2021年01月05日

◆ 緊急事態宣言は ほぼ無効

 政府は緊急事態宣言を発令しようとしているが、そんなことをしてもほぼ無効である。

 ── 

 原理


 なぜ無効かと言えば、営業時間の2時間短縮ぐらいしかやらないからである。午後8時から10時までの営業を停止しても、もともとその時間帯にいる客は1日全体の1割ぐらいしかいない。(居酒屋はともかく一般の料理店ではそうだ。夜遅くに夜食を取る人は少ない。)
 つまり、それで見込める効果は、最大でも1割減でしかない。
 しかも、現実には、それよりもっとずっと小さくなる。なぜなら、感染源は、飲食店以外にもたくさんあるからだ。学校、職場、盛り場、駅、一般店舗、病院、介護施設など。これらの場における感染については、何の影響もない。単に飲食店における感染を1割ほど減らすだけだ。
 飲食店における感染がもともと4割だったと仮定すると、それが1割減になったとして、全体の4%が減るだけにすぎない。この程度の感染削減があったとしても、大勢にはほとんど影響しないと言っていいだろう。
 つまり、今回の緊急事態宣言は、その内容があまりにもショボイので、効果もまたショボイ、ということになる。感染の伸びを少し鈍化させるぐらいの効果はあるだろうが、感染の伸びを抑止するほどの効果はあるまい。

 8割おじさんのシミュレーション


 8割おじさん(西浦博教授)がシミュレーションを示している。
→ 「飲食店の制限だけでは1ヶ月で感染者は減らない」 8割おじさんが厚労省“非公開”のシミュレーションを公開


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 その内容は、私が上で述べたことと、ほとんど同じである。つまり、緊急事態宣言をした場合には、実効再生産数(感染倍率)が、1.1から 1.0 に低下するぐらいだ……という話。
 一部抜粋すると、こうだ。
 青は限られた場での接触減が効いた場合です。

 政府が現状打ち出している限定的な制限だと青色の0.9倍ぐらいまでしか落ちず、実効再生産数は1前後で感染者は横ばいとなることを見込んでいる。

 飲食の場面のみに制限を限り、他のところは何もしないなら、仮に減ったとしても青ぐらいしか減らない、というのが上の図が示していることです。つまり、実効再生産数は1程度までしか減らず、感染者は減りません。

 言っている内容は、私の主張とほぼ同じである。
 ただし、この人の話には、難点が二つある。

 (1) 実効再生産数

 実効再生産数を 1.1 と見なしているが、この数値は小さすぎる。なるほど、東京都のの数値を見るだけなら、お話のように、1.1と見なしていい。しかし、それでは話が狭すぎる。
  ・ 12月中旬でなく 12月下旬になると、東京都の感染者数は急増しつつあるので、実効再生産数は、1.2 ぐらいに高まってる。
  ・ 全国ではもっと上だ。全国の感染者数はもっと急増しつつあるので、実効再生産数は、1.3 ぐらいに高まってる。


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出典:Worldometer


 (2) 制限の内容

 記事では「飲食店の制限だけ」と言っているが、「飲食店の制限」ということの実態が問題だ。それは何を意味するか? 
  ・ 営業時間を2時間減らす
  ・ 会食を全面禁止する

 この両者は、どちらも「飲食店の制限」と表現されるが、効果の点ではまったく異なる。
  ・ 営業時間を2時間減らす → 4%減ぐらいの効果しかない(上記)
  ・ 会食を全面禁止する → 飲食店の感染を大幅に減らす。

 こういうふうに、両者には大差があるのだ。前者は4%ぐらいの効果しかないが、後者は4割減ぐらいの効果が見込める。月とスッポンぐらいの大きな違いがある。
 なのに、上の記事では、前者のことばかりを見ていて、後者のことを見ていない。両者の違いを理解できていないのだ。
 飲食店における会食は、現在、最も大きな主要感染源だと見なせる。ペチャクチャとしゃべりながら、唾を飛ばして、その唾の付いた料理を他人が食べるのだから、これはもはや意図的な「感染会」も同然だろう。
 これを止めることこそが大事なのに、営業時間の短縮ばかりにこだわっているのが、政府や知事たちだ。そしてまた、8割おじさんもまた同じ。彼らの誰1人として、会食の危険性を理解できていない。
 ついでだが、専門家による分科会もまた、同様だ。「5人以上の会食は駄目」とは言ったようだが、4人以内の会食を認めている。ま、夏のころなら、それでもよかったかもしれない。しかし今や感染爆発とも言える状況にある。こうなるともはや「2人の会食」さえも禁止するべきだ。なのに、それを言うことができない。専門家による分科会もまた、政府や知事たちと同類だと言えるだろう。(同じ穴のムジナ)

 会食禁止で客は減らない


 会食は主要感染源なのだから、会食を禁止するべきだ。……これが私の主張である。
 しかるに政府も知事も学者も、誰もが「会食禁止」を打ち出せない。なぜか? 「会食を禁止すると、会食が主要な収益である飲食店にとって大打撃になる」と思っているからだ。
 なるほど、これはもっともらしい発想だ。実際、昼のランチの時間帯は別として、夜の時間帯の飲食店を見ると、9割以上が2人で飲食をしている。(居酒屋ではもっと多数が同席するが、普通のレストランでは9割以上が二人連れだ。)
 とすれば、「会食を禁止」という方針を打ち出すと、夜の時間帯では、ほとんどすべての客が消えてしまうことになるから、飲食店には大打撃となる……と思える。
 だが、これは間違いだ。

 なるほど、平常時ならば、それは成立する。しかし今はコロナが大流行しているのだ。こういうときには、客は激減しているのだ。「会食を認めれば9割以上の2人連れが席に着く」のではなく。「会食を認めれば客がほとんど来なくなる」ようになるのだ。あるのは空席ばかり、というありさまだ。

 ここで、「会食禁止」つまり「相席禁止」を打ち出すと、どうなるか? その店ではもはや誰も会話をしない。唾を飛ばさない。とすれば、その料理店で食事をしても、コロナに感染する危険性は激減するのだ。

 つまり、対比すると、こうなる。
  ・ 会食OK …… 会話で唾が飛ぶので危険。客は来ない。
  ・ 会食禁止 …… 会話がないので安全。客は来る。

 つまり、二人客を招くために「会食OK」にすると、二人客が来るのでなく、一人客も二人客も来なくなる。その一方、「会食禁止」にすると、少なくとも一人客はたくさん来てくれるようになる。(以前ほどではないが。)

 というわけで、「会食を禁止すると、客が激減する」というようなことはないのだ。常識で考えると、そうなりそうだが、実際には、そうはならないのだ。
 常識にとらわれるな、と言える。ここでは「損して得取れ」というような発想の転換が必要だ。現在のような状況では、「金を得たい、金を得たい」と望めば望むほど、かえって金を得られなくなる……という逆説が成立する。「欲張りほど、かえって損する」というようなものだ。(舌切り雀みたいだ。)

 現在はある種の異常事態である。ここでは、平常時の常識はそのままでは成立しない。(会食禁止という形で)客の自由を縛ると、そのことで嫌われるのではなく、そのことで安全性が高まるので、かえって客を招く効果があるのだ。
 逆に、政府や知事のように、「たくさんの客を招きたい」という方針で、会食を許容すると、そんなところには誰も来たがらなくなるのだ。
 少なくとも、今のようにコロナの蔓延している状況で、会食で唾の飛ぶ飲食店で食事をしようなどと思う人は、頭がどうかしているとしか思えない。そして、そういう頭のおかしい客を前提として話を進めている政府や知事も、同じく頭がどうかしているとしか思えない。



 [ 付記 ]
 記事によると、厚労省は西浦モデルを分科会に出しても、非公開の扱いにするそうだ。「政府の方針(緊急事態宣言)はろくに効果がありません」という趣旨だから、隠蔽したい、ということなのだろう。
 ここでも隠蔽体質を発揮して、「真実を表に出さない」というふうにしたがるわけだ。大本営発表のころと同じだな。敗勢という真実を隠す。国民のことなんか念頭にない。
 それが自民党政権。



 【 関連サイト 】

 → 飲食店へのコロナの影響は? ラーメン、カレーなど1人客が多い業種は影響が比較的少ない?
  ※ 1人客の多い店では客が減らない、とわかる。本項の趣旨に合致する。
  
 → 飲食店の9割が売上の減少に苦悩。新型コロナに翻弄された2020年を振り返る | 株式会社シンクロ・フード
  ※ 参考データを得られそうだと思ったのだが、飲食店の売上減少というデータがあるだけで、特に有益な情報はなかった。

posted by 管理人 at 23:58| Comment(1) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後の直前に [ 付記 ] を加筆しました。
 厚労省が西浦モデルを隠している、という話。
Posted by 管理人 at 2021年01月06日 07:53
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