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朝日新聞の記事がある。
→ コロナ重症化要因、5万年前の旧人由来? ネアンデルタール人の遺伝情報に注目:朝日新聞
しかし数日前に、別の記事があった。
→ ネアンデルタール人の遺伝子、コロナ重症化に関与か :AFPBB News
ネアンデルタール人から受け継いだ遺伝子コードを保有する人が新型コロナに感染すると、人工呼吸器が必要となる可能性が3倍高くなるという。
研究では、ヒトゲノムの染色体23本のうち、3番染色体の特定領域にある遺伝子変異が新型コロナ重症化と関連していることが分かった。
この領域はネアンデルタール人を起源とする遺伝子コードを含むことが知られている。
この研究では、ネアンデルタール人の遺伝子断片に伴うリスクが地球上に均等に分布しているわけではないことも判明した。この遺伝子断片を保有する人の割合は、欧州では約16%なのに対し、南アジアでは約50%に上り、バングラデシュでは63%と最も高かった。また、東アジアとアフリカでは、保有者がほとんどいなかった。
この件では、論点は二つある。
(1)
コロナの重症化の要因となる遺伝子は、その部分だけなのか? それとも、コロナの重症化の要因となる遺伝子はたくさんあって、そのうちの一つだけが、ネアンデルタール人に由来する遺伝子と重なるのか?
もちろん、後者だろう。従って、次の事柄も成立する可能性が十分にある。
・ ネアンデルタール人に由来する遺伝子の一つは、コロナの重症化を弱める要因となる。
・ ネアンデルタール人に由来しない遺伝子にも、コロナの重症化をもたらす要因となるものがある。
というわけで、今回の研究報告が特に大きな意味を持つとは思えない。「ああ、そうですか。そういうこともあるでしょうね」というぐらいの理解で足りる。
(2)
ネアンデルタール人との混血は、本当にあったのか?
「この遺伝子断片を保有する人の割合は、欧州では約16%なのに対し、南アジアでは約50%に上り、バングラデシュでは63%」
とのことだが、それほどにも大量の保有者がいるということは、それほどにも大規模な混血があったということになる。
しかし、そんなに大規模な混血が、本当にあったのだろうか? たとえば、数千人と数千人の混血があったのだろうか? ……そういうことは、およそありえそうにないのだが。
この件については、本日の別項で論述する。(次項)