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この盛り土工事費用が巨額で無駄になる、ということは前に何度か指摘してきた。当初は 4000万円と見なされた。
陸前高田という地域が問題だ。ここでは、大幅な盛り土をしようとしている。それも不必要なほどに。高さが 10メートル程度の盛り土。使う土の量は東京ドーム九つ分。まるでピラミッドでも作ろうかというほどの大工事だ。
それにかかる金額は超巨額。高田地区は 650億円で、1戸あたり 4000万円。
( → 陸前高田の盛り土: Open ブログ )
東日本大震災で津波被害を受けた3県沿岸の12市町が、浸水した市街地に土を盛ってかさ上げし、現地再建する計画を立てていることがわかった。
事業費は約 3000億円で、国が全額負担。
( → 史上最大の愚行(被災地): Open ブログ )
しかも、せっかく作った土地には、入居者が少なくて、大半の土地は空地になる。
せっかく盛り土しても、使われるのなら、まだいい。しかし現実には、大半が使われずに、空地になっているそうだ。
たとえば、岩手県大槌町だ。
510区画のうち建物が立つのは、半数以下の244区画にとどまった。
陸前高田では、もっとひどい。3分の2ほどが空地となる。
( → 数千億円の盛り土が無駄に: Open ブログ )
以上は、これまでに指摘した話だ。
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このたび、朝日新聞で新たな報道が出たので、紹介する。
東日本大震災では……高台に防災集団移転をして新たに家を建てる人には、ローンの利子に最大約730万円を補給し、引っ越し代にも最大約100万円の補助が行われた。
まちづくりにも多額の税金が投じられた。地面をかさ上げしたり、山を削って高台に宅地を造ったりする工事に、岩手や宮城、福島を中心に被災地全体で約1兆円が使われた。単純計算で1区画あたりの造成費用は約5800万円に膨らんだ。
( → 震災で残った借金1500万円 二重ローン覚悟、公助は:朝日新聞 )
つまり、こうだ。
・ 高台の土地の造成費は(4000万円から)5800万円に膨らんだ。
・ 別途、利子補給 730万円と、引っ越し代 100万円の補助。
・ 以上を合計して、6630万円。
何と 6630万円。これほどにも高額の金を1世帯に投入するわけだ。べらぼうな額だと言える。
では、その額をもらった世帯は、左うちわか? 極楽気分で安穏と暮らしているか? 逆である。借金地獄になるそうだ。同じ記事にはこうある。
震災で残った借金1500万円(があった)。
義援金の残りや被災者生活再建支援金などの手持ち資金も使い、元のローンを350万円まで圧縮。2160万円分の新規ローンを組めることになった。新しい家の建築費は約2400万円。
長沼さんが以前のローンの圧縮や自宅再建に直接使った公的補助は、防災集団移転事業の補助金や市の独自補助などを加えると、ざっと600万円になった。
とはいえ、新旧のローンを合わせた当初の返済額は月13万6千円。これに災害援護資金の償還分3万円と、市からの借地料8千円が加わる。額は減ってゆくものの、返済は80歳まで続く。
土地は定額で購入できるらしいが、家の建設費用がかかる。従来のローン(流された家の分)と、新たなローン(新規建設の分)で、2500万円もの借金が残る。公的補助を 600万円もらっても足りない。返済は80歳まで続く。(もちろん自力では返済不能。息子に払ってもらうしかない。子孫に美田でなく借金を残す。)
こんな馬鹿げたことをするくらいなら、最初から1世帯 6630万円を現金で払う方がずっとマシだ。土地の3分の2が空地のままだということまで考えると、入居者1世帯当たりだと3倍のコストがかかっている計算になるので、1世帯あたり2億円を払っても、同等となる。
つまり、1世帯あたり2億円を払うのと同じコストが、この盛り土造成工事にかかっているわけだ。それほどの巨額のコストを投入しながら、肝心の被災者にとっては「借金地獄」の状況しかもたらされない。壮大な無駄。
では、1世帯あたり2億円の金はどこに消えたのか? もちろん、盛り土工事の土木業者である。
ここではケインズ流の「穴を掘って埋める」というのと同様の、「何の効果もない無駄工事」をしたわけだ。「穴を掘って埋める」かわりに、「穴を掘って、土を盛り上げる」という工事をしたわけだ。
経済学におけるジョークみたいな話を、真に受けて実施したというわけ。壮大な無駄。それが、兆円規模で実施されたわけだ。
支払うのは国民。
利益を得たのは土木業者。 その金が献金で自民党へ。
自民党を支持するのは、国民。
肉屋を支持する豚。

一番大切な半年の間、くだらない復興計画の委員会を続けて、不動産の権利関係を根本的に調整する特別立法をしなかったのが失敗の根本原因です。
マスゴミが、被災者に「早く元の暮らしに戻りたいですか」と聞けば、「早く戻りたい」と言うだけです。完全なミスリードで、バカな政策が連発されました。
神戸震災に学べというバカなキャンペーンも酷かった。
神戸震災では、がれき撤去すれば、住宅再建ができますが、津波被災では、がれき撤去しても再生できません。
ですから、がれき撤去の優先順位は極端に低かったのに、最優先で撤去しました。実に馬鹿げた政策でした。
『仮設住宅を作るな、最初から復興集合住宅を作れ』と言うのが、私の見解です。
昔と違って、設計を標準化していれば集合住宅は、すぐに完成しますから。