2020年12月23日

◆ アビガンの承認が延期

 アビガンの承認が延期・先送りされた。「継続審議」という扱い。

 ――
 
 記事があるので、転載しよう。
 厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会は12月21日、抗ウイルス薬アビガン錠200mg(一般名:ファビピラビル、申請企業:富士フイルム富山化学)の新型コロナウイルス感染症(SARS-CoV-2による感染症)への適応拡大の承認可否を審議した結果、継続審議とすることを決めた。
 「現時点で得られたデータから、アビガンの有効性を明確に判断することは困難」とし、「現在実施中の臨床試験結果等の早期の提出を待って、再審議する」ことになった。
 同省によると、この日の主な論点として、▽「単盲検試験」で実施されたことによる影響の評価▽主要評価項目以外も含めた各評価項目における結果の臨床的意義――が挙がった。
 一般論として、単盲検試験は医師が事前に実薬かどうかを把握できるため、二重盲検試験に比べて、プラセボと比較する上で客観性がやや乏しくなる。
 同省は部会後の記者説明会で、この日の審議では、アビガンの単盲検試験での影響を見るために、主要評価項目だけでなく副次評価項目も含めて単盲検の影響を見る必要性があるとの指摘が出たほか、米国やクエートなどで現在実施中の二重盲検の臨床第3相試験結果などを含めて有効性、安全性の評価をすべきとの議論があったと説明した。

 ■厚労省「承認不可ではない」 アビガン次回審議は年明け

 同省は、「今回は承認可となったわけではないが、承認不可ではない。有効性が否定されたものではない」と継続審議であると繰り返し強調。追加データが企業から提出後にPMDAが再度審査した上で、同部会で改めて審議すると説明した。アビガンに関する再審議は2021年となる。
( → 薬食審・第二部会 アビガンの新型コロナ適応拡大は継続審議 現在実施中の臨床試験結果で再審議 | ミクスOnline

 今回は、医師側はどの人が薬をのんでいるかを知っている「単盲検」という手法だった。単盲検は、重い副作用が予測されるなど、医師側が知らないと対処できない場合などに限られる。二重盲検に比べ科学的な根拠が薄く、「偽薬は効かない」といった先入観が症状の判断に影響を与える心配もあるとされる。
 医薬品医療機器総合機構(PMDA)がまとめ、部会に提出した報告書は、単盲検の手法をとったことなどにより「有効性の結果に影響を及ぼしたと考えられる」と指摘。薬の有効性について「明確に判断することは困難と考える」などとまとめていた。
 厚労省によると、米国やクウェートで現在、二重盲検による治験が実施されているという。
( → アビガン、継続審議に 厚労省部会「有効性判断は困難」:朝日新聞

 単盲検だと確実さが不十分なので、はっきりと判断することができにくい……ということのようだ。
 しかし、「効果がない」と言っているわけではないし、「効果がないのに効果があると誤認している可能性がある」と言っているわけでもない。単に「結論を下すためには確実さがいくらか不足している」というだけのことだ。
 で、「だから承認しない」と結論を下している。なるほど、通常ならば、それでいいだろう。慎重であることには、言い分が立つ。
 しかし今は、緊急時なのだ。コロナが蔓延しているという非常時なのだ。通常のときとの違いを理解するべきだ。

 なるほど、仮に「アビガンに効果がない」ということが事実だとしたら、審議会の慎重な方針は(予想が当たったことで)「役立たずの薬を投与するという無駄をなくした」という効果が出る。
 だが、仮に「アビガンが効果がある」ということが事実だとしたら、審議会の慎重は方針は、(予想がハズレたことで)莫大な数の死者をもたらすことになる。
 予想が当たるかハズレるかは五分五分かもしれないが、それによって生じる被害の量が桁違いであるがゆえに、両者の期待値は大きく異なる。審議会は今回、「アビガンは効果がない」と予想して、承認を延期したわけだが、その予想は、当たった場合の利得に比べて、ハズレた場合の損失が極端に大きいのだ。
 これは、ものすごく分の悪い賭けをしているのと同様だ。しかも、その賭けで賭けられる金というのは、国民の命なのである。国民の命は、審議会の無謀な賭けのために、オモチャにされているのも同然だ。

 ──

 では、どうするべきだったか? まともな数学的思考があるのならば、「期待値が非常に悪い賭けはしない」というふうにするべきだ。その場合には、次のようにするのが最善だろう。
 「当面は暫定的に承認する。ただしこれは仮免許ふうの扱いである。決して恒久的なものではない。近い将来、二重盲検による試験の結果が判明したら、そのときに正式な決定をする」

 非常時においては、このような判定をするのが最善だっただろう。まともな頭があれば、そうしたはずだ。

 ──

 とはいえ、現実には、そうはならなかった。今さら私があれこれと提案しても、審議会の結論はひっくりかえることはない。とすると、コロナの蔓延にともなって、多数の死者が出ることになる。また、「患者を早期退院させる」ということでベッドを明かせることができなくなるので、医療逼迫を緩和するという効果も見込めなくなる。
 まったく困ったことだ。何とかならないのか? 

 ──

 そこで、困ったときの Openブログ。何とかしよう。

 まず、現状はこうだ。
 「現在、感染症指定医療機関に限り、観察研究の名目でアビガンを処方できる。ただし、それ以外の病院や施設では、その枠組みからハズレるので、アビガンを処方できない」


 ならば、これを改定して、次のようにしたい。
 「一般の病院でも、アビガンを処方できる」

 だが、これは「アビガンの承認」そのものである。そして、それは今回、否定されたので、実現できない。

 そこで、この問題を回避できるように、うまい案を出そう。こうだ。
 「患者は離れたところにいても、オンライン診療の形で、感染症指定病院で受診できるようにする。オンライン診療を受けるのは、患者自身でもいいし、患者の担当医でもいい。いずれにせよ、オンライン診療の形で、感染症指定病院で受診する。そのことで、観察研究の枠組みに参加することになって、アビガンの投与が可能となる。(感染症指定病院の外にいても)」


 これならば、あくまで「観察研究」の枠組みに留まるので、審議会の承認を受ける必要もない。あくまで政府(首相)の裁量で実施できる。
 また、投与するかどうかの判断をするのは、感染症指定病院にいる感染症専門医である。だから、不要な処方が無闇になされる問題も起こらない。
 こうして、問題はうまく解決できる。

 ( ※ とはいえ、菅首相にそれを実行するだけの知恵があるとは思えないが。河野太郎ならば、話は別だけど。往時の舛添厚労相や、菅直人首相でもいいが。……菅首相では、まず無理。)



 【 関連項目 】

 コロナの蔓延時という非常時に、やたらと承認に慎重であると、死者が多数出るという形で、かえって被害を大きくする……という話は、前にも述べたことがある。
  → アビガン未承認で大量死 : Open ブログ
  → アビガンを使うべきか?(≒ ガンダム初号機): Open ブログ
  → アビガン承認への慎重論: Open ブログ
  → 医療崩壊は構わない?: Open ブログ
 
posted by 管理人 at 23:50| Comment(2) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
認可する官僚には別の利害がありますよ。
認可してもし後から無効だったという結果がでれば責任問題、
だけど認可しなければなんの責任問題も発生しません。
人間としてリスクを避けるなら認可しないのが合理的です。
アビガンを認可しないせいでコロナの死者と医療崩壊による死者がどれだけでても一切責任問題にはなりませんしね。
Posted by カタツムリ at 2020年12月24日 00:40
アメリカの製薬会社がアビガンを製造してたら
とっくに認可がおりて第3波はなかったかもしれないね
Posted by ためいき at 2020年12月24日 13:25
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