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福岡市では今秋、コロナの感染者数が増えていない。このことから、「 GoTo キャンペーンのせいで感染者数が増えるというのは誤りだ」と主張する意見がある。福岡市市長の意見だ。
Go Toトラベル。そんな多くの人々の雇用や生活を支えようと政府が力を入れている政策について、日本医師会長が新型コロナ急拡大の「きっかけになったことは間違いない」との見解を発表されました。
福岡市においても9割の方が第三次産業に従事しているので、「Go To トラベル」の開始時期、宿泊施設の稼働指数と、新型コロナの陽性者数のグラフを作ってみました。
Go Toトラベルが関係しているのであれば、全国各地で同じ傾向があってもおかしくないと思うのですが、 11月19日時点の分析においては、Go Toトラベルと福岡市の感染者数に相関関係はみられませんでした。
( → Go Toトラベルとコロナの相関関係 | 福岡市長 高島宗一郎オフィシャルブログ Powered by Ameba )
たしかにグラフを見る限り、福岡市の感染者数は、今秋には増えていない。つまり、「 GoToキャンペーンのせいで感染者が増える」ということは成立していない。
これを受けて、「 GoTo と感染者数とは関係がない」(相関性がない)と主張する意見が、はてなブックマークに多く見られた。
→ はてなブックマーク
一方、本サイトや医師会会長は、「感染者数増加の原因が GoToキャンペーンにある」というふうに主張している。
では、どちらが正しいのか?
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これは、きちんと論理で考えれば、簡単に説明が付く。
「基本的にはどちらも正しいのだが、論理を混同すると、矛盾があるように見える」
具体的にはどういうことか? 最初に真実を言うと、こうなる。
「コロナの感染者数は、気温に影響される。気温が低い土地(北海道)では感染者数が多く、気温が高い土地(九州・四国)では感染者数が少ない」
これは当り前ですね。具体的なデータは、下記で見られる。「九州・四国では感染者数が少ない」ということが、すぐにわかるだろう。(今秋)
→ 新型コロナウイルス 都道府県別の感染者数・感染者
※ グラフはすぐには表示されないので、各県ごとに自分で探す。
たとえば「福岡県」と指定して、福岡県のグラフを見る。
※ 九州でも一部の県では、今週になって急増が見られる。(大分)
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気温が高いと、感染者数は少ない。ここから、何がわかるか? こうだ。
「感染者数は、気温に影響されるので、〈 GoToキャンペーンの有無〉という1要素だけで決まるわけではない。1要素だけを見て、相関関係を考えるのはナンセンスである」
「感染者数は、〈気温の影響〉×〈 GoToキャンペーンの有無〉 という掛け算で決まると考えていい」
「気温が高ければ、〈 GoToキャンペーンの有無〉にかかわらず、感染者数は少ない」
「気温が低ければ、〈 GoToキャンペーンの有無〉が、感染者数に影響を及ぼす」
以上のことから、論理的には、次のように言える。
「感染者数が多い場合には、〈気温の影響〉と〈 GoToキャンペーンの有無〉がともに効果をもたらしているので、GoToキャンペーンの影響はあったと考えていい」
「感染者数が少ない場合には、〈気温の影響〉だけで感染者数が減っているので、〈 GoToキャンペーンの有無〉が影響したかどうかは不明となる。GoToキャンペーンの影響があったと言えない」
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冒頭の福岡市市長は、上の点を混同している。特に間違っているのは、次の箇所だ。
「 Go Toトラベルが関係しているのであれば、全国各地で同じ傾向があってもおかしくない」
これは完全な間違いだ。「 Go Toトラベルが関係している」としても、「全国各地で同じ傾向がある」ということにはならない。気温しだいで、結果は異なる。
・ 気温が低い → Go To の効果があるので、感染者数は増加。
・ 気温が高い → 感染者数は少ないので、Go To の効果は不明。
気温が低い場合には、GoTo の効果で、感染者数は増加する。このことは、医師会会長などが指摘しているとおりだ。この意味で、「感染者数に GoTo は影響する」と言っていい。感染者数が増加している地域では、まさしく GoTo の影響が見て取れる。
気温が高い場合には、気温の効果で、感染者数は少ない。そのせいで、GoTo の効果があるかどうかは、不明である。効果は見えなくなってしまっている。ここでは、「 GoTo は影響がない」と断言はできない。「あるか ないか は不明である」というだけだ。
要するに、感染者数が多いときには、「感染者数が多いことには、GoTo の影響がある」と言っていいのだが、感染者数が少ないときには、「感染者数が少ないことのは、GoTo の影響がないからだ」とは言えないわけだ。(ないのではなく、あるかないか不明なだけだ。)
医師会会長は、「感染者数が多いことには、GoTo の影響がある」と言っている。これはこれで正しい。このことは、気温の低い土地でまさしく成立している。
一方、気温の高い土地では、感染者数が少ない。この場合には、「感染者数が多いことには、GoTo の影響がある」と命題の真偽は、真でも偽でもない。単に「該当せず」となるので、「命題の言及外」となるだけだ。(気温の低い土地で当てはまる命題は、気温の高い土地については言及外になるだけだ。東京について述べた命題は、福岡には当てはまらないだけだ。)
ところが、論理力のない人は、ここを勘違いする。「気温の高い土地では、感染者数が少ない」という事例をもって、上記命題の「反例である」と見なしたあげく、「ゆえに上記命題は偽である」と結論を下す。実は、偽でなく、言及外であるだけなのだが。
例。「東京には東京タワーがある」という命題(*)に対して、「福岡には東京タワーがない。ゆえに、命題(*)は誤りである」というふうに結論するようなものだ。トンチンカン。
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まとめて言おう。
「感染者の急増には、GoTo が影響する」ということは、感染者の急増がある東京や大阪では成立している。
一方、感染者の急増がない福岡では、そのことは成立していない。福岡では、感染者の急増がないのだから、「感染者の急増には、GoTo が影響する」ということの真偽は、不明なのだ。
ところが、論理力の弱い人は、ここを勘違いする。「福岡では、感染者の急増がないのは、GoTo の影響がないからだ」というふうに。本当は、気温が高いからなのだが、「 GoTo の影響がないからだ」と思い込む。なぜか? 「 GoTo の影響は、気温に関係なく、一律で現れるからだ」と思い込んでいるからだ。実際には、そんなことはないのだが、本人が勝手に変な前提を持ち込んでいるからだ。
[ 付記 ]
頭が悪い人だな……と思って、学歴を調べたら、こうあった。
出身校 獨協大学法学部
前職 KBCアナウンサー
( → 高島宗一郎 - Wikipedia )
獨協大学法学部の偏差値は 50.0 - 52.5 だそうだ。
ランクは、Fランか? 次の説がある。
ネット社会では、「SMART」未満、つまり青山学院未満は、「全てFラン」。「行く価値の全くない大学」、「高卒就職の方がまし」の一言で、全て片付けられて終わります
( → 獨協大学ってFランですか? - Yahoo!知恵袋 )
まあ、この程度の大学卒であれば、論理力がないのは仕方ない。
しかし、はてなブックマークの人々も、同じぐらいの論理力の人が多いようだ。
いっぽうで私の認識では、別の記事へのコメント(下のリンク)でも書かせてもらいましたが、第2波の7〜8月の感染者が多かったところ(県)が、この第3波で感染拡大が鈍い(感染者数が少ない、立ち上がりが遅い)ようです。福岡県は、7/31の169人をピークに、7月中旬から8月中旬まで日当たり100人前後が頻発していました。
GoToトラベルキャンペーンは、7月22日から始まっているようです。その初期に東京・大阪などから福岡への人の移動があり、それによって夏の感染拡大が起こり、その後に水面下で感染が拡大していて、その疑似的な(地域性のある)集団免疫によって第3波を持ちこたえているとしたら、GoToは意外なかたちで影響していたといえますね。
http://openblog.seesaa.net/article/478590779.html#more
Posted by かわっこだっこ at 2020年11月20日 12:48
→ http://openblog.seesaa.net/article/476686004.html
GoTo を夏にやることには、意義があるかもしれない。だけど、秋にやることには、逆効果しかないですね。
⇒ そうです、そうです。別の記事宛てに書かせてもらったコメント(下記)のとおり、以前にそういう記事があったと記憶していましたが、見つけられませんでした。こちらのブログの記事は、後々読み返してみると、ハッと気づかされることが多いですね! いつもありがとうございます。
http://openblog.seesaa.net/article/478590779.html#more
Posted by かわっこだっこ at 2020年11月20日 12:48
> GoTo を夏にやることには、意義があるかもしれない。だけど、秋にやることには、逆効果しかないですね。
⇒ 仰るとおりですね!
書き間違えでしょうが、一瞬??となったので。
◯ 気温が高い場合
でした。
ご指摘ありがとうございます。修正しました。
おバカが悪いというわけでなく、おバカが何を勘違いしたか自分は利口だと自惚れて人の話を聞かないのがそもそもの悲劇ですけど
むしろ日本海側なので体感は寒いぐらいです
気温が高いという前提は違うと思います
たしかにそうですね。
これはどういうことかというと、気温という単一の要因で決まるのではなく、
(気温の影響)×(人口の密集度)
という掛け算で決まると考えるといい。
四国や九州では、気温の高さのおかげで、感染しにくい。
他の地域は、気温の低さで、感染しやすい。(秋冬の効果)
東京や大阪は、本来ならば感染しにくい気候だが、人口密集度が高いので、(気温が高くても)気温が低い地域並みに、感染者が出てしまう。