2020年11月15日

◆ 白人がトランプを支持する理由

 トランプ大統領は不評だが、半数近い票を獲得した。それはどうしてか?

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 トランプ大統領を批判する人から見れば、トランプ大統領は論外と言えるほどひどい人物なのに、選挙では半数近い票を獲得した。それほどにも多くの支持を得たのは、どうしてか?

 先に、「有色人種や低所得者では、トランプ支持者が増えた」という現象については、「(頭の悪い)エゴイスティックな人々」という言葉で説明した。しかしこれは、あくまで少数の例外的な人々の話だ。トランプ支持の大多数を占める白人の中・高所得者には当てはまらない。
 彼らは決して馬鹿ではないのに、どうしてトランプ大統領という馬鹿丸出しの人物を支持するのか?

 ──

 以上のような疑問は、誰もが持つのだろう。そこで、朝日新聞の特集記事がこれを探っている。
 都市近郊でのトランプ氏からの離反は他州も同様だ。「連日問題を引き起こす大統領の人格に耐えられない」(ミシガン州の50代白人女性)という具合だ。
 だが、ペンシルベニア州でも郊外から地方へと進むと、全く異なる光景が広がる。庭先に残る、支持候補を表明する看板はトランプ、トランプ、トランプ……。同州ベッドフォード郡で運転中に数え始めたが、トランプ氏が100に達した時点で、バイデン氏はゼロ。
 ひときわ大きな看板を立てたアンティーク店主、フォレスト・ルーカスさん(61)は妊娠中絶反対の立場からトランプ氏を支持した。
( → 激戦州の郊外、トランプ氏離れ 米大統領選、勝敗分けたのは:朝日新聞

 この事例では「妊娠中絶反対」が理由らしいが、これは仮面みたいなものだろう。本心は別のところにあるのだが、それを言うのが恥ずかしいので、もっともらしい理由を口に出しているだけだ。では、本心は? 

 それを探るには、次のグラフを見るといい。

daitoryosen.gif
出典:朝日新聞


 トランプ支持とバイデン支持を大きく分ける要素としては、「黒人はバイデン支持」という点が見られるが、それ以外では、大きな差をもたらす要素は多くない。
 居住地の違いは、いくらか差をもたらす。(都市はバイデン支持、田舎はトランプ支持。)

 ただし、政策の関心点との相関性は、かなり高い。

daitoryosen2.gif

 バイデン支持の人々が重視する点。

  ・ コロナウイルスの感染拡大
  ・ 医療制度
  ・ 人種差別
  ・ 気候変動

 トランプ支持の人々が重視する点。

  ・ 経済と雇用
  ・ 法執行機関・警察
  ・ 移民


 前者(コロナや気候変動)を重視するのは当り前だ……と思う人が多いだろう。まあ、まともな知性のある人ならば、その通り。だから高学歴層では前者を重視して、バイデン支持が多くなる。一方、前者を重視しない人(学歴の高くない人)は、トランプ支持が多くなる。前者の話を聞いても、あえて意識の外に放り出して、「見て見ぬフリ」をしたがるわけだ。

 後者(経済や移民)を重視するのは、どういうことか? これは「国家はどうあるべきか」を考えているのではなく、「自分の所得がどうなるか」を考えているのだ。
  ・ 経済(天然ガス生産や鉄鋼業に携わっているので)
  ・ 黒人の BLM 運動が気に食わないので
  ・ 移民が増えると自分の職を奪われるので

 こういう形で、あくまで「自分の利益だけ」を気にする。国全体でコロナが蔓延しようが、世界規模で温暖化が起ころうが、温暖化でカリフォルニアやニューヨークが異常気象に見舞われようが、そんな広範なことは気にしない。あくまで自分のまわりの狭い領域だけを気にする。自分が金を得ればいいのだ。……そういうエゴイズムがある。

 ──

 こうして、トランプ支持者というのがどういうものであるか、おおよそ見当が付くだろう。バイデン支持の人にとっては、「コロナや気候変動を気にしないなんて、頭がどうかしている」と思えそうだし、「嘘をついて汚い言葉を吐くなんて、下品すぎる」と思えそうだ。しかるに、トランプ支持者というのは、そんなことは気にしないのである。世界がどうなろうか、知ったこっちゃない。ただ自分の所得さえ守られれればいいのだ。世界が滅びても、自分だけは滅びないなら、それでいいのだ。
 バイデン支持の人なら、「世界が滅びたら、おまえも滅びるだろ」と思うだろうが、トランプ支持の人は、「世界が滅びても、自分だけは滅びない」「国民がコロナに感染しても、自分だけはコロナに感染しない」()と思いがちなのだ。それがエゴイストというものだ。だから彼らはトランプを支持するのである。
    事例1事例2(自分だけは感染しない)

 そして、その傾向(自己中心主義)は、有色人種や低所得者におけるトランプ支持の場合と、同様である。
  → トランプを支持する底辺層: Open ブログ
 
 要するに、エゴイズムこそが、トランプ支持の核心なのである。白人の中高所得者にとっても、有色人種や低所得者にとっても。

 ※ ただし支持の直接的理由は、いくらか異なる。白人の中高所得者は、金銭的な損得が理由だ。有色人種や低所得者は、(トランプを支持しても金銭的な得は発生しないので)、気分的なエゴイズムだけが理由となる。(上記項目で述べた通り。)



 [ 付記1 ]
 トランプ支持(というより共和党支持)である白人高所得者層の立場は、昔から同じである。
 「所得再配分や福祉充実に反対する。所得税をなるべく低くして、高所得者を優遇するべきだ。自分たちの金が税で吸い上げられて、低所得の有色人種に回すなんて、まっぴらごめんだ」

 ただし、白人の高所得者でも、都市部のインテリだと、「国全体/世界全体」のことを考えるので、コロナや気候変動のことを重視するようになる。だから都市部では、民主党支持が増える。

 [ 付記2 ]
 都市部では「国全体/世界全体」のことを考える人が多いのは、なぜか? たぶん、人口密度が高くて、他人との交流が多いからだろう。一方、田舎では、人口密度が低くて、他人との交流が少ない。見かけるのは近所の知人ばかりであって、見知らぬ他人と出会うことはない。……そういう環境では、「国全体/世界全体」のことを考えることも少ない。



 【 関連項目 】

 → トランプと菅が支持される理由: Open ブログ

 トランプと菅が支持される理由は、人々が《 判断停止 》になるからだ。そのわけは、人々が自己の利益を重視するからだ。……という話。
 本項の話と部分的に合致する。
 白人の中高所得者が、コロナや気候変動を無視するのは、それらの点について人々が《 判断停止 》になるからだ。そのわけは、彼らが自己の利益を重視するからだ。……というふうに考えられる。

posted by 管理人 at 23:15| Comment(1) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by 管理人 at 2020年11月16日 22:15
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