2020年11月11日

◆ トランプを支持する底辺層

 有色人種や低所得者では、トランプ支持者が増えた。一見矛盾するようだが、どうしてか?

 ──

 有色人種や低所得者(本項ではひとくくりにして「底辺層」と呼ぶ)は、トランプ政権では冷遇されてきたのだが、どういうわけか、彼らの間ではトランプ支持率が増えてきた。ニューヨーク・タイムズがこの問題を扱っていると、下記記事が紹介している。
  → ニューヨーク・タイムズを読めば、弱者のトランプ支持の話もアイデンティティ・ポリティクスの限界論も載ってるよ

 この記事では、「トランプがマイノリティの支持を伸ばしたのも過激派左派の失態」のおかげだ、というふうに分析している。
 この記事は過激派左派のことを「Wokeism」と呼び、(Qアノン的な)トランピストと並んで善悪二元論、聖戦思想、魔女裁判的文化(キャンセルカルチャー)を特徴とするカルトだと批判している

 とのことだ。つまり、「すべては民主党内の極左が悪い」という論調だ。しかし、そうか? 

 ──

 私はとうてい支持できない。そのくらいのことで、底辺層がトランプ支持に流れるはずがない。
 まず、ヒラリーも、バイデンも、党内では穏健派だ。極左のバーニー・サンダースは大統領候補になれなかったので、関係ない。「極左嫌い」は、穏健派を否定する理由にならない。
 また、そもそも理屈からして、上の説は成立しない。「極左が嫌いだから」という理由であれば、トランプ時代以前から共和党支持が増えていたはずだ。ところが実際には、特にトランプ時代になって、底辺層で右翼が急に増えた。これには「極左嫌い」とは別に、トランプ時代に特有の理由があったはずだ。

 ──

 では、トランプ時代に特有の理由とは何か? 
 そのヒントは、一つある。「これは理屈ではない」ということだ。理屈で言うなら、底辺層はトランプ時代に冷遇されていたのだから、トランプを支持するのは自殺行為であって、馬鹿げている。
 にもかかわらず、トランプ支持者は、「自分たちは得をする」と錯覚しながらトランプを支持するのだ。
 これは、日本の労働者が自民党を支持するのと同様だ。労働者は自民党政治では冷遇されているのだから、自民党不支持になっていいはずだが、なぜか「自分たちは優遇されている」と錯覚して、自民党を支持する人が大多数となる。
 特に、頭の悪い底辺層ほど、そういう錯覚に陥る。

 ──

 ここまで考えて、私としては次の推定を出す。(仮説ふう)
 トランプ大統領は、極端にエゴイスティックな主張をする。「米国第1」とか、「国際協調をしない」とか、「中国と対決する」とか、「メキシコやカナダや日本との貿易関係では相手に譲歩させる」とか、「諸外国に軍事負担を求める」とか。以上は外交面だが、国内でも同様だ。「環境改善をサボって産業を振興する」とか、「コロナ対策をサボって営業日数を増やす」とか、「移民を冷遇して国民を優遇する」とか。……とにかく、何でもかんでもエゴイスティックな主張をする。「自分さえ得をすればいい。他人には損をさせる」というふうに。……そして、そういうエゴイスティックな言動が、耳に心地よく聞こえるのだ。特に、(頭の悪い)エゴイスティックな人々にとっては。

 このことは、日本でも成立する。ネトウヨの集まるサイトのコメントを見ると、(頭の悪い)エゴイスティックな人々が集まっていて、彼らはエゴイスティックな主張を見出すと、大喜びする。「日本第1だ。中国や韓国を懲らしめる」というような主張に大いに賛同する。また、「女性や社会的少数派を冷遇して、男を優遇する」というような主張を見出すと、大喜びする。あろうことか、トランプ大統領が米国で黒人差別や少数派差別の発言をするのを見ても、(日本人には関係がないのに)ネトウヨの人々は大喜びする。太平洋を越えてトランプに賛同するわけだ。
 どうしてそういうふうになるのか? それは、ネトウヨの人々にとって、エゴイスティックな主張が耳に心地よいからである。愚かな人々ほど、「おれは正しい」「おれこそが正義だ」という主張に陶酔する。だからこそ、独裁者のようにうるまう菅首相を見ると、独裁者を批判するどころか、自分たちのエゴイズムが代理で満たされるように感じて、喜ぶのである。

 ──

 「自分さえ良ければいい」
 「自分の利益のためであれば他人に迷惑をかけてもいい」
 こういうふうに思う人は、エゴイスティックだ。そういう人々は、社会では嫌われるものだが、どういうわけか、多くの人がそういう面を強く備えている。そして、頭の悪い低所得者だと、そういう面が剥き出しで露出する。
 かくて、彼らは熱狂的に声を上げて、トランプ支持を叫ぶのである。いわば、意味を理解できない歌を歌い上げるように。



 【 関連項目 】

 → トランプの何が悪いのか?: Open ブログ
  ※ 嘘をつくのが悪い、という趣旨。だまされるな、と警告する。

 → トランプと菅が支持される理由: Open ブログ
  ※ 悪に対しては《 判断停止 》が起こる。その理由は損得のエゴイズム。
 
posted by 管理人 at 23:35| Comment(20) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
gotoキャンペーンが流行るのも、エゴイスティックな日本人が多いからなのでしょうね。

国全体で1兆円以上損しようと、多忙を極める医療従事者などはgotoキャンペーンを使えないとしても、自分さえ得すればそれで良いという、自己中で欲深い日本人が多いことにガッカリしております。。。
Posted by 反財務省 at 2020年11月12日 00:45
株をやっている労働者でも運用額がそれなりに
なれば、自民党を応援するのでは?

ソースは自分。
Posted by 売電 at 2020年11月12日 05:38
 株をやって生活費を得るとしたら、利回り3%だとして、2億円で 600万円になる。
 2億円を運用しているなら、とりあえずは資本家を名乗れる。2億円未満なら、自分を資本家と錯覚しているだけだ、となる。
 年収 600万円では贅沢はできないから、3億円がほしいところ。しかし3億円というと、3億円事件の額だ。なかなか到達しそうにない。到達したら、資本家を名乗れそうだし、自民党を支持してもおかしくない。
 3000万円ぐらいの運用で自民党を支持しているとしたら、ただの錯覚のせい。
Posted by 管理人 at 2020年11月12日 07:06
管理人はここで言う底辺層だけがエゴイスティックな動機で投票行動を起こしていて、他人の迷惑を省みない悪のように書いているが、はっきり言ってそんなのは全人類共通だ。

民主党支持のリベラルだけは公共の利益を考えて投票してるとでも言うつもりか?チャンチャラおかしい。ゲーテッドコミュニティに逃げ込んで、自分達だけは安全に幸福に暮らせる権利を追及出来るべしと考えているようなものたちなど、エゴイスト以外の何者でもない。

こんなのはただの階級闘争であって、今回数の上で勝ったのリベラルだったと言うだけの話だ。保守層の行動のみを切り取って悪し様に罵る謂われなど無い。
Posted by 狩野 生慧 at 2020年11月12日 11:37
 いやいや、両者は行動指針が全然違いますよ。

  ・ 地球温暖化に、どう対処するか? (国際協調か否か)
  ・ コロナ対策に、マスクをするか? (他人への感染防止か、自分の都合か)
  ・ TPP で自由貿易推進か? (自分だけ保護貿易にするか)

 いずれを見ても、「協調か、エゴか」という正反対の方針となります。「どっちも同じ」ではない。
 
Posted by 管理人 at 2020年11月12日 11:59
あまり何度もコメントを連投するのは差し控えたいが、1点。

管理人がおっしゃっている違いは、「他人」とする範囲の違いだけであると思う。リベラルにとっては、同国の治安の悪い地域で暮らす底辺層は「他人」だから協調外、他国で暮らす裕福なリベラルは価値観を共有する「同士」だから協調する。
したがって、全世界的に影響のある地球温暖化には協調して取り組むが、近接地域に住まう底辺層は見下して救わない。
(直接支援どころか、自分が払った税金が使われるのすら嫌で、ゲーテッドコミュニティに集まり自分達のためだけに生きていく)

底辺層は生活保守としてその逆の行動方針をとっているだけ。
自分の身可愛さのエゴイスティックな行動であることに代わりはない。

管理人が裕福なリベラルかどうかは別として、ダウンタウンの住民とは生きる世界が違うから共感できないだけの話でしょう。
Posted by 狩野 生慧 at 2020年11月12日 12:13
基本反メディアの人が多いんですよ。
メディアがトランプを叩いてそれに対して反抗するさまが心地いいのでしょうね。
底辺層は戦うさまが気持ちいいのでしょう。
Posted by 山瀬 at 2020年11月12日 12:36
マスクは?TPPは?といわれたら困るんで、一応それも一緒だと言うことを書いておく。

蔓延する銃、麻薬、犯罪でゴロゴロ人が死んでいく底辺層の住人からしたら、それらをほったらかした状態で、殊更コロナだけを警戒してマスクを強制されるなんてバカバカしい以外の何者でもない。
そもそも一番被害を被ってるのは衛生状態の悪い底辺層。そこから移してくれるなとばかりにマスクを強制するのは、リベラルのエゴに見えてもなにもおかしくない。

TPPもそう。国際貿易は資本家には他国の人材を安く使って儲けを得られるが、住む場所を移動できないローカルな労働者からは仕事をとられるだけに見える話で、賛成する理由がない。

こんなのは私が言うまでもなく多くの識者も言っている話。善悪ではなく、見えている世界が違えば結論が異なるというだけの話で、みんな自分達の利益しか考えていない。
Posted by 狩野 生慧 at 2020年11月12日 12:39
 リベラルはたいていが弱者重視で、福祉向上によって底辺層を救おうとしています。
 保守はたいていが強者重視で、弱者への福祉を減らして減税しろと言っています。

 弱者にとってどっちが得かは明らかだが、なぜか自分にとって損になる方を選びたがる弱者が多い。それが本項のテーマ。
Posted by 管理人 at 2020年11月12日 13:30
なお、管理人はネトウヨという攻撃的な言葉を使って、日本もアメリカと同様に無知蒙昧な輩が現政権を支持しているかのような印象づけを行っているが、日本とアメリカでは全く状況が異なる。

日本はアメリカに比べればまだしも分断が緩やかであり、政治の舞台が階級闘争の場にまで至っていない。
自民党はそもそもが雑多な勢力の集合体であり、保守層にいい顔をしつつ、国際的にはリベラルな政策も多々採用している。この点は安部政権退陣時の海外メディアの論評も参考。

日本で自民党の対抗勢力が現時点であまり支持されていない理由はただ一つ。民主党政権時の「よくも騙したな」という恨みのみ。
物事を変えると言うのはエネルギーが掛かるもので、日本における憲政史上初の選挙による政権交代は、自民党への失望と野党への多大な期待を基に地滑り的に発生したもの。
その結果が、リーマンショックや震災の逆風があったと言えどもあの体たらくでは、「口だけ」、「裏切り」、「嘘つき」の印象となり、何も変わらないなら自民党「で」いいや、との国民意識が醸成された。

これはつい最近のことで管理人も知らぬはずはないだろうに、あたかも極右勢力のみが自民党を支持しているかのような言説はいかがなものか。
Posted by 狩野 生慧 at 2020年11月12日 13:40
質問です

『いやいや、両者は行動指針が全然違いますよ。
・ 地球温暖化に、どう対処するか? (国際協調か否か)
・ コロナ対策に、マスクをするか? (他人への感染防止か、自分の都合か)
・ TPP で自由貿易推進か? (自分だけ保護貿易にするか)
 いずれを見ても、「協調か、エゴか」という正反対の方針となります。「どっちも同じ」ではない。』

↑はアメリカのリベラルとエゴイストを対比していると思います
この指摘は私は正しいと思います

「トランプ大統領は、極端にエゴイスティックな主張をする。」
「そういうエゴイスティックな言動が、耳に心地よく聞こえるのだ。(頭の悪い)エゴイスティックな人々にとっては。」
「このことは、日本でも成立する。」
「ネトウヨの人々にとって、エゴイスティックな主張が耳に心地よいからである。愚かな人々ほど、「おれは正しい」「おれこそが正義だ」という主張に陶酔する。」

---

アメリカの対比を日本のリベラルとネトウヨorエゴイストの関係にそのまま適用してよいのでしょうか。
日本のリベラル(と称される人)は管理人さんが仰る
「自分さえ良ければいい」「エゴイスティックな主張をする」「他者を尊重しない」人が相当数多いと言えます。

ネトウヨとの違いは何かというと、単純に人数の多い少ないの問題だけでしょう。
(自民党の支持率は高く、立憲民主党や共産党の支持率は低い。)
アメリカのリベラルとエゴイストの対比はわかりましたがそれを日本にもそのまま適用していいのでしょうか?
Posted by A at 2020年11月12日 13:41
もう何周遅れの議論かわからないが、アメリカのラストベルトのトランプ支持白人層は、福祉で救ってほしいと思っていない、一人の労働者として尊厳をもって扱われたいだけ。

意識が違うのに、民主党のほうが得ですよと言われても、バカにするなと返ってくるだけでしょう。
知った風にかいせつしようとするからおかしくなる
Posted by 狩野 生慧 at 2020年11月12日 13:54
>ラストベルト

今回の選挙では、トランプ大統領を見限ったようですね。
https://president.jp/articles/-/40369?page=2
Posted by 反財務省 at 2020年11月12日 15:30
記事にははっきり、「コロナまでは善戦していた、コロナですべてが台無しになった」ことが書いてありますけど。

4年間通してトランプ、もとい共和党がラストベルトを蔑ろにし続けたことで、今回の選挙ではそっぽを向かれて負けたのだ、と言わんばかりの印象操作はどうかと思いますよ。

同じ状況で民主党、もといリベラルなら適切に対処できて、ラストベルトの支持も取り付けることができていたはず、と思われるんでしょうか?
こんなものは運ですよ。陰謀論者なら、トランプを負けさせるために中国が意図的に撒いたとすら言うかもしれませんね。
Posted by 狩野 生慧 at 2020年11月12日 15:59
>4年間通してトランプ、もとい共和党がラストベルトを蔑ろにし続けたことで、今回の選挙ではそっぽを向かれて負けたのだ、と言わんばかりの印象操作


そんなこと私はひと言も言ってない。あなたの思い込み。
Posted by 反財務省 at 2020年11月12日 16:01
> ラストベルトのトランプ支持白人層

 本項の対象外です。本項の対象は、冒頭1行に書いてある通り。お間違えなく。
Posted by 管理人 at 2020年11月12日 16:40
>反財務省
あなたのスタンスは知りませんが、そういう態度が所謂西洋リベラルの狡いところですよ 。

話の流れからそのように読者が読み取るであろうことを期待しながら、肝心なことは言い切らないことで、いざ指摘されると「そんなことは言っていない」としらを切る。

「見限った」の表現には失政をやゆする意図を読み取れこそすれ、まさかコロナ禍に遭遇したことでそれまでの舵取りを吹き飛ばされた運の悪い男、と言うような言明には見えません。

もちろん私もトランプが全くそうだ、とは思っていません。ただ誰がやっても経済苦による逆ブレはおきたでしょうけど。
Posted by 狩野 生慧 at 2020年11月12日 17:18
>管理人
あなたの言う本稿の対象に対する見解をまとめると
「トランプは紛うことなき悪であり、それによって不利益を被るはずの弱者がその悪を支持するのは理解しがたい。おそらく彼らはバカで自分勝手だから、騙されて判断を間違えているんだろう」

と言うことでいいですか。

私から言えるのは、リベラルがそのように考えている限り第2第3のトランプはいずれ現れるだろう、と言うこと。

まあ、西洋リベラルからしてもそのような見解はかなり遅れたものでしょうが。(すでに西洋リベラルも自省フェーズに入っている、と言うのがショーンKY殿の記事の論旨)
Posted by 狩野 生慧 at 2020年11月12日 17:38
> トランプは紛うことなき悪であり

 そんなことは本項のどこにも書いてないのに、勝手に捏造するのはおかしいでしょう。

 悪いのは、トランプよりも、トランプを信じる人。どこが悪いかというと、(本項に書いてある通り)頭が悪い。

 ──

 トランプの悪いところは、政治的方針とは別のところにあります。別項で示した通り。
  → http://openblog.seesaa.net/article/478336959.html

 人の話をきちんと読まない人は、政治方針が悪いのではなく、頭が悪い。
Posted by 管理人 at 2020年11月12日 20:06

 思えば2012年11月24日…野田解散から1週間後。

 虎の子の200万円を握りしめて某証券会社に
口座を作りに行ったのはもう8年前です。

 あれから8年。資産は20倍の4000万円に
なりました(持ち株会、確定拠出600万分除く)。

 これは決して自分の実力100%ではなく、
8割くらいはアベノミクスのおかげと思っています。

 因みに4000万の内、平均9割程度が運用中
ですが、去年の配当利回り合計は54万円でした。
少なすぎですね^^;。
Posted by 売電 at 2020年11月13日 21:17
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