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ここでいう泥沼というのは、抽象的な意味ではないし、比喩でもない。まさしく現実の泥沼に1兆円が投入されている。ただし正確に言えば、泥沼となっているものは、池ではなく海だ。泥沼となっている海。そこに1兆円が投入されている。その場所は、沖縄の辺野古だ。
この問題については、朝日新聞の社説がうまく要約しているので、転載しよう。
辺野古の工事は民意を踏みにじったまま進み、きのうで土砂投入から2年が過ぎた。来年9月までに予定面積の4分の1の埋め立てを終える計画だ。
だが投入された土砂の量は、この11月末時点で4%に満たない。水深が深く、マヨネーズ並みとされる軟弱地盤が広がる海域が手つかずだからだ。国の試算でも完工までに12年、1兆円近い費用が見込まれ、米国の著名なシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)は、先月発表した報告書で「完成する可能性は低い」と分析している。
( → (社説)土砂投入2年 理なき沖縄政策改めよ:朝日新聞 )
初心者向けに解説すると、次の経緯があった。
・ 普天間基地が問題となっているので、基地を移転する必要があった。
・ 移転先として辺野古が選ばれた。
・ 辺野古の平野部は少ないので、基地の大半は海を埋め立てることにした。
・ 「埋め立てる場所の海は、軟弱地盤だから、埋め立て無理」という声が出た。
・ 「その意見は、反対派の意見だから」という理由で、政府は認めなかった。
・ 「軟弱地盤で埋め立ては可能だ」と言って、政府は埋め立てを強行した。
・ しかし埋め立てを強行しても、軟弱地盤では、埋め立ては完成しない。
・ 泥沼のごとき海に、土砂が次々と投入され、無駄金も投入される。← 今ココ。
最終的には、1兆円が投入されて、何も完成しないままで終わりそうだ。その1兆円は、自然の破壊と、土建業者のボロ儲けと、自民党の袖の下となるわけだ。(だから自民党は推進する。)
[ 付記 ]
似た例は、他にもある。陸前高田で、人の住まない高台を造成するために、3000億円もの血税が投入された。これもまた巨額の浪費だ。
→ 数千億円の盛り土が無駄に: Open ブログ
→ 盛り土費用は1戸 5800万円: Open ブログ
辺野古では泥沼(泥海?)を埋めるために1兆円が投入され、陸前高田では高台を作るために 3000億円以上が投入される。
どちらもよく似ていますね。工事も似ているし、金の規模も似ている。
※ 陸前高田以外の分も含めると、東北の造成費の合計は1兆円。
地面をかさ上げしたり、山を削って高台に宅地を造ったりする工事に、岩手や宮城、福島を中心に被災地全体で約1兆円が使われた。
( → 盛り土費用は1戸 5800万円: Open ブログ )
屋上屋を重ね続けるしか・・・
このような金遣いを表現するのに「血税」という言い方してますけど、実際の税金は半分以下で、あとは未来の人に引き継がれる負債なんですよね。そっちのほうが悪いけど。そりゃ、誰も返さないつもりの借金だろうけど。