」という限定を付ければ、原発が最も有望だと思える。火力発電所は、対抗力を持ちにくい。
 どちらかと言えば、太陽光発電の方が有望だ。モンゴルあたりで巨大なメガ・ソーラーができたとしても、不思議ではない。(今すぐではなく、将来のことだが。)

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 ただ、原発の建設には、技術が必要だ。ところが、欧州では、20年ぐらい原発の建設が(ほとんど)なかったせいで、技術が途絶えてしまったそうだ。アレバ社が現在、原発を建設中だが、完成予定が6年延びて、コストが倍増しているという。その理由は、この 20年のうちに、技術の継承が切れてしまったからだそうだ。( 朝日新聞・朝刊 2012-02-04 )
 日本では、現在、そういう心配はないが、いつかはそうなる可能性もある。技術の継承は必要だろう。
 「原発を捨てた日本が、他国へ原発を輸出するのは、けしからん」
 と批判する反原発論者もいる。だが、まともな技術をなくせば、原発がなくなるのではなく、まともな原発がなくなるだけだ。つまり、欠陥原発ができるだけだ。

 ――

 日本に原発を設置するのが不向きだからといって、他人の国土についてまで口出しするのは、おせっかいが過ぎる。それは内政干渉というものだ。
 中国やインドの電源については、あまり口を出すべきではない。何かを言いたければ、口を出すよりは、金を出すべきだろう。途上国について、「原発は駄目」というのであれば、「火力発電の費用を出します」と言って、金を出すべきだ。
 したがって、これらの人々はまずは、「日本国内で消費税の値上げ」と提唱するべきだろう。
 「地球上から原発を廃止するために、他国の火力発電の建設費用を出します。そのために日本人が大幅に金を負担します。だから消費税を大幅に上げましょう。5%から20%に」
 と。(ありえないが。)

 結局、日本以外の内陸国(地震の危険のない地域)では、原発は有力な電源なのである。そして、そのための技術は、日本で保持しておくべきだろう。
 
posted by 管理人 at 23:55| Comment(5) |  放射線・原発 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
核分裂によるエネルギーの取り出しを終息する為に とてつもなく長い下り坂が控えてます 欧州の事情は知りませんが 維持 管理する人材すら定年間近の方が多く 超耐熱特殊配管が多用されてる圧力容器 炉芯では職人仕事とも言える高品質な溶接が必要ですが そんな仕事を常時受ける下請け 技術者 どこにもいないとか  解体には設計 建設以上に困難な状況があるでしょう
 原子の火 暗い光 物がなければ陰ささず  
優秀な若い人が 必要になるんですがね
Posted by k at 2021年01月16日 23:43
 内陸(国)においての原子力発電の有望性は、炉心冷却水の問題がクリアできるか否かにかかっていると思います。河川・湖沼からの水量(天然ガス発電の数倍といわれる)そのものの安定確保、プラント温排水が環境に与える影響、熱波・渇水への備え等々、色々あります。下のリンクは、原発に限らずいろんな方式の発電を、「水ストレス・克水性」という観点で整理したものです。
 これによると、「(内陸の原発で)河川水による冷却の場合、日本の海水による冷却の場合に比べて取水量は少ないが、例えばフランスなどでは、排水量の温度上昇のほうは10〜15℃と高くなる(日本の海水方式は一般的に7℃といわれている)。また、熱波や渇水などで河川温度が上昇すると、河川水(二次冷却水)と低圧水(水蒸気から復水後の一次冷却水)との温度差が縮まるので、熱交換の効率が低下して冷却能力が落ちる。そうなると、復水前の高温高圧の水蒸気からタービンを回して取り出せるエネルギーも減り、出力(発電力)が減少する。定格出力を割り込むこともあり得る」そうです。
 ※ 記事内の原文は日本語がかなりおかしいので、私のほうで一部修正してあります。

 http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/renewable_energy/occasionalpapers/occasionalpapersno108
Posted by かわっこだっこ at 2021年01月17日 00:02
 冷却水の問題は、火力発電所でも同様なので、話は同等でしょう。

 ライバルとなるのは、水力発電所や太陽光発電所や風力発電所でしょうか。これらは冷却水を必要としないので、冷却水を争点とすることができます。
Posted by 管理人 at 2021年01月17日 00:32
> 冷却水の問題は、火力発電所でも同様なので、話は同等でしょう。

⇒ 上の私のコメントの趣旨は、参考記事とあわせて、火力発電所よりも原発のほうが多量の冷却水を必要とする、また渇水・熱波に弱い、よってこれらのことも考慮すると内陸部では原発のほうが有利(新規建設は有望)だといえるのでしょうか?、という問題提起です。
Posted by かわっこだっこ at 2021年01月17日 11:14
 私の話は、「原発の方が有利なので、原発が火力発電所にすべて取って替わる」という話ではなくて、「内陸部のうち、いくらかの部分では、原発も可能だろう」という程度の話です。「世界規模では原発は全廃ではない」という話。「内陸部では原発が圧倒的多数になる」という話ではありません。まあ、冷却水の豊富なところなら、何とかなるのでは? 火力発電所の燃料を運搬することの方が、難易度は高い。
Posted by 管理人 at 2021年01月17日 11:33
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