――
政治家の死亡
立憲民主党の政治家がコロナで死亡した。
発熱したあと、自宅で静養していたら、急激に症状が悪化して、意識を失って、心臓が止まった。生から死へ一挙に転じたわけだ。
→ 福山幹事長、羽田雄一郎参院議員の逝去について記者会見 - 立憲民主党
これによると、「基礎疾患は、糖尿病、高脂血症、高血圧等があった」とのことだ。となると、「基礎疾患」がポイントであるようだ。
では、基礎疾患の危険度はどのくらいか? 下記の記事がある。
50代でも24人中疾患のある人が21人(87.5%)に上った。 国立国際医療研究センターなどによると、7月時点で入院した患者2638人のうち、基礎疾患のある人は高血圧(15.0%)と糖尿病(14.2%)の割合が高かった。
( → 基礎疾患、50代でも高リスク 急逝の53歳羽田氏、死因はコロナ:朝日新聞デジタル )
これを見ると、高血圧と糖尿病は、同じぐらい危険であるように見える。だが、そうか?
まず、有病者の数や比率を見ると、患者の数は、高血圧と糖尿病は、どちらも同じぐらいである。( 1000万人程度。)
では、どちらも危険度は同程度か? いや、そうは言えない。上で示した数値は、「入院患者数」だ。一方、危険度を示すのは、「入院した」のでなく、「重症化した」患者の数だ。
重症患者と持病との比率を探ろうとしたが、重症化率でなく、死亡率のデータが見つかった。下記だ。

出典:NHK
糖尿病と高血圧は、それほど差がないように見える。だが、次のことがある。
糖尿病があっても新型コロナウイルス感染症にかかりやすいとは言えません。
血糖コントロールが良好であれば、糖尿病ではない方と死亡率は同等でした。
一方で、血糖コントロールが不良な群では、 死亡率が高くなっていました。
したがって重症化しないためには、 普段の血糖コントロールが大切です!
( → 糖尿病と新型コロナウイルス感染症の関係(日本糖尿病協会)?重症化しないためには、普段の血糖コントロールが最も大切? )
「糖尿病」という一語で片付くわけではないようだ。血糖コントロールが良好か不良かで、大差が付くようだ。
冒頭の政治家の例だと、「糖尿病、高脂血症、高血圧」という三つセットなので、血糖コントロールはあまり良好ではなかったのかもしれない。(重い糖尿病ではなかった、という報道も見かけたが。)
ただし、最近の顔は、8年前の顔と比べると、かなりむくんでいる。
→ 最近の顔
→ 8年前の顔
このことからして、腎臓に疾患があった可能性もある。つまり、糖尿病が重かった可能性がある。
基礎疾患の状況はかなり悪かったと推定できそうだ。(だから比較的若くして死亡したわけだ。)
――
なお、次の見解もある。
natu3kan 基礎疾患ある人でも、連日高熱じゃないと民間検査しかないってどうなんだろうな。
( → はてなブックマーク )
これは医療体制の問題だ。
医療体制と言えば、この人は、どうすれば救えたか?
PCR 検査を受ける前に死亡したので、「 PCR検査を受ける態勢を整えるべきだ」とは言える。
だが、たとえ PCR 検査を受けても、この人を救うことはできなかっただろう。検査で陽性と判明するだろうが、その後、「軽症ならば当面は自宅療養」となりがちだ。となると、「軽症だったが、急変した」というふうになる患者については、救えないままなので、結果は同じだっただろう。
この点については、和歌山県知事の話が参考になる。
入院時無症状であった方も、無症状のまま退院される方は約4割、残りの6割は入院後発症しています。さらに、そのうち4割は軽症どまりですが、2割は重症化しています。おひとりは亡くなられました。
ここから、初め無症状や軽症だと思えた人も、放置しておいたらいかに危ないかということがわかります。だから、それが可能である限りは、全員入院が望ましいのです。
( → 知事からのメッセージ 令和2年12月28日 | 和歌山県 )
では、「原則入院」という措置を取ればいいか? いや、そうも言い切れない。
まず、そもそも医療体制が崩壊しつつあって、全員入院が不可能になっている、という状況がある。(東京都)
→ 陽性の高齢者 1日70人超入院できず 東京都 病床がひっ迫
入院したくても入院できないそうだ。事実上の医療崩壊である。
また、たとえ入院しても、感染症指定病院以外では、「アビガンを投与できない」という問題がある。だとしたら、入院しても、自宅療養と同じことになるので、冒頭の政治家は「治療を受けられないまま、一挙に悪化して、死亡する」という結果になりがちだ。
こういう問題を解決するには、「どの病院でも、アビガンの早期処方が可能である」というふうにするべきだ。つまり、アビガンを承認するべきだ。
なのに、承認しない。そのせいで、この患者は死んでしまった。
とすれば、アビガンが承認されないまま、今後も続々と死者が出ることになりそうだ。承認見送りを決めた人々の責任は重い。彼らのせいで、アビガンの処方を受けられないまま、次々と死者が出ていく。
→ アビガンの承認が延期: Open ブログ
なお、医療崩壊とは言えないまでも、各地で医療体制が厳しい状況に置かれていることは、下記で示されている。
→ 「第3波、入院患者は一変した」コロナ治療最前線の医師が語る現場のいま(海原純子)
重症者が増えて、医療スタッフにも負担が増えて、ほとんど崩壊寸前になっているところが多いようだ。(部分的にはすでにあちこちで破綻している。あぶれる患者も出てくる。)
自治体の支援金
東京都は、年末年始に入院患者を受け入れる医療機関に協力金を出すと発表した。
協力金の対象期間となるのは、例年は受け入れ態勢が縮小される12月29日〜1月3日の6日間。新型コロナの入院患者1人につき1日あたり、重症では30万円、軽症・中等症の場合は7万円が支給される。既に入院している患者も対象になるという。
( → 「年末年始はステイホームを」 小池都知事が臨時会見:朝日新聞 )
こういう報道をするのはいいのだが、これだけだと、「東京都は払うが、他の県は払わない」というふうに見えてしまう。実際、朝日の記事を検索しても、他の県の情報はない。記事にしていないし、調べてもいないようだ。
そこで私が調べたところ、朝日新聞以外では、他の件を調べた社もある。
大阪は、患者1人ごとに 20万円で、症状は不問だ。
→ 年末年始のコロナ患者受け入れに協力金 大阪府、患者1人当たり20万円 - 毎日新聞
神奈川は、病院ごとに 1日50万円だ。
→ 新型コロナ: 神奈川県、年末年始診療の医療機関などに協力金: 日本経済新聞
というわけで、東京都以外でも、大きな県では支援金・協力金を支払うようだ。他の件がどうかは不明。(ただし、他の県では、これらの県ほどには、医療は逼迫していないようだ。)
さて。上のような支援金・協力金があるわけだが、これで十分か? いや、駄目だ。
年末年始だけでなく、その後もやるべきだ。今後もずっと、金を払うべきだ。金額は、上記の額ほど高くする必要はないが、その半額ぐらいは、今後も長期的に払うべきだ。(コロナの医療逼迫の問題が解決するまで。)
医療人員の増加策
金を払うのは大事だが、「金を払えば済む」というわけではない。金を払うのは、疲労困憊した現有の医療スタッフの状況をいくらか軽減する、というぐらいの意味しかない。抜本対策ではない。
→ 時を金で買うべし: Open ブログ
むしろ、別の方策を取る必要がある。それは、「医療スタッフの総数を増やす」という抜本対策だ。
では、どうやって? 具体的には、次の二通りだ。
・ 休業中の看護師・医師(特に育児退職した女医)を呼び寄せる。
・ 学徒動員をする。(医学生・看護学生)
前者については、「短期間に高給を払う」という形で増やすことができる。( → 別項 )
後者については、今年の春ごろに詳しく述べたことがある。
→ 学徒動員を推進せよ: Open ブログ
冬季の3カ月ぐらいに限った学徒動員も、そろそろ考慮した方がいいだろう。学校の単位として認めてもいい。(実習の形で。)
しかも、こうすることでかなりの高給を払うこともできる。すると、学資に困っている学生(看護学生を含む)にはありがたいので、一石二鳥の効果がある。これは結構、名案だろう。
なぜにアビガン?
血液の問題は、症状を緩和するものであって、対症療法です。
両者は、対処の仕方が違うので、それぞれ別個に独立して用いられます。
血液用には、フサンが有効なので、「アビガンとフサンの併用で、高い治療効果が出た」という報告が出ています。前に述べたとおり。
http://openblog.seesaa.net/article/475144691.html
http://openblog.seesaa.net/article/476216180.html
http://openblog.seesaa.net/article/477070656.html
http://openblog.seesaa.net/article/477088706.html