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菅首相が「温室効果ガスをゼロにする」という宣言をした。
菅義偉首相は、所信表明演説の中で2050年までに日本の温室効果ガス排出量を全体としてゼロ、すなわち「カーボン・ニュートラル」にすることをめざすと表明しました。これまで政府は「2050年80%削減」を掲げていましたが、これを引き上げたものです。
( → 菅首相、2050年カーボン・ニュートラル目標を宣言 パリ協定1.5℃目標に整合する2030年目標の設定が急務(2020年10月27日) CAN-Japan )
少しはまともなこともやるようだ……と思う人もいるようだが、だまされていはいけない。この宣言は口先だけの宣言であるにすぎない。(嘘つき首相のうちでも最大の嘘かもしれない。)
どういうことか? この宣言は、口先の宣言以外に、実効性がないからだ。担保となる法律がない。そのことは、諸外国と比べるとわかる。
欧米では、「温室効果ガスをゼロにする」という宣言に実効性を持たせるために、次の二つの法律がセットとなる。
・ ZEV 規制
・ CAFE方式
これらは次のことを意味する。(以下はネット上からの転載なので、出典は、その文章をググれば、すぐに見つかる。)
ZEV 規制
大気汚染対策として米国カリフォルニア州が導入を始めた規制で、自動車メーカーが州内で自動車を販売する場合、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)など排出ガスを出さない無公害車(ZEV:Zero Emission Vehicle)を一定比率以上販売することを義務付ける制度。
CAFE方式
自動車の燃費規制で、車種別ではなくメーカー全体で出荷台数を加味した平均燃費(過重調和平均燃費)を算出し、規制をかける方式。 ある特定の車種では燃費基準を達成できなくても、そのほかの車種の燃費を向上させることでカバーすることが可能になる。
いずれも罰則がある。
ZEV 規制
販売数のうちのZEV比率も年々引き上げられており、2020年現在の比率は16%。この比率を下回った場合、メーカーは基本的には罰金を支払うことになる。
CAFE方式
CAFE基準を遵守できない自動車メーカーは罰金を支払う必要がある。米国で乗用車、小型トラックを販売する事業者は全て罰金の対象である。
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以上のように、欧米の制度では、「未達成には罰金」という形で、実効性が持たされている。
一方、日本では、口先だけの宣言があるだけで、罰金制度はない。
EVのゼロ・エミッションと、CAFE方式による規制が結びつくことが、各メーカーが欧州と中国でEVを売らなければならない事情に直結している。CAFE方式は、メーカーごとの一台あたり平均CO2排出量に基づく規制である。
このCAFE方式によるルールでは、販売車種の全てで燃費性能を向上させ続けることも大事だが、それよりもCO2ゼロカウントのEVの台数を増やすことが、効果的に目標達成に結びつく。
欧州では2021年からCAFE方式による目標未達メーカーに対する罰金がスタートする。
一方で、日本でもCAFE方式に基づいた規制はあるが、基準に達しなかった場合の罰金は、ほぼ無いに等しい。
( → レクサスUX300e日本向け135台の理由、CAFE規制でEVは欧州中国優先 | 自動車リサーチ )
その結果、どうなったか? こうだ。
「トヨタやホンダは、電気自動車を開発したが、それを日本ではほぼ販売しないで、欧米に回す。欧米では、電気自動車の販売台数が少ないと、罰金を取られるからだ。一方、日本では罰金を取られないので、形だけの少数だけの販売をして、あとは作った電気自動車を欧米に回す」
ま、メーカーとしては、当然の選択ではある。しかし、このことからして、日本政府の愚鈍ぶりがわかるというものだ。
で、どうして日本政府がこういうふうに愚鈍かというと、「環境規制で罰金を科する」ということ全般に、経団連矢自動車業界が反対しているからだ。で、経団連の腰巾着である自民党は、産業界に罰金をかけるような環境規制を何もできないのだ。……欧米の政府とは違って。
安倍首相や菅首相がいかにダメダメであるか、よくわかるというものだ。
【 関連サイト 】
→ 日本がEV化を加速!? 菅総理がカーボンニュートラル宣言! ユーザーへの影響はいかに
【 追記 】
新たなニュース。
政府は、地球温暖化対策の一環として、ガソリン車の新車販売を2030年代半ばに禁止する方向で最終調整に入った。
経済産業省が今月10日、自動車メーカーなどとの会議を開いたうえで、こうした方針を表明する。
日本はこれまで新車販売台数に占めるガソリン車の割合を、30年に30〜50%に引き下げる目標を打ち出していたが、販売禁止とする時期は示しておらず、出遅れが指摘されていた。
( → 政府、2030年代半ばにガソリン車新車販売禁止へ 欧米中の動きに対抗 - 毎日新聞 )
何かやっているフリをするが、10年以上先のことを決めるだけでは駄目だ。今すぐ何かをしなくては。つまり、
・ ZEV 規制
・ CAFE方式
を今すぐ導入しなくては。そして罰則を付けなくては。
結局、菅政権のやることは、ただの口先だけであって、実効性のあるものが何もない。口先男。
タイムスタンプは 下記 ↓
宣言にケチつけるのは、菅は2050年まで生きていないから無理だなんてケチつけるのといい勝負。
欧米では、今年宣言をする何年も前(十年ぐらい前)から、法律がありましたよ。
民主党政権は3年間ぐらい続いただけで、それ以外はずっと自民党政権だったんだから、法律を作るための期間は 20年ぐらいあった。ずっとサボっていた。
法律がないのは、菅首相のせいではなくて、自民党のせい。
宣言と法整備は同時に口に出すべきなのに、前者しか言わないのは菅首相のせい。
平成10年施行の「地球温暖化対策の推進に関する法律」とかいうのはありますけど、これじゃお気に召さない?
どういう法律があれば、ケチがつかなかったのかな?
本文に書いてあるでしょ? 読めないの? 欧米では二つの規制がすでに実現済み。ゼロ宣言の前にね。
そもそも、ゼロ宣言は、ずっと先の話なんだから、そんな遠い先のことは今すぐ考えなくてもいい。
明日のこともろくに考えていない人が、10年先のことを考えてどうする。
ゼロエミッション宣言をする前に、自動車の排ガス規制の法律がない(と管理人が思っている)から、ケチをつけるっていう主張なんですね。
排ガス規制の法律は日本にもあるんですけどね。欧米のとは違うんでしょうけど。
まずガソリンディーゼル車よりこうやって突っかかってくるホルビーみたいなアホな古ぼけたオッサンを社会から排除した方がいいんじゃないか。
・ ZEV 規制
・ CAFE方式
を今すぐ導入しなくては。そして罰則を付けなくては。
⇒ 全く同感です。ところで、日本ではメーカーへの罰則(クルマの認証を取り消すとか)や罰金はないですが、エコカー減税、グリーン化特例(減税の一種)、及びエコカー補助金がありますよね。もう5年以上はやっているのでしょうか? 我が方のインセンティブ方式は、罰則・罰金方式と比べて実効効果のほどはどちらが上なんでしょうね?
日本のインセンティブ方式も、当然毎年予算が付く(適当ですが年に1兆円くらい?)ので、うまくやればLEVやZEVへの買い替え促進効果が見込めるはずです。しかし今は、例えば大型セダンのハイブリッドとか大型SUVのディーゼル車にもこれらを適用しているので、輸入車含めてほぼ全てのメーカーへの優遇措置みたいになってしまっていて、この政策だけに頼っていては、ゼロ・エミッションやCO2ゼロなんてのは程遠い話ですよね。
私は長らく排ガス触媒の研究開発担当でしたが、欧米でも、実際のところは罰則や巨額の罰金が課せられたという話はこれまでに聞かないです(私があまり興味がないので知らないだけかも)。しかし、EUの2021年度燃費(CO2)規制に対しては、罰金の支払いに直面するメーカーも出てくるのでは、などと予測されてますね(下のリンク)。
@ https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/top-car-oems-will-face-14-5bn-fines-in-eu/
A https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63405500T00C20A9MM8000
B https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/04838/
<以下、番組公式HP>
https://www.tv-asahi.co.jp/m-show/contents_new/souken/
<以下、なぜか価格コムで番組内容が実況形式で紹介されているサイト>
https://www.tv-asahi.co.jp/m-show/contents_new/souken/