2020年10月14日

◆ オークション理論(ノーベル経済学賞2020年)

 ノーベル経済学賞(2020年)を授与された2氏は、オークション理論を研究した。ではこれは、どんなものか? 

 ──

 初心者向けに簡単に紹介しよう。

 基本的なオークション


 基本的なオークションは、次の二つ。
イングリッシュ・オークション (English auction)
 通常のオークションである。入札する買い手側が価格を釣り上げながら、最終的に最も高い価格を提示した買い手に販売(落札)される方式である。

ダッチ・オークション (Dutch auction)
 通常のオークションとは逆に、価格が順番に下がっていく。売り手が設定する最高価格から順番に価格を下げていき、買い手は適当なところで入札し、その時点の価格で落札が行われる。取引のスピードが高速化できるので、様々な市場で採用されている。また、バナナの叩き売りもこの一種である。
( → 競売 - Wikipedia


 ヴィックリー・オークション


 普通のオークションには、「ライバルがどのくらいの価格を提示するか」を予想して自分の価格を決める。そこには賭けのような要素があって、配分が最適化されないことがある。これを解決するために、修正案が出た。結構、頭のいい方法だ。
 これは、「セカンドプライス・オークション (Second-price auction)」とも呼ばれるもので、次のようなものだ。
 最終的に最も高い価格を入札した買い手に販売されるが、支払額は2番目に最も高い価格(競合者の最高提示価格。競合者がない場合には売り手側の提示した最低金額)に設定される。
 ゲーム理論の議論を用いれば、いくつかの仮定のもとでは、均衡において全員が自分の評価額をそのまま入札することが証明できる。
 ファーストプライスオークション方式では、例えば潜在的第一位は10万円まで払っても良いと思っているが、潜在的第二位が6万円を提示するであろうとの予見を持った場合、7万円を提示する可能性がある。この時第二位の限界が実際には8万円だった場合、もっとも高額に評価する第一位のものではなく第二位のものに商品がわたってしまう。
 セカンドプライス方式はこの類の駆け引きの多くを無効化出来る。参加者の側から見れば自分が10万円まで支払う意志があり、それが最大の評価額であれば確実に二位に勝ち、かつ(ファーストプライス式であった場合)二位に勝てるギリギリまで節約可能であり、一方開催者側の受け取る便益は何ら変わらない。
( → 競売 - Wikipedia

 ヴィックリー・オークションまたは2位価格封印入札は、封印入札で入札価格1位の入札者が入札価格2位の価格を支払って落札するという方式の競売である。ウィリアム・ヴィックリーが考案した。入札価格一位が入札価格一位の価格を支払う方式と比べて、参加者各自が思う真の価値で入札する動機づけが強いとされる。

《 原理 》
 競売の対象である商品に対して、入札者はそれぞれの考えで異なる価値を感じる。その商品に v という金額の価値があると思っているある入札者(購入希望者)に注目すると、その入札者にとって最適な入札価格は次のように決まる。
 他者の入札価格のうちの最高額が M だったとする。以下のように場合分けして考える。

  v > M の場合、この入札者は正直に自分の思う価値を入札価格として表明すれば、それが1位価格となり、2位価格 M で落札することができる。その場合、価値 v があるものを価格 M で入手することができるので、差引 v - M の得をする。M より高い範囲で v 以外の入札額にしても結果は同じであり、得や損はない。
  v ≦ M の場合、落札しないように、M を下回る入札価格を表明することが最適な戦略である。そのために v を入札価格とすることができる。もし M を越える価格で入札すれば、落札することはできるが支払う金額が v より高いため、損をしてしまう。M より低い範囲で v 以外の入札額にしても結果は同じであり、得や損はない。


 このように、ヴィックリー・オークションでは v > M と v ≦ M のいずれの場合も(つまり、いつでも)正直な入札が最適となり、不正直な入札を行うインセンティブがない。
( → ヴィックリー・オークション - Wikipedia


 組み合わせオークション


 以上のオークションは、一つの商品を一つの買い手に売るだけだった。その意味では話は単純だった。
 一方、複数の商品を複数の買い手に売ることもある。たとえば、電波オークションでは、複数の電波を複数の事業者に売る。
 この場合、どういう組み合わせで売れば最適になるかは、非常に複雑になる。ゲーム理論を応用して、複雑な数式で計算して、非常に面倒な計算をするようになる。(コンピュータによる計算も必要だ。)
 高度な数学が必要になるので、ここではいちいち数式を示したりはしない。とにかく「複雑な組み合わせを、高度な数学で計算する」とだけ理解しておけばいい。
 
 より詳しい話は、下記の説明を見るといい。
  → 米国「周波数オークション」仕掛け人が明かす改革の舞台裏:日経ビジネス
  → ノーベル経済学賞はオークション理論分野に。電波オークションに複数財・組み合わせオークションを導入。(竹内幹)
 


 【 関連項目 】
 似た話で、「マッチング理論」というのもある。それについては、別項で解説した。
  → 2012年ノーベル経済学賞:マッチング理論: Open ブログ

 「マッチング理論」と「オークション理論」は、共通点がある。複数の買い手と売り手がいる、ということだ。その意味で、経済学の一分野となる。ともに数学的に面倒な操作をするので、その点でも共通する。

posted by 管理人 at 20:52| Comment(0) | 科学トピック | 更新情報をチェックする
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