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学術会議が政府の言うことを聞かないので、政府が業を煮やしたらしい。「学術会議を行革する」と言い出した。
判子や FAX を削減するように、ついでにうるさい口も削減してしまえ、ということらしい。
「日本学術会議」について、河野行政改革担当大臣は閣議のあとの記者会見で、自民党からの要請を踏まえ、政府の事業全般の検証の中で「会議」の予算や機構などについて、検討していく考えを示しました。
「日本学術会議」の会員候補6人が任命されなかったことを受け、自民党は「会議」の在り方を検討し直す必要があるとして、来週にも作業チームを新たに設けて議論を始めることにしています。
( → 「日本学術会議」予算や機構など見直し検討へ 河野行政改革相 | 日本学術会議 | NHKニュース )
菅首相に会員の任命を拒まれたことに反発している日本学術会議に、政府がさらなる一手。
政府内からは、今回の人事の問題をきっかけに、学術会議そのものに注目し、改革する意義を強調する声が上がっている。
( → “行政改革”で見直しへ 日本学術会議にメス )
これについては、「政府職人を削減するだけで、委員を削減するのではない」という説明もある。
内閣府に設置されている日本学術会議事務局の国の予算や人員の年末までの見直しを想定。学術会議の定員には踏み込まない見通しだ。
チェックの対象については「学術会議の会員でなく、事務方の人員だ」と語った。
( → 日本学術会議、行革対象に 予算・事務局の在り方―河野担当相:時事ドットコム )
しかしそれで済むとも思えない。衣の下から鎧が見えている。
政権幹部は「ここまで来たら学術会議の改革をするしかない」と話しています。
( → 野党側「日本学術会議」元会長にヒアリング|日テレNEWS24 )
「ここまで来たら学術会議の改革をするしかない」だってさ。
河野担当相は「学術会議の会員でなく、事務方の人員だ」と語っているが、政権幹部の思惑は違う。「これを機に、政府には発する奴を一掃してしまえ。いっそのこと、学術会議そのものを解体するか無効化してしまえ」と思っているのだろう。
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あまりにもひどい話だ。
これはもう、中国によるウイグル弾圧にそっくりだ。「こんな馬鹿げたことは日本では起こるまい」と思ったが、まさしく起こりつつあるわけだ。独裁体制もきわまれり。
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学術会議の件では、科学雑誌の「サイエンス」が「新総理が学術会議に喧嘩を売る」という見出しで、これ学問の自由を脅かす行為とみなされていることを伝えている。
→ Japan’s new prime minister picks fight with Science Council
また、科学雑誌の「 nature 」も社説で論じている。
英科学誌ネイチャーは8日付の今週号で、「科学と政治の切れない関係」と題する社説を掲載し、……菅義偉首相が日本学術会議の会員候補6人を任命しなかった問題にも触れ、「政治家が、学問の自律性や自由を守るという原則に反発している」と訴えた。
「学術会議は科学者の声を代弁する独立した組織だが、菅首相が、政府の政策に批判的だった6人の学者の任命を却下した。首相が任命する制度になって以来、初めてのことだ」と報じた。
( → 「政治家が学問の原則に反発」ネイチャーが日本など懸念:朝日新聞 )
原文は下記。
→ 「 nature 」社説
一部抜粋
Politicians are pushing back against the principle of protecting scholarly autonomy, or academic freedom.”
政治家たちは、学問の自律性や学問の自由を守るという原則に反発している。
学問の自律性や学問の自由に反発しているのだから、もはや知性のかけらもない、未開人レベルの頭しかない、ということだ。「科学よりも迷信が好き」ということなのかも。
日本の首相がここまで品性をなくしたことは、日本政治史上、かつてなかったことだ。まったくもって、嘆かわしい。
【 関連サイト 】
→ 説明しない菅政権と絶対王政の共通点 任命拒否の科学史:朝日新聞
絶対王政と言えば、私も先に「朕(ちん)は国家なり」という言葉に言及した。
→ 法律は守らなくていい(?): Open ブログ
ま、正確に言えば、絶対王政というより、独裁専制なんですけどね。
あるいは、裸の王様と言うべきか。

【 追記1 】
続報が出た。105人のリストを、管首相は見ていないそうだ。
《 菅首相、105人の名簿「見ていない」 》
自身が決裁する直前に会員候補のリストを見た段階で99人だったと述べ、推薦段階の105人の名簿については「見ていない」と語った。
( → 任命再考は改めて否定 - 毎日新聞 )
首相たるものが 105人も並んだリストをいちいちチェックするはずがない。そんな面倒なことをするはずがない。
「うるさいやつは排除しろ」と簡単に命令して、6名のリストを受け取ってから、「よし」と裁断したに決まっている。だから、自身が裁断したのは、6名のリストについてだ。
マスコミは質問するときに、「排除する予定の6名のリストを見たか?」と質問するべきだった。質問の仕方を間違えている。
【 追記2 】
NHK もこの件を報じた。かなり詳しい記事だ。
→ 科学誌「ネイチャー」 日本学術会議の任命見送り 社説に掲載 | NHKニュース
これによると、政府の資金提供が、アメリカでは 268億円で、日本では 10億円。かくも大差がある。
なのにその なけなしの 10億円を、増やすどころか減らそうとするのが、河野大臣だ。(上記)
日本の科学関係予算は極端に少なすぎる。だから減らすどころか増やすべきなのだ。なのに河野大臣は、やることが逆だろう。イルカのカイル君と同じだ。聞きたいのは、「おまえを削除する方法」だ。
【 追記3 】
政府の方針は違法だという指摘。
→ 日本学術会議の元会長 任命拒否は法律違反の可能性と批判 | NHKニュース
選考基準と違う基準を適用し、任命拒否したとなれば日本学術会議法違反になる」と述べました。
違法であることについては、本サイトでも何度か言及した。
→ サイト内検索
タイムスタンプは 下記 ↓
自費で研究・活動すれば良いだけの事。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62372
2:政府からの資金提供について、アメリカ268億円と日本10億円のGDP比や内約
3:日本学術会議の予算見直しによる民間研究への影響
上記について確認しつつ、本件はもう少し様子見かなと。