2020年12月02日

◆ 無人駅と車椅子 2

 無人駅が増えているが、車椅子の身障者はどうすればいいか? (その2)

  ※ IT技術で解決できる、という話です。

 ――

 この問題については、先に扱った。
  → 無人駅と車椅子 1: Open ブログ

 ここでは、次の解決案を出した。
 「田舎の赤字路線なら、廃線して、かわりにノンステップ・バスを導入すればいい。それでバリアフリーが実現するから、解決する」


 ――

 さて。これでは済まない例が見つかった。田舎の赤字路線に限らず、都会の路線でも、時間帯によっては無人駅になるそうだ。(記事は無料で全文が読める。)
  → 無人駅とバリアフリー 「話し合いながら、障壁除去を」:朝日新聞
  2019年6月にさいたま市のJR埼京線・南与野駅に駅員がいないという理由で、車いすを利用する男性が降車できないということがありました。この件を受け、私たちが日頃から使う市内の駅を調べたら6駅中4駅で駅員不在の時間があることが分かりました。多くの人が利用する首都圏の鉄道でこういう事態が広がっていることに驚きました。

 南与野駅というのは、埼玉副都心のすぐそばにあり、浦和にも近い。




 当駅に乗り入れている路線は、線路名称上は東北本線(支線)であるが、運転系統上は埼京線として案内される。

 2019年(令和元年)11月30日:相鉄・JR直通線開業に伴うダイヤ改正より、快速電車の停車駅となる
 1日平均乗車人員は18,917人である。

 始発から午前6時30分までの間、遠隔対応のため改札係員は不在となり、一部の自動券売機のみ稼働している。
( → 南与野駅 - Wikipedia

 乗客のとても多い首都圏であるのに、時間帯によっては無人になる。たぶん、早朝・深夜だろう、と思ったら、案の定で、「始発から午前6時30分までの間」に無人になるそうだ。
 で、この時間帯に「何とかしろ」という要求が出たわけだ。

 ――

 これについては、次の記事も参考になる。
  → 車いすでロンドンの地下鉄の駅に行くと…乙武さんの驚き:朝日新聞
 乙武さんは、こう述べる。
  ・ ロンドンでは居合わせた市民が助けてくれる。
  ・ 車両1両分でも、ホームと車両の間をフラットにできないか。


 後者は、彼のアイデアだ。なるほど、自動装置を使えば、これは可能かもしれない。だが、車両改造をするのは無理っぽい。また、たとえ自動装置を使っても、人間の操作が必要だ。それを乗務員がやるなら、有人の乗務員が必要なわけで、だったら、自動装置が合ってもなくても同じことだ。……つまり、後者は解決策にならない。
 かといって、前者に頼ればいいかというと、どうもそう簡単には社会を改革できそうにない。
 困った。どうする?

 ――

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 (i) 早朝・深夜については、対応できなくても仕方ない。そんな時間帯まで過剰なサービスを要求するべきではない。(どうしてもやりたければ、自分で介護者を雇えばいい。)

 (ii) それ以外の時間帯では、こうする。
 「乗車の1時間前に連絡する。連絡を受けた鉄道会社は、最寄りの基幹駅から、該当の駅まで、駅員を派遣する」


 これだと、1時間前に連絡を受けるから、連絡から1時間以内に駅員を派遣すれば間に合う。鉄道会社なんだから、駅員を電車で運ぶことぐらいはできる。
 先の例で言えば、「大宮駅」または「さいたま新都心駅」を基幹駅として、駅員を多く配置しておく。その上で、南与野駅に(電車で)駅員を派遣する。その所要時間は1時間もかからないから、事前に連絡を受けておけば、十分に間に合う。

 乗客としても、1時間前に事前連絡するくらいの時間の余裕はあるはずだ。この「1時間」というのは、自分が出発するまでの準備時間ではない。自宅から駅までの(徒歩などの)時間を含む。
 たとえば、自宅から駅まで 20分だとすると、出発する 40分前までに連絡するだけでいい。 40分ぐらいの時間の余裕はあるだろう。

 かくて、「出発する少し前に連絡する」というだけで、駅員の派遣を受けることができる。

 なお、連絡は、電話でもいいが、web ページ上の操作でも連絡できるようにするといいだろう。電話は苦手だという人も多いので、選択肢を増やすといい。

 ――

 現状はどうか? 上記の提案に比べると、あまりにもお寒い状況だ。

 (1) web ページが貧弱だ

 JR東日本に「車いす利用者が事前に連絡をする場合、どこに連絡すれば良いか」と尋ねると、公共交通機関のバリアフリー情報を提供するサイト「らくらくおでかけネット」(公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団運営)や駅の掲示で案内していると回答があった。試しにいくつかの駅をサイトで検索してみると、連絡先としてJR東日本お問い合わせセンターの番号が記載され、連絡が必要かどうかも記されていた。
( → 都市部に広がる無人駅′ワ輪会場の最寄りにも JR東「事前に要連絡」 車いす利用者ら「乗りたい時に…」

 らくらくおでかけネット というものがあるが、ここではほとんど何もできない。どの駅でも共通して、「東日本お問い合わせセンターの番号が記載されている」だけだ。
 だったら、最初からその番号だけを掲載しておけばいいのだ。いちいち駅ごとに調べる操作をさせられるだけ、余分に手間がかかる。無駄手間。

 ※ 駅員がいる駅もあるので、その場合には、それを確認できるという意味はあるが。しかしそれなら、最初から何も調べる必要はない。黙ってその駅に行けばいいだけだ。一方、無人駅のときには、調べても、共通の電話番号がわかるだけで、無駄手間だ。

 ※ おまけに、この「らくらくおでかけネット」というのは、情報が間違っていて(更新されていなくて)、無人駅でも有人駅のように記載されていることがあるそうだ。千駄ケ谷駅(渋谷区)や信濃町駅(新宿区)がそうだという。
  → 都市部に広がる無人駅′ワ輪会場の最寄りにも JR東「事前に要連絡」 車いす利用者ら「乗りたい時に…」


 (2) 対応が遅い

 東日本お問い合わせセンターに連絡すると、「前日までに連絡してください」と言われるそうだ。
 駅員が不在になる駅を使う場合、車いす利用者は「前日まで」の連絡を求められている。

 1日平均1万人以上が乗車した管内287駅を検索してみた。すると、東京都と埼玉、千葉、神奈川各県の少なくとも81駅(2月時点)で「不在時間がある」とし、車いす利用者には原則、前日連絡を求めていた。
( → 都市部に広がる無人駅′ワ輪会場の最寄りにも JR東「事前に要連絡」 車いす利用者ら「乗りたい時に…」

 前日連絡って、何それ。融通が利かないにもほどがある。二つ先の駅に行くまでに、1日もかかるのか? バカじゃなかろうか。

 駅間を移動するだけなら、せいぜい 30分ぐらいの時間があれば済む。それ以上の時間がかかるとしたら、人員の融通に無駄な時間がかかっているだけだ。そして、その点は、IT技術を使えば、うまく最適化ができるはずだ。
 例。南与野駅で「車椅子介護」の要求が発生しました。手すきの駅員は、どこにいるか? 最寄りの基幹駅は、大宮駅です。そこには、3名います。そのうち、3番線ホームにいる駅員 EKA-00324 を呼び出して、南与野駅に派遣します。到着予定時刻は、15分後です。

 こういうのを、AI を使って自動化すればいい。人間は AI を操作するだけでいいが、webサイトでの入力があったなら、人間の介在なしで、すべてを自動処理することもできるだろう。

 そういうシステムを開発すれば済む話だ。「要求から派遣まで丸一日かかります」なんて、どこの原始時代だよ。馬鹿馬鹿しすぎる。

 ともあれ、配分の最適化の問題は、IT技術でうまく解決できる。ちゃんとIT技術を使うべきだ。



 【 追記 】
 JR は「人手はそんなに余っていないぞ」と言うかもしれないが、そもそも人手をやたらと削るべきではない。人手というものは少し余裕を持たせておくべきものだ。余っている人手が、いざというときに役立つものだからだ。これを「怠け蟻の原理」という。
 怠けているように見えるが、実は、休憩しているだけなのだ。そして、休憩しているのは、次に働くためなのだ。つまりは、待機時間である。
 待機しているものがいるからこそ、いざ、緊急の呼び出しがあったときに、対処することができる。仮に、待機している者がいなければ、緊急時に対応不可能となり、大変な厄災が起こる。
( → 怠け蟻 … 無用の用: Open ブログ

 つまり、バッファとなる人員が必要だ、ということだ。

 ちなみに、財源の面から考えると、JR にはありあまるほどの金がある。首都圏の路線は、どこもかもべらぼうな黒字だからだ。営業係数を見ると、次にざっと抜粋がある。
  → JR東日本、首都圏の路線でとても黒字の路線は何ですか?また、赤... - Yahoo!知恵袋
 おおむね7割前後だ。つまり、利益率は 30%前後。ボロ儲けしているケータイ会社の利益率が 20%前後だから、それをはるかに上回るボロ儲けだ。 肝心の埼京線はどうかというと、下記にデータがある。
  → JR東日本の新幹線「一番稼げる」のはどこか | 東洋経済
 「埼京線」という項目はなくて、「東北線 東京−大宮間 〜」というのが該当する。( → 埼京線 - Wikipedia ) その数字は、66.7 だから、やはり3割ほどの利益率がある。
 JRは、首都圏ではボロ儲けしているのだから、やたらと人員を減らしすぎるべきではないのだ。コストを削るなら、赤字路線で「廃線」などの措置を取るべきだ。黒字路線で必要な人員を削るのは、本末転倒だ。


posted by 管理人 at 23:01 | Comment(2) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
JRは、予約サイトも案内サイトも非常にわかりにくいし、予約してカード決済したチケットの受け取りも、出来る券売機と出来ないやつとがあったりして、なかなか大変。
やる気あるんだろうか、と思ってしまいます。
Posted by けろ at 2020年12月03日 02:05
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2020年12月03日 07:48
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