2020年12月17日

◆ 格安の PCR検査

 格安の PCR検査が始まっているそうだ。どんなものか? 

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 日本では世界各国に比べて、PCR検査の検査数が圧倒的に少ない。それというのも、PCR検査機の台数が圧倒的に不足しているからだ。そのせいで、感染者数が増えていくと、検査されない人も出てくる。最近では、東京都の検査が検査能力の上限に達しつつあるらしくて、検査数は ほぼ頭打ちになる一方で、検査数に占める陽性者の割合が上昇している。
  → 都内の最新感染動向 | 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト
 ※ 陽性率は、10月半ばには 3.5% だったのに、最近では 6.5% まで上昇した。

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 こういう状況になるのは、PCR検査機を購入する予算がないせいだろう。また、それとは裏腹になるが、PCR検査の検査費用が高額になる、ということもある。

 ところが、である。最近になって、格安の PCR検査が出現して、民間で競いあっているそうだ。
 新型コロナウイルスのPCR検査を低価格で受けられる民間の施設が、東京都心などに相次いでオープンしている。数千円という費用で、出張や帰省を予定する人の人気を集める。
 検査は完全予約制。センター内で唾液(だえき)を採取し、陽性か陰性かは翌日にメールで通知する。原則として医師による診察はなく、費用は2900円(税別)。同グループによると、検査機器の一括購入などで低価格を実現したという。
( → 格安の民間PCR検査に予約殺到 その「陰性」過信禁物:朝日新聞

 安いことは安いが、精度が低いこともあるらしい。
 ただ、タイミングや精度によっては実際に感染していても「陰性」と判定されることもあり、厚生労働省は注意を呼びかけている。
( → 民間PCR施設、都心に続々 ばらつく精度、陽性なのに「陰性」も 厚労省が注意喚起:朝日新聞

 では、制度はどのくらいか? また、価格が格安なのはどうしてか? 記事には「検査機器の一括購入などで低価格を実現」とあるが、そのくらいのことで激安にできるとも思えない。格安の検査機ができたのではないか? 

 そう思って、ネット上で調べてみた。

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 ググってみると、低コストの機器がいくつか開発中だとわかったが、いずれも来春に発売の予定なので、今回の話には関係ない。

 今回の話に関係のある情報は、一つだけ見つかった。検査施設の公式ページだ。
  → 木下グループ、「新型コロナPCR検査センター」を繁華街の中心地、新宿・歌舞伎町にも開業 | 手軽で低価格、信頼性の高いPCR検査の拡充へ|株式会社木下グループのプレスリリース

 手法と精度については、こうある。
 検査方法は、一度に多くの検体を検査することができる唾液検査を採用し、国立感染症研究所による「感染研法」との陽性一致率及び陰性一致率が100%とされる検査キットを用います。

 精度については、申し分ないようだ。
 手法は「一度に多くの検体を検査することができる唾液検査を採用」とのことなので、これによってコストを下げているとわかる。
 たとえば、4検体を(混ぜて)いっぺんに検査して、そこで「陰性」と判明すれば、4検体がすべて「陰性」だと判明するので、検査のコストは4分の1になる。
 一方、「陽性」と判明した場合には、2検体ずつ(A,B)に分けて検査すればいい。A,B のいずれかが「陰性」なら、その2つがまとめて「陰性」だと判明する。残りの「陽性」の2検体の方を、半分の1検体ずつに分けて検査すれば……(以下同様)
 こういうふうにすれば、検査のコストを大幅に引き下げることができるわけだ。(プール方式)
 機械が高性能になったというより、検査の手法でコストを下げていることになる。この方式は、すでに中国でも実施済みだし、世田谷区長が実施すると意見表明して話題になったこともある。

 と思ったら、本日改めて、「プール方式で実施」と意見表明した。
  → 新型コロナ: 東京・世田谷区長 プール方式のPCR「コスト減できる」: 日本経済新聞

 一方、国はプール方式を認めていないそうだ。
  → 世田谷区 独自PCR検査延長へ|NHK 首都圏のニュース

 なお、木下グループの採用している機器は、上記の公式ページにあるが、その機種はネットで調べると、これだ。
  → ronoSTAR 96 Real-Time PCR System(ワケンビーテック
 価格は 300〜400万円ぐらいなので、安くはない。機械の方では、コストダウンはされていないようだ。

 一方、現在開発中のものは、60万〜70万円になる見込み。
  → 新型コロナ: 小型で安価なPCR装置 野村メディカルデバイスなど: 日本経済新聞

 ――

 低コストの理由が、プール方式という手法であるとすれば、低コストで検査することは、他の検査所でもできるはずだ。
 実際、上記よりももっと低コストでやっているところもある。東京慈恵会医科大学だ。
 都内港区の東京慈恵会医科大学が集中的にPCRを実施できるセンターを設置した。そのコストパフォーマンス、スピードが圧倒的だ。同大学が設置した自前の「Team COVID-19 PCRセンター」では、1検体当たり実費700〜800円で検査を行うことができる。検査依頼から完了までわずか半日だ。新型コロナウイルス感染症を対象とした保険適用の検査は最低1万3500円。日本全国で、PCRの所要日数が3〜5日などと報告される中で、圧倒的なコストとスピードになっている。
( → 「即日1件700〜800円」のPCR、驚愕の全貌(2020年5月4日)|BIGLOBEニュース

 どんな手法を使っているかは、記事には記してないが、「たぶんプール方式だろう」と推測はできる。(ただし証拠は見つかっていない。)

 なお、この東京慈恵会医科大学の記事は、半年以上前の5月4日だ。その時点で、世田谷区長が言及している。
  → 保坂展人さんのTwitter
 この時点では、プール方式かどうかは、言及されていない。

 その後、半年以上たった現時点で、木下グループが 2900円で実施しており、また、保坂区長が「プール方式の導入」と表明した。

 ――

 以上が、私の調べた範囲で、わかったことだ。(情報の提供のみ。私の意見はありません。)



 【 追記 】
 コストのことばかりが話題になったが、件数も大事だ。
 プール方式を取るということは、コストを下げる効果があるだけでなく、件数を増やす効果もある。4人を1度に検査すれば、4倍の人数を処理できる。(実際には以後の検査が追加されるので、4倍にはならないが。)
 このことは、陽性率が低い場合には、顕著に効果が出る。現状の陽性率は7%弱(東京都)なので、検査件数では4倍に近い効果が見込める。……これは大切なことだ。
 
posted by 管理人 at 23:58| Comment(3) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
価格が下がるのは歓迎ですが、無責任な検査屋が増えるのではと危惧しています。
検査屋は陽性反応を保健所に通知する義務がありません。また、保健所等が検査屋の検査を監視する体制も不十分と推測します。
検査屋が検査するフリして「陰性です」と受検者に言っても誰もその不正に気付かない。悪い奴はコスト低下のために半分ぐらいやるフリしちゃうかも…
最悪なのは、陽性なのにやるフリして陰性のお墨付きを与え、偽陰性の受検者が帰省して感染を拡大させることです。
私なら喉が痛いとか適当な理由付けて、医療機関で無料の検査受けますが…
Posted by 元大学生 at 2020年12月17日 22:56
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2020年12月18日 10:05
アメリカの研究で感染1日目の検査では
100%陰性になるようです
コロナウィルスが増殖しないと陽性にならないらしい
安易に検査で陰性だからってハメを外さないように
しっかりと若者に忠告しないといけない
話はそれるが
メディアではGOTOは危険だとか、多人数の食事は危険だとか言ってるが
旅番組やグルメ番組は垂れ流してるよね
Posted by 老人 at 2020年12月19日 13:24
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