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中国は、香港議会から民主派議員4人を排除すると決めた。
中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の常務委員会は11日、香港の立法会(議会)議員の資格を?奪(はくだつ)する権限を香港政府に与えることを決定した。これを受けて香港政府は即日、民主派議員4人の資格を取り消すと宣告した。
立法会議員は今後、資格要件として対中姿勢が問われるようになり、香港の一国二制度や民主主義がさらに形骸化しそうだ。
( → 香港政府、民主派議員4人の資格抹消 中国が権限与える:朝日新聞 )
6月末に香港国家安全維持法(国安法)が施行されて以降、香港では、一国二制度の下で機能していた「三権分立」の後退が加速している。
学校の教科書から三権分立の表記が削除されたほか、林鄭氏は9月、「香港にはもともと三権分立は存在しなかった」と公式に表明。香港は中国政府の指導を受けた行政が主導する政治体制だと言い切った。
国安法の下では三権分立のもう一つの柱である司法の独立の形骸化も懸念されており、中国返還後も香港で守られてきた独自の政治システムは大きく変質しようとしている。
( → 「一国二制度が完全に消えた」 民主派排除に強硬な一手:朝日新聞 )
「民主主義の死」と言ってもいい。これまでは「一国二制度」のもとで維持されていた民主主義は、中国政府に殺されて、「一国一制度」の体制に変質しつつあるようだ。
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これを見て、「中国はひどい」と思う人が多いだろうが、よく考えれば、日本だって似たようなものだ。
・ 菅首相の独裁体制が進む。
・ 菅首相に逆らった6人は排除される。
・ 「三権分立」ならぬ「学問の独立」が守られなくなる。
非常によく似ていると言えるだろう。
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ただし、香港と日本とでは、決定的に異なる点がある。
・ 香港の住民は、中国政府の独裁を拒否して、民主主義を支持する。
・ 日本の国民は、菅首相の独裁を支持して、「学問の独立」を批判する。
日本というのは世界でも珍しく、独裁者を支持する国民が多い国なのである。
[ 付記 ]
菅首相を支持する人々は、中国政府を支持してしかるべきだ。菅首相が学術会議を弾圧するのも、中国政府が香港を弾圧するのも、どちらも同じ原理によるのだから、前者を支持するなら、後者を支持してしかるべきだ。
特に、橋下徹は、それに該当する。彼の主張は下記で紹介した。
→ トランプと菅が支持される理由: Open ブログ
その主張の論旨は、こうだ。
「首相には公務員に対する人事権があるから、任命拒否をできる」
これと同様の理屈で、中国の香港弾圧を正当化できる。
「中国には香港に対する主権があるから、香港議員の資格を剥奪できる」
中国が何をしようが、主権の範囲内であるから、すべては合法的だ。これに文句を言うやつは内政干渉だ。だから香港弾圧は正当だ……という理屈。
まあ、独裁者を支持する人の理屈というのは、こういうものだ。ゆえに、橋下徹は、菅首相の学術会議弾圧を支持するのと同じ理屈で、中国の香港弾圧を支持するべきだ。それが道理というものだ。
そして、彼がそういうふうに要求されたとき、「中国の香港弾圧を支持します/支持しません」のいずれで答えるにしても、彼の理屈のデタラメさは暴露されるのである。
( ※ 中国を支持しなければ、論理が破綻する。中国を支持すれば、政治的な正当さが破綻する。)
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