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刃物の謎ということで、次の話題がある。
→ 一体なぜ鋭くて硬いはずのカミソリの刃がヒゲを剃っただけで鈍ってしまうのか? - GIGAZINE
確かに不思議だ。固い刃物がただのヒゲに負けてしまうのは謎である。
そこで上の文書を読んでみると、「ヒゲがぶつかった箇所で、小さな刃こぼれが起こっている」とわかる。
なるほど。刃こぼれが起こるのは、金属が脆(もろ)いからだ。そして、脆さは硬さと抱き合わせである。硬いからこそ、脆いのだ。
では、刃こぼれが起こらないようにするには、どうすればいいか? そのコツを教えよう。
「刃物をスライドさせながら切る」
斧で断ち割るように切るのではなく、のこぎりで挽(ひ)くように切る。こうすれば、よく切れるだけでなく、刃こぼれが起こりにくい。
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「刃物をスライドさせながら切る」
というのは、刃物を使うときの一般的なコツである。料理にも適用できる。
以前、「武士の献立」という映画がテレビで放送された。(Amazon Prime ビデオにもある。)
ここで、料理番となる武士である夫と妻が料理対決をする。どちらが包丁を上手に使えるか。刺身で対決。やってみると、夫の方は刺身がまずくて、妻の方は刺身がうまい。その違いは、包丁の使い方にあった。妻の方は包丁をスライドさせながら切るので、刺身がきれいに切れる。夫の方はスライドさせないので、刺身がきれいに切れない。切口がざらざらになるので、刺身の細胞が破れてしまって、おいしい味にならない。
「包丁は押すようにして切る」
というのがコツなのである。
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とはいえ、包丁が切れるためには、刃先がまるまっていてはまずい。ときどき包丁を研ぐ必要がある。しかし、包丁を研ぐのは面倒臭そうだ。もっと簡単にやる方法はないか?
通常、思いつくのは、シャープナーだが、「シャープナーを使うと、高級な包丁が台無しになる」という話を聞くこともあって、不安だ。やる気になれない。
するとテレビで、うまい方法を教えていた。こうだ。
「新聞紙でこするといい。新聞紙のインクは硬い粒が入っているので、新聞紙を砥石のかわりにして、何度か研ぐと、切れ味が回復する」
なるほど。うまい案だ。半信半疑でやってみたら、なかなか効果がある。新聞紙を次々と替えながら、ちょっとこすっては次の新聞紙で、……という感じでやってみると、切れ味が回復した。
とはいえ、これでもつのは、1週間程度だ。1週間たったら、切れ味がなまるので、また新聞紙で研ぐ必要がある。1回に5分間ぐらいで済むが、毎週5分間というのは、ちょっと面倒だ。
もっといい方法はないか?
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家には砥石があるので、とりあえずそれで研いでみた。何だか面倒臭そうな感じがしたが、研いでいるのは、無心で研いでいればいいので、別に気疲れはしない。新聞紙で研ぐときには、次々と新聞紙を取り替えるのに気を遣ったが、砥石で研ぐときには、何も考えずに無心で研ぐだけでいい。(片面ずつ、交替で。)
するといつのまにか、数分間がたつ。そして砥石の上には、灰色の汁みたいなものができている。何だこれは? もちろん、刃物がこすりとられてできた、刃物の微粉末だろう。
おやおや。ちょっとやっただけなのに、いつのまにか刃物がちゃんと研げてしまったようだ。もうできたのかな?
とりあえず、紙などを切ると、とても良く切れる。その後、野菜などを切ってみたが、とても良く切れる。新品同様だ。
その後、2週間ぐらいたったが、切れ味はずっと良いままだ。新聞紙でやったときとは違って、切れ味の良さが長く続く。効果は抜群だ。
結論。
砥石で研ぐのは、面倒臭そうに見えるが、実は、ちっとも面倒ではない。それで長持ちするのだから、新聞紙でやるよりも手間は少なくて済む。
実際、砥石で面倒だったのは、砥石を箱から出し入れするところだけだ。手で研いでいる間は、何も頭を使わないので、ちっとも疲れない。食器洗いなんかよりもずっと楽だ。単に刃物を前後に動かすだけである。(エッチするのと同じようなものだ。) 快感すらある。
というわけで、「面倒臭そうだが、実はとても簡単だ」というのが、砥石で研ぐことだ。やっているそばから見ると面倒臭そうだが、実際にやってみれば実に簡単だ、とわかる。それで効果抜群なのだから、お薦めだ。
※ 外の研ぎ屋さんにもっていって、それを受け取ることの方が、はるかに面倒である。
砥石はかなり安く買える。
→ Amazon 砥石
包丁の研ぎ方は、下記に解説がある。(最後にバリを取るのが大事。バリは、新聞紙で取れる。)
→ 包丁の研ぎ方・決定版!プロが教える失敗しない基本とコツ
→ 包丁の研ぎ方|貝印包丁サイト
他の器具で、シャープナーなどもある。
→ 包丁の研ぎ方|貝印包丁サイト
【 追記 】
Amazon の包丁。
→ https://amzn.to/34PsG6q
※ 13、14日は、プライムデーの安売りセールをしている。
研ぎは俗説が多い まず新聞紙のインクに研磨効果はなし
インクのない部分と比較すれば分かる
下手が人が研ぐと刃を必要以上に減らすが、原理的には刃は減らさず研ぐことは可能
鉛筆削りで説明すると、芯の先端部を残して周囲を削ると鋭利になる
しかし全長は変わらない 包丁も理屈は同じ
刃のカエリ(裏側に生じるバリ状のこと)を確認して
反転させ、何度か繰り返す その段階で削りすぎなのだが、これが定石になっている
理想の刃はミクロ(0.3μ程度のピッチ)の波刃である
これが研ぎで形成できないので、疑似的に敢えて粗い砥石で作ることがある
バイオミメティクス的には鮫の歯の周囲のギザギザが理想型で肉をよく断つ
鏡面で鋭角なら切れるかと言うとそうでもない 野菜や肉の細胞膜を
ひっかくイメージが理想の刃付けになる
詳説すると一冊の本になるので、簡易に研ぐなら#1000程度の砥石ひとつで充分
耐水研磨紙の#800と#2000でドライでもよい
研ぎ上りを確認するにはストローに斜めに刃を入れてみる
滑るようなら及第点 紙は方向性があり、イカサマ研ぎ師は切れやすい方向で糊塗する
ついでに言うとハサミの研ぎの確認はポリエチレンフィルム30μを切ると分かる
紙や髪は及第点でも切れるので誤魔化せる マスコミに出る自称研ぎ師は勉強不足が多い
この記事自体が間違っている 実は刃の摩耗がなぜ進行するかは、あまり分かっていない
記事の倍率が低すぎてお話にならない 化学的な浸食摩耗もある
ダイヤモンドですら相手が軟らかくても摩耗するので、分子レベルの解析は簡単ではない
ミクロレベルの「欠け」と「摩滅」は分けて考えるべきだが、同時進行するので難解
カミソリの刃先の半径はSEM画像から解析したところ約10ナノメートルである
(断面資料を作成できないので外観から求めるのが妥当)
よく研ぎ上げた包丁で約1〜0.5μ(1000〜500ナノメートル)
可視光線の分解能から0.2μ程度が光学顕微鏡の観察限界で、いくら刃先を顕微鏡で
観ても刃先は観察できない 分かるようならヘボ研ぎの証拠
誰かがカミソリの刃先半径は1μとウソ情報をネットに上げたので指摘したことがある
簡単に究極の刃を体験するには、ガラスを適当に割って刃物状になったのを探し
指の皮膚の表面をスライスする 原理上分子レベルの鋭利な刃先になっている
(だから黒曜石は意外に切れ味よく古代人の重要な商材だったらしい)
因みに私は包丁の刃先Rを10ナノメートルまで研ぎ上げる装置を製作中である
まな板に数回当てるだけで並の切れ味に戻るため意味がないが自己満足用
多少の費用がかかっていいなら 縦型ベルトサンダー 25mm TR-231EB
このタイプを買う(同等品可 1万数千円)
これに研磨ベルト#400を付ける
大事なのは、裏金を大きく削除しベルトの弾性を活かす部位だけで
研磨すること 改造なしでは不可 ベルトはダミー研磨で「疲れさせてから」本番へ
利点 慣れれば15秒で終わる 削りすぎもなし ハサミも研げる
数千円で済ますなら水平円盤型を買う 安価で可 できれば正逆転付き
ほとんどの包丁に使える これもガイド類をすべて外すこと
残すのは水供給器だけ
周囲に水が飛び本人も汚れる(飛散防止スポンジリングがあるが
余計なお世話でこれも外す)
人間工学的に往復運動は精度維持も難しく非効率だが、研ぎ師は機械や
円盤型を邪道とする しかしプロは連続回転型を使う
ネットにある研ぎの講釈は、旧来の手法から脱却できていない
研磨紙も動力もなかった時代の名残を未だに踏襲している
刃こぼれした0.1mmの剃刀はどうしようもないけど、厚みのある百均の包丁や
柳、出刃なら丈夫で長持ちして、刃先が欠けても、研げば新品のようになるので
時々やってます。
ポイントは、角度を一定にして、一心不乱に前後させることでしょうか?