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振り返ってみる記事が掲載された。水害の被害のあとはひどい。いまだに立ち直れず、廃業した居酒屋もあるそうだ。(コロナの影響もあって。)
→ なりわい、迫られた選択 熊本豪雨3カ月:朝日新聞
→ 熊本豪雨、長引く避難生活 壊れた自宅に住む被災者多数 [九州豪雨]:朝日新聞
この水害については、これまで何度か言及してきた。「特養は金儲け主義の悪徳業者だった」という話もあったが、それを除いても、水害防止について、いろいろと語ってきた。
→ 熊本の水害(2020): Open ブログ
→ 川辺川ダムは必要か?: Open ブログ
→ 災害危険地域に居住禁止: Open ブログ
最後の「居住禁止」という話は、熊本に限らない一般論だが、この方針で、新たに考えてみよう。
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まず、記事にもある酒店はここだ。
この周辺は、記事にある「人吉市中心部」だ。ここが水没したわけだが、いずれも川のすぐそばである。
割れたショーウィンドー。路上に積まれた廃材。球磨川の氾濫で一面が水につかった熊本県人吉市中心部の商店街は、今も被災の爪痕が生々しい。
( → なりわい、迫られた選択 熊本豪雨3カ月:朝日新聞 )
こんなに川のすぐそばでは、水没する危険は大きいだろう。どのくらい危険か? それには(2017年に作成した)ハザードマップを見ればわかる。
→ 人吉市 ハザードマップ
そこから該当箇所を抜粋すると、こうだ。
(クリックして拡大)
まさしく川のそばは危険な水没地域である。(濃い水色)
一方、そこから少し離れた内陸部は、黄色または白色であり、浸水の危険が少ない。
そして、その安全な場所のほとんどは、田畑である。(上の Google マップの航空写真を参照。)
とすれば、それらの田畑のある地域に移転すれば、水害を避けることができるのだ。
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ただし、ここで注意するべきことがある。( Google マップを参照 )
人吉市の中心部のうち、東側には、鉄道の人吉駅がある。このあたりは、人家が密集していて、開発の余地がない。一方で、奥の丘陵部(村山公園)と球磨川に挟まれていて、きわめて狭い領域である。
つまり、次の事情にある。
・ 駅のそばが中心部である。
・ そこは、危険であると同時に、領域が狭い。
・ だからそこには田畑もない。移転先もない。
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
・ 駅の西側2km のあたりは、田畑が大量にある。
・ このあたりの半分ぐらいは、浸水領域外だ。
・ 吉田病院のあたりで、鉄道の新駅を作るといい。
つまり、鉄道の新駅を内陸部に作って、その周辺の田畑を新たな市街地とすればいい。ここならば、もはや水害の危険は著しく減る。だからこの新たな場所に、現市街地の人々は移転すればいいのだ。
一方、現市街地での再建は、たとえ再建しても、ふたたび水害で大被害に遭う危険がある。政府や自治体は、再建費用を出すつもりだが、その再建した建物も、やがてはまた水没してしまう可能性があるのだ。そんな馬鹿げたことはやめるべきだ。
代わりに、上のような新方針を採るべきだ。
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なお、新駅ができたあとでは、従来の人吉駅は廃止するといい。その近辺は、遊水地にすればいい。
また、遊水地にしなくても、「あえて水没させること」を前提として、このあたりに越水堤を作るといいだろう。そうすれば、水量が少し増えたら、このあたりは2メートルぐらい必ず水没するようになる。そのかわり、川の水位が下がるので、堤防が決壊することはなくなる。だから、今回の水害のように、「堤防が決壊して、水深5メートルの浸水被害」という大被害は回避できる。(2メートルの浸水を受け入れれば、5メートルの浸水を避けることができる。)
一方で、新たに建設された新駅のそばでは、何ら被害を受けることなく、ゆうゆうと高みの見物ができるのである。
これこそが、賢明な方針だと言えるだろう。
( ※ ひるがえって、川辺川ダムに 1000億円以上を投入するのは、愚の骨頂だ。)