2020年12月05日

◆ コロナは検査で抑止できる

 大阪では感染がひどいことになっているが、一方、見事に抑止に成功している例がある。そのコツは、大量検査だ。

 ――

 大阪では感染がひどいことになっている。次の図表もある。

 その一方で、見事に抑止に成功している例がある。東京都の墨田区がそうだ。そのコツは、大量検査だ。
 《 パンクしない保健所 無症状でも徹底検査で挑む墨田区流 》
 墨田区保健所長の西塚至さんは、「第3波」が到来したとされる今も、冷静に受け止めている。各地の保健所から悲鳴があがる中、なぜ墨田区は違うのか。

 「ちょっとのどが痛い」だけでも…1日530件の検査が可能
 「抗原検査も含めれば1日530件の検査が可能で、『ちょっとのどが痛い』程度でも検査を受けていただいています。検査態勢には十分余裕があり、相談があればその日のうちに検査が受けられます。無症状の人も見つかるので感染者数は多いですが、知らない間に感染が広がったり、重症化したりするのを防げます」
 「6月には民間の検査会社を誘致し、区民ならいつでも誰でも6千円で検査を受けられる仕組みをつくりました。この仕組みを利用し、12月1日からは区内に約230カ所ある高齢者や障害者施設の5千人を対象に一斉検査を始めました。こうして、徹底的にクラスターの芽をつんでいます」

 ――国や専門家は、感染の可能性が低い無症状者へのPCR検査は必要ないという立場ですが。
 ――国の路線は間違っていると。

 「接触者を追ってクラスターをつぶしていくという方法も、患者を減らすという点では誤りではありません。でも第1波は社会経済を止め、企業や学校を閉めて乗り越えました。今回は人の活動はそのままで、警戒心も緩んでいます。そんな中、本当にクラスター調査だけで間に合うかというと、難しいと思います」
( → 朝日新聞デジタル

 大阪府は保健所予算を削減し、検査機を整備しなかった。その結果、大量の患者が発生した。
 一方、墨田区はその逆だった。そのおかげで、状況の悪化を防いでいる。

 大阪府を見ると、「コロナの万円の前に、人はなすすべがない」と見えるが、そんなことはないのだ。やるべきことはある。大量の検査をすれば、コロナを阻止できるのだ。
 そのためには、どうすればいいか? 大量の検査機を導入して、検査費用を補助すればいい。
 そのためには、金が必要だ。その金は、ちゃんとある。
  → 予算1.3兆円「Go Toトラベル」
 この莫大な金の一部を、大量の検査機の導入のために使えばいい。それでコロナを抑止できる。

 しかるに政府は、その金を、コロナの抑止のために使うのではなく、コロナの拡大のため( GoTo のため)に使っている。狂気の沙汰だ。

 ――――――――――――――――――

 なお、「検査機を大量に整備すれば、それでいい」というものではない。機械を整備することのほかに、検査を受けられるシステム(体制)を整備することが必要だ。
 これができていないせいで失敗した事例がある。40代の男性が検査を受けられないまま死亡した、という石川県の事例だ。
 この男性は金沢大薬学系准教授の高橋広夫さん=享年四十二。妻(43)や知人の話では、高橋さんの自宅は県外にあり、金沢市内に単身赴任していた。十一月十六日に強い倦怠(けんたい)感があり、自宅療養中の二十日には三九度台の発熱があった。
 高橋さんは二十一日、県発熱患者等受診相談センターに電話して PCR検査を受けたいと伝えたが、「かかりつけ医の判断がなければ検査は受けられない」と告げられたという。
( → 死亡前 コロナ検査断られ 金沢の男性 死後に陽性判明:北陸中日新聞Web

 39度の発熱があって、検査を受けたいと言ったのに、検査を拒否された。そのあげく、アビガンを処方されることもなく、死亡した。
 これは完全に医療システムの問題だ。

 かかりつけ医を経由するのではなく、コロナ専門病院経由にするべきなんだが、そうしていない石川県のシステムに問題がある。「いつでも誰でもコロナ専門病院へ」というシステムを整備するべきだ。
 墨田区ならば、「区民ならいつでも誰でも6千円で検査を受けられる仕組みをつくりました」とのことなので、「いつでも誰でも」というシステムができている。
 一方、石川県の場合には、「かかりつけ医の許可がないと、検査を受けられない」という硬直したシステムになっている。石川県では、感染者数が少ないので、検査機器が不足しているという問題はないようだ。なのに、システムが駄目なせいで、検査できるのに検査しない。ここでは「検査できない」という物療的な問題があるのではなく、「検査しない」という人間的な意思に問題があるわけだ。また、そういう意思が介在することを許しているシステムに問題があるわけだ。
 こういう欠陥システムを是正しないと、いくら検査機器を整備しても、猫に小判となる。そのせいで、国民の命が奪われることになる。
 高橋さんは生物工学が専門。中でも遺伝情報など膨大な数値データを解析する分野で、優秀な若手に研究費を助成する文部科学省の「卓越研究員」に選ばれていた。

 有望な研究者の生命が奪われることになった。それも、公的なシステムの欠陥のせいで。まったく、ひどいことだ。
 GoTo なんかやっているときじゃないんだが。首相の目は、国民の命より、金に向くばかりだ。



 [ 付記1 ]
 墨田区の感染者数グラフを見ると、墨田区の感染者数が増えていないわけではない。感染者数そのものはかなり増えている。なぜか? 大量の検査をしているからだ。
 当然、その大部分は、軽症または無症状の感染者だ。そこが他の地域とは違う。(数字よりも中身が問題だ。)

 [ 付記2 ]
 大阪府知事が、あちこちに看護師の派遣を要請している。
 大阪府の吉村洋文知事は1日、全国知事会と関西広域連合に看護師計40人の派遣を要請したと明らかにした。
( → 大阪府知事、看護師派遣を要請 | 共同通信

 大阪コロナ重症センターで看護師が不足しているとして、吉村洋文大阪府知事は5日出演した民放番組で、自衛隊に看護師の派遣を打診していることを明らかにした。
( → 大阪コロナ重症センターの看護師不足、吉村知事が自衛隊に派遣を打診 - 毎日新聞

 自分の無能さの尻拭いを、他人に頼んでいる。呆れる。自分で看護婦を雇用するべき何だが。そのくらいの金は自分で出せ。大阪府にはそのくらいの金はあるだろう。
 もし金がなければ、政府に「 GoTo の金を回してくれ」と頼むべきだ。

 そもそも、他地域から派遣するというのが、非効率だ。看護師にしてみれば、大阪に来ると、住居費も払う必要があるので、その分、給料が減るのと同じだ。わざわざ来てくれるはずがない。地元の大阪の内部でまかなうのがスジだ。

 [ 付記3 ]
 大阪で看護師が集めにくいのであれば、一般病院の看護師の賃金を切り下げる、という手もある。一般病院は、患者が来なくなって、経営が悪化している。ならば、「ボーナスカット」という形で、賃下げしてもいい。看護師としても、仕事量が激減しているので、多少の賃下げは我慢できるだろう。
 そして、そういう状況において、「コロナ専門病院での看護師を高給で募集します」というふうにすれば、賃下げにあえぐ看護師が応募してくれるだろう。特に、若手の看護師が、応募してくれそうだ。

 ※ 若手だと、コロナに感染して死亡する危険が少ないので、若手を募集するといい。そもそも、コロナの看護をする看護師は、特殊な医療技術が必要なのではなく、高齢の患者の介護をすることが主目的となる。看護師というより、介護士に近い。そういう状況であれば、高度な医療知識は必要ないので、若手の看護師で十分だ。
 
posted by 管理人 at 21:26| Comment(2) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
検査そのものよりも、感染者を見つけ出した後の対応の方が極めて重要ですが、その情報があまり出てこないのが気になります。

墨田区はどう対応しているのでしょう?
Posted by 反財務省 at 2020年12月05日 21:57
 墨田区の対応は、記事に書いてありますが、「ほとんどが無症状者なので、自宅療養だけでよく、公的には何も対処しないで済む」とのことです。

 以下、引用。

 ――

 一斉検査は感染者を掘り起こし、医療機関の崩壊につながりませんか。

 「そういったご意見はあります。でも、ほとんどの方が無症状で自宅療養となるため、医療機関の負担は限られます。早い段階で隔離できるので、集団感染の拡大を防げるというメリットの方が大きいと思います」
Posted by 管理人 at 2020年12月05日 22:42
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ