2021年01月15日

◆ 「天気の子」の降雨量

 アニメ「天気の子」では、長雨のせいで東京が水没することになっているが、どれほどの降雨量があったのか?

 ――

 東京が水没するほどの降雨量というと、どのくらいの量か? 
 実は、どれほど多くの降雨量があっても、東京は水没しない。なぜなら雨はみんな、東京湾に流れ出てしまうからだ。
 仮に東京が雨で水没するとしたら、短時間に大量の雨が降った場合(極端な集中豪雨があった場合)である。しかしその場合は、雨が激しすぎて、戸外を歩くこともできないほどになる。
 アニメでは、そんなに激しい雨は描かれていない。単に「雨の期間が長い」というだけだ。しかし、単に「期間が長い」というだけでは、雨は少しずつ排出されてしまうので、地上が水没することはありえないのだ。

 これを実際に推定した人もいる。
  → 『天気の子』では、雨で東京が水没! どれだけ降ったのか?|空想科学研究所

 「水位は60mくらい上がったと思われる」
 とあるので、そのくらい水位が上がったことになる。
 これは、雨が降っただけなく、海面の上昇があったことになる。南極の氷が溶けると、そういうこともあるようだ。
 だが、その場合は、天気には関係なく、海面上昇で東京が水没したことになる。のみならず、東京以外の世界中で、海面上昇で各地が水没したことになる。……しかしそれでは、「東京だけが雨で水没した」という設定と矛盾する。

 ――

 結局、「天気の子」の「雨で東京が水没」という設定は、ありえないことだ。非科学的。
 思えば、「君の名は。」でも、「彗星が太陽の手前で曲がる」という変な軌道を描いていた。これも非科学的だった。
  → 映画「君の名は。」を観て、オヤジ的検討などいろいろ: 映画「君の名は。」 ティアマト彗星の軌道について

( ※ のちに発売された DVD 版では、軌道が修正されていた。テレビ版は、未確認だが、たぶん修正されていたのだろう。)

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 まあ、アニメの科学性なんて、細かく突っ込む必要はないのかもしれないが、上記の点で、指摘している人がネットに見当たらなかったので、災害を詳しく扱う本サイトとしては、言及しておくことにした。

posted by 管理人 at 23:57| Comment(4) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
> まあ、アニメの科学性なんて、細かく突っ込む必要はないのかもしれないが、上記の点で、指摘している人がネットに見当たらなかったので、災害を詳しく扱う本サイトとしては、言及しておくことにした。(※1)
> アニメでは、そんなに激しい雨は描かれていない。単に「雨の期間が長い」というだけだ。しかし、単に「期間が長い」というだけでは、雨は少しずつ排出されてしまうので、地上が水没することはありえないのだ。(※2)

⇒ 本稿の趣旨(主張骨子)は上の※2であることは承知していますが、まずは※1についてコメントさせてください。他にも雨量や水位について指摘したサイトはありますよ(下の@)。といいますか、本稿で紹介されているサイト(記事)の考察は全然不十分でしょう。当該サイトでは、一部分の考証の間違いによる描写(レインボーブリッジが橋げたまで水没していること)のみを取り上げて、そこから全てを演繹して、「東京湾の海面上昇は60mと見込まれるから、東京全部が水没したはず」と結論付けています。しかし、もし仮にそうだとすると、重要なラストシーンである「主人公の少年少女が、昔少女が住んでいたアパートがある田端駅付近の坂道の途中で、3年(2年半?)ぶりに再会する」という描写も成立しなくなってしまいます。そのシーンだけではなく、映画のラスト十数分(主人公の少年が、3年後に離島からフェリーに乗って再び23区内にやってくるパート)を全体に見れば、都内が完全に水没していないことは一目瞭然なのですが……。
 それに対して、@のサイト(映画の内容と小説の内容をあわせて詳しく検証している)によれば、「東京の全域ではなくて1/3のエリアが水没。よって、3年間も東京で局所的に降り続いた雨によって、東京湾の海面が約10m上がったとみるのが相当。レインボーブリッジの描写のみが間違い」と結論付けています。
 なお、@のサイトでも紹介されている「Flood Maps」という有名ソフト(下のA)を使うと、ピッタリ10mは設定できませんが9m海面を上げてシミュレーションできます。そうすると、例えば、上野から鶯谷、日暮里、田端、十条、赤羽といったエリアを含む「上野台地」(下のB。山の手といわれる武蔵野台地の東縁部分)から東側が水没し、西側が水没しないという状況になります。ちょうど、山手線の一部と、京浜東北線、湘南新宿ライン、宇都宮線、及び東北上越新幹線の線路・高架が通る敷地付近でエリアが分かれます。
 私も1月3日にテレ朝で放送されたものの録画を確認しましたが、先ほどのラストシーンでは、くだんの坂道はもちろん水没しておらず、遠景の東北上越新幹線?の高架が橋脚の半分くらいまで水没しているという描写でしたので、海面が約10m上昇という@の推測は正しいと思います。確かに、映画のレインボーブリッジの描写は惜しいのですが、このシーンは1カット、時間にして数秒ですので、作品全体を絵的・詩的に盛り上げる演出の一環(狙い)でしょうね。
 ついでに言うと、元々の紹介サイトでも@のサイトでも、「東京が〇〇m水没したなら、日本・世界の他のエリアはどうなったのか? 他の沿岸都市も影響を受けたのでは?」と考えるのはちょっと変ですね。だって、映画内の設定では、「例えば南極の氷山が融けて世界中の海面が上がった⇒東京も水没した」のではなく、「東京に雨が降り続いたので東京が水没した」のですから、水源は東京です(筆者主張のように、東京だけが水没するなんてことが地球物理学的に本当にあるかどうかはともかく)。そこ(東京)から水が延々と流れ出しているとしても、世界全体にならせば海面上昇はわずかでしょう。さらに言えば、東京に3年間(2年半?)降り続いた雨水も地球外から来たわけではなく、世界中(北太平洋?)の水蒸気がなぜか東京上空に偏って集まってきて雨となったのでしょうから(映画・小説ではそこまで説明はされてないですが)、世界の海面は東京湾付近以外はむしろ少し下がっているはずです(地球全体の水量が増え続けているのではなく、一定であると考えるべきだから)。まあ、ここだけ質量保存則みたいな物理則を厳密に適用するのは変かもしれませんが、そういったこと(超自然的な設定は一部だけで、大部分は一般的な合理性を継承すること)がSFにおけるコード(規定・約束事)でしょう。

 @ https://sorabatake.jp/12617/
 A http://flood.firetree.net/
 B https://kitakaruizawa.net/rika/2014_1011-113-yamanote.pdf
Posted by かわっこだっこ at 2021年01月16日 20:41
 上のコメントの終わりの方:
 「南極の氷山が融けて〜」は「南極の氷床が融けて〜」の間違いです。すみません。
Posted by かわっこだっこ at 2021年01月16日 20:45
 @ のリンク記事は、私も見ました。だけど、※2 の点では説明になってないので、どっちも説明不足だと見なしました。

 レインボーブリッジの件は、そうなのか。そこまで細かく読まなかったので、見落としていました。
Posted by 管理人 at 2021年01月16日 21:00
 やっぱり、管理人さんは抜かりがありませんね! それと、上の重複コメントのひとつを削除していただいて、ありがとうございました。お手数をおかけしました。

 先の私のコメントで割愛しました、※2の点に関する個人的な考察、「もし東京湾の海峡部分(神奈川県の観音崎と千葉県の富津岬を結ぶ、幅7km弱×平均水深50mのライン)で超自然的なダムみたいなものができれば、2年半シトシト雨が降り続いたときに、東京の1/3のエリアが約10m水没するのか?」については、また時間があれば投稿させていただきます。
Posted by かわっこだっこ at 2021年01月16日 21:31
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