2020年12月10日

◆ 自衛隊の看護師を派遣するな

 (コロナ禍の)北海道の病院に、自衛隊の看護師を派遣することになったが、これは妥当ではない。

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 北海道ではコロナの患者が激増していて、特に旭川では看護師不足になった。そこで旭川の病院が自衛隊の看護師の派遣を求めて、政府がそれに応じることにした。だが、これは妥当ではない。
 妥当ではないというのは、「何もしないで放置せよ」という意味ではなく、「こんな付け焼き刃でなく、本質的なことをやれ」という意味だ。
 政府は GoTo みたいなことに浮かれていて、肝心のコロナ対策をなおざりにしているので、きちんとコロナ対策をやれ、ということだ。そうすれば、自衛隊に頼ったりすることもなく、最初から問題は解決しているはずだ。

 要するに、「困ったときの自衛隊」みたいな発想はやめろ、ということだ。自衛隊は、ドラえもんじゃない。困ったときにポケットから看護師を無限に出してくれると思ったら、大間違いだ。宿題をやらないでサボっている のび太みたいなことでは困る。
 要点は、以上の通り。以下では詳述しよう。

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 旭川の病院の状況はこうだ。
 介助を必要とするコロナ患者が多く、医療従事者の人手が足りなくなっていた。
 市内に五つある基幹病院は今秋までにコロナ病床を大幅に増やし、感染拡大に備えていた。旭川赤十字病院は一つの病棟をコロナ専用に切り替えた。防護服を着て看護する医療従事者の負担が重いため、本来は58床使える病棟を3分の1の20床に抑えた。
 それでも寝たきりの高齢者が多かった吉田病院から次々患者が搬送されると、一気に苦しくなった。牧野憲一院長は「トイレや食事の世話、寝返りなどの介助を数人がかりでしなければならなかった」。15〜16床が埋まっただけで、スタッフは限界だったという。
( → 不安抱える妊婦が涙声で電話 一般医療に迫る限界 旭川:朝日新聞

 ベッド数が不足しているというより、人手が不足している。そのせいで、せっかくあるベッドの3分の1しか有効利用されない。せっかくの医療設備が無駄になっている。
 問題は人手不足にある。では、対策は? 
 「スタッフの養成には時間がかかる。今いる人でどうやりくりするかが重要。何よりも地域内の医療機関が助け合うことが必要で、状況に応じて周辺自治体、場合によっては都道府県を越えて応援できる体制を整える必要がある。感染拡大の状況は、そこまで来ている」

 これが正しいとしたら、「近隣の県に看護師の応援を要請した」という大阪府知事の方針が正しいことになる。だが、地元の大阪には看護師がたくさんいる(余っている)のに、近隣の県の看護師を招くというのは、本末転倒だ。悪手だ。そんなことをしたら、看護師は遠距離通勤を強いられるので、看護師の負担が増えてしまう。下手をしたら単身赴任のハメになる。とんでもないことだ。

 では、どうするべきか? 記事では「病院間で看護師を融通する」という方針が示されている。だが、融通の問題ではない。総量の問題だ。ここでは、看護師不足の対策としては、看護師の総量を増やすべきなのだ。

 では、総量を増やすには? 記事では「スタッフの養成」という方式が示されているが、そんなことはできっこない。できるのはただ一つ。離職中の看護師を再雇用することだ。
 このことは、日本看護協会も示している。すでに部分的に実行中である。
 このため協会は、今後、感染の拡大が続くとさらに多くの看護師が必要になるとみられるとして現在、離職している看護師などおよそ5万6000人に対して、復職を求めていく方針を示しました。
( → 離職中の看護師に復職求める方針 日本看護協会 | NHKニュース

 日看協では今年4月、都道府県看護協会を通じて潜在看護職5万人にメールを送り、COVID-19対応のための復職を呼び掛けた。その結果、2901人が復職を希望し、996人が就業するに至ったという。
( → COVID-19対応で潜在看護職1000人が現場復帰:Aナーシング

日本看護協会は離職中の看護師などに復職を求めてきましたが、これまでにおよそ1000人が復職し、そのうちの4割が軽症者の宿泊施設などの現場で対応に当たったことが分かりました。
 日本看護協会は、新型コロナウイルスの感染拡大により医療現場で看護師などの不足が懸念されたため、4月以降、離職している看護師や准看護師、保健師などおよそ5万人に復職を求めていました。
 協会によりますと先月29日までに996人が復職したということで、これは病院や自治体などから寄せられた1600人余りの求人のうち、およそ6割に当たるということです。
( → 看護師など約1000人が復職 新型コロナ感染拡大の対応で | 注目記事 | NHK政治マガジン

 離職している看護師は5万6000人もいる。これほどにも大量の看護師がいるのだから、そこから採用すれば十分に足りるはずだ。
 ところが現実には、再雇用に応募したのは、996人(約 1000人)しかいない。そのせいで、現実には、看護師不足という状況になっているわけだ。

 では、どうしてそうなった? その理由は、次の記事から窺われる。

 「いつ自分も感染するかと常に緊張を強いられ、負担が重かった」。コロナ患者を受け入れる北日本の総合病院を8月に退職した40歳代の看護師の女性はこう振り返る。
 女性は保育園児の息子の子育てのため10年以上勤めた診療所を辞め、4月に勤務の調整がしやすい大病院に転職した。非正規の看護職で外来に勤務していたが、感染拡大に伴い、陽性が疑われる患者の検査補助などを担当するようになった。
 業務負担は増えたが、時給は約1400円のままで、コロナ対応の特別手当も月1万4000円程度。女性は「十分な待遇もなく、自分や家族の命を危険にさらしてまで勤務はできなかった」と語る。
( → コロナ対応限界、看護師退職止まらず…「命を危険にさらしてまでできない」 : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン

 看護師なのに、時給 1400円。しかも非正規だから、社会保険には加入していないのかもしれない。(だとしたら、その分の企業負担がないので、その分だけ賃金が低いのと同じことだ。)
 時給 1400円なんて、東京の飲食店などのバイトと同様の額だ。そういう額で、危険なコロナに立ち向かわせようというのだから、応募する人が来るわけがない。(他の職場で)まともに正規職員で雇用されれば、時給 2000円以上になるし、社会保険完備だ。しかも、コロナの危険にぶつかることもない。
 危険手当がたったの1万4000円で、コロナの仕事をするなんて、馬鹿馬鹿しくてやっていられないだろう。これでは、5万6000人のうちの 1000人しか応募しないのも、当然だ。よほど高邁な自己犠牲の精神のある人(あるいは自殺願望の人)しか、応募しないだろう。

 ――

 ここまで見れば、何をなすべきかは、はっきりする。こうだ。
 「看護師不足の対策としては、高給で看護師を急募すればいい」


 こんなことは、馬鹿でもわかることだ。困ったときの Openブログの出番ではない。
 なのに、馬鹿でもわかることがわからないのだから、頭がおかしい人ばかりだということになるのかね。冒頭記事の人であれ、大阪府知事であれ、既存の看護師を融通してくれと求めている。「あなたのもっているものをちょうだい」と、おねだりするばかりだ。まるで乞食のように。……こいつらには、「恥を知れ」と言ってやりたい。
 
 なすべきことは、自分で金を出すことだ。金を出すこと、ただそれだけでいい。金さえ出せば、離職中の看護師が応募してくれる。なのに、そうしないで、出すべき金をケチるから、本来は応募してくれるはずの看護師がみんな逃げ出してしまうのだ。馬鹿丸出しというしかない。ケチ根性は、見苦しいにもほどがある。

 もしかしたら、「どうしても金がない」ということなのかもしれない。なるほど。自治体には金がないのかもしれない。しかし、それなら、政府が金を支出するべきだ。そのための金なら、ありあまっているからだ。
 第1に、GoTo という無駄金。
 第2に、コロナ対策の特別予算が、30兆円もある。
  → コロナ経済対策、総額73兆円超に 国の支出は30兆円:朝日新聞

 これほどにも巨額の金があるのに、肝心の医療のためにはほとんど投入しないで、逆に、感染を拡大する GoTo のために金を投入する。……これはもう、狂気の沙汰だ。

 だが、もっと狂気的なのは、国民だ。
 政府の新型コロナウイルス対策は「評価しない」が55.5%。感染防止と経済活動のどちらを優先すべきか尋ねたところ「どちらかといえば」を含め「感染防止」を挙げたのは計76.2%に上った。
 支持率は50.3%、不支持は32.8%だ。
( → 菅内閣の支持率が急落、50%に コロナ対応「評価しない」55%

 政府のコロナ対策(GoTo 優先、医療軽視)という方針には、国民の大多数が批判的なのにもかかわらず、大半が菅首相を支持している。これじゃ、「嫌いなものが好き」と言っているのに等しい。「きれいはきたない、きたないはきれい」(シェークスピア)と言っているようなものだ。錯乱的。……それが日本人の精神構造だ。
 もう、メチャクチャである。

 ※ じゃあ、どうすればいいかというと、日本人が正気を取り戻せばいい。そうすれば、支持率が下がり、不支持率が上がる。すると、自民党議員が「菅降ろし」を初めて、菅首相は退陣する。そうなれば、GoTo もなくなるし、かわりに医療予算が増える。だから看護師不足もなくなる。これにて万事解決。
( 悪口を言うだけでなく、解決策も示します。困ったときの Openブログ。)



 [ 付記 ]
 看護師を新規雇用するときには、若手を優先するといいだろう。若手の方がコロナに感染する率が低いので、人道的な意味からも、これは当然だ。(特にコロナに限った措置である。)

 そのためには、「年功序列」を排して、「全年齢で同一賃金」にすればいい。私の推奨は、「年齢や経験にかかわりなく、時給 3000円」である。……こうすると、もともと給料の低い(経験年数の少ない)若手の看護師がたくさん応募してくれるだろう。一方で、高齢のベテラン看護師は応募してくれないだろう。それでいいのだ。
 
 「経験の豊富な有能な看護師を優遇するべきだ」という意見もありそうだが、私は賛同しない。コロナの重症患者には、特別な医療措置が必要だというよりは、寝たきり老人への介護が主な仕事となるからだ。
 集中医療室にいる寝たきりの重症者への医療は、人工呼吸を担当する医師と技術士が主にやるのであって、看護師の出番は少ない。また、患者は意識をなくしていることが多いので、看護師が会話をして、状況を調べることもない。
 看護師というよりは、介護士の仕事に近くなる。だから、高齢のベテラン看護師よりは、体力のある若手看護師の方が向いているのだ。まして、コロナの感染のしやすさの問題もある。
 導入する看護師は、「若手優先」を徹底するべきだろう。
 


 【 関連動画 】




 屈強の男性看護師が助けに入ったようだが、およそミスマッチであろう。こんなごっつい男性の出番ではない。柔らかな手指を持つ、優しい女性の出番だ。
 


 【 追記 】
 人員不足に対処するには、看護師を雇うための医療予算を増やせばいい。……これが私の方針だが、野党もこの方針を展開している。
 立憲、共産、国民民主の3党の議員は、感染拡大で疲弊している医療機関や医療従事者への支援策を優先するよう見直しを求めた。
 辻元氏が「支援が目詰まりしている。看護師への支援などを早くやるべきだ」と主計局長に迫ったが、下を向いて応じず、同席した主計官が「予算は足りている」と主張したという。
 野党側から「『Go To』も予算が足りなくならないよう積んでおくということでは」と問われた主計官は「緊急性があるから」と回答。「では医療はどうなのか」と詰められると、「医療は大丈夫です」と繰り返したという。
( → GoTo追加、密室の説明 医療支援求める野党、政府は応ぜず:朝日新聞

 主計局長は「下を向いて応じず」とのことだ。明らかに間違ったことを言わざるを得ないので、良心に反するから、何も言えなくなってしまったのだろう。かわいそうに。こんなことをするために主計局長になったのかと思うと、本人も哀れだ。下手をすると、自殺しかねないね。
 菅首相は本当に罪作りだ。
 
 ――

 ただ、「 GoTo を絶対にやめたくない」というのは、まだしも理解できなくもないが、「医療予算を増やしたくない」というのは、まったく理解できないね。「医療予算を増やさない」という菅首相の独自方針があるわけでもないのだから、そこで依怙地になる必要はないのだが。
 単に「言われたことをやりたくない」と、意地を張っているだけ? それとも、国民を殺したがっている? いよいよ気違いじみてきたね。
 
posted by 管理人 at 23:37| Comment(3) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
正論です。

獣医師会が看護師を安くこき使うから離職が多い。
自民の金銭母体が獣医師会。
看護師に組合が無い、そもそもの原因。

看護師組合を作らせる。それだけで充分。
労働組合があって初めて、
資本家と労働者は建設的な方向に進む。

それでようやっと賃金が上がる。
組合が無い状態で介護含めた医療に明日は無し。

管理職や課長組合だってある今の御時世。
問題のある業種には組合を作らせる。
これが国の仕事。
組合があれば自浄していきますよ勝手に。
Posted by メルカッツ at 2020年12月11日 22:39
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2020年12月12日 10:14
菅氏はドラ息子の無知と暴走を支えた側の人。
利用した、とも言えますが、
忖度し続けたツケで、
貴重なあるべき姿の情報が上奏されないと診ます

医療予算を増やしても獣医師会がムシャムシャ喰うだけ
看護師保護をするとして、それもピンハネする中間団体が…
獣医師会と看護師を切離す必要がある。それだけ。
英国圏中心、あるいはナイチンゲールに始まる看護師ありきの医療業界。
患者を救うのは看病する人であって、
手助けをするのが医師や医療機器や薬剤。
人間の自浄努力と生きる活かされる力が結局の寿命

保健医療制度は必要ですが、獣医師会は不要。
人を救う稼業が低所得であってはいけない。

但し、
看護師免許が易々ととれるから地位が低い。
と考える人は大半ですが、
それは教師免許も同様。
国を強く、安全安寧にするには、
まず関連給与を付ける、免許は徐々に厳しく。

共産主義や軍国主義時代よろしく基本中の基本。
世界が帝国主義に戻っていくなら、
富国強兵の基本に立ち返るなり、
当時の教育などのボトムアップ政策の歴史を庶民が知った上で政権を選ぶなり世論形成されるべき

すでにどうでもいい、という考えの日本人が多い時点で
憂う必要も変える必要もないあきらめの国か。
貧乏人としては、既にどうにもならん気が。
Posted by メルカッツ at 2020年12月12日 21:42
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