2020年09月29日

◆ 院内処方と院外処方(医薬)

 病院で処方箋をもらって、外部の薬局で薬を買う……という方式は、非常に高コストである。

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 昔は、病院で薬をもらって代金を払っていた。これを「院内処方」という。
 最近では、通常、病院で処方箋をもらって、外部の薬局で薬を買う。これを「院外処方」という。

 前者から後者に流れが変わったことは、次の理由による。
  ・ 病院が薬販売の利益を狙って、やたらと過剰に薬を処方するので、薬漬けという弊害が生じた。(目的)
  ・ それを改めるために、院外処方には高い点数を付けることで、院外処方をするように促した。(手段)


 目的の方はいい。そういう目的はあって当然だ。
 しかし、手段が問題だ。この手段は、院外処方を促すために、院外処方については、院内処方の3倍もの点数をつけることにした。そのせいで、患者の負担も、国の負担も、非常に多額になってしまったのだ。

 つまり、「薬を減らす」という目的は達成されたが、その手段がまずかったせいで、患者の負担も、国の負担も、非常に増えてしまった。
 一方、それで得をしたのは誰かというと、薬局だ。各地にやたらと大量の薬局が出現して、薬局ばかりが「調剤費」というのを莫大にせしめている。

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 こういうふうに薬局ばかりがやたらと増えた問題については、前に指摘したことがある。
  → 薬局が多すぎる: Open ブログ
  → 薬局が多すぎる 2: Open ブログ

 次の記述も。
 医療の分野で改善するべき点があるとしたら、病院よりも、薬局だろう。薬局で薬を出すように改革したあと、薬局が雨後の竹の子のごとく、にょきにょきと生えてきた。よほど儲かるらしい。
( → ケータイと寡占: Open ブログ

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 ともあれ、「薬漬けを減らす」という目的は良かったのだが、そのために、「院内薬局を減らして、院外薬局を増やす」ということをめざして、「院外薬局の点数(価格)を3倍にする」という方法は、やたらとコストの上昇をもたらして、薬局を増やすことにしかならなかった。薬局ばかりがボロ儲けした。
 その一方で、患者の負担は激増したし、病院の利益は縮小して、病院は赤字化していった。

 医療制度改革の結果は、「大失敗だった」と評価してよさそうだ。

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 では、どうすればいいか? 単に元通りにすればいいか? いや、それは芸がない。もっと良い方法を考えるべきだ。
 私としては、代案として、次の方針を推奨する。
 「病院は、院内薬局と院外薬局を、自由に選べるようにする」
 「処方箋の代金は、大幅に引き下げて、院内薬局を推奨する」
 「薬漬けを防ぐには、電子処方箋を導入して、処方について外部のチェックを受けるようにする」


 また、次のことを推奨する。
 「大規模病院では、すべての薬を院内処方するべきだが、小規模病院では、ありふれた薬のみを院内処方するようにする。たとえば、高血圧の薬など」
 処方される薬の数が限定されれば、処方は簡単なので、看護師による処方でも済ませることができるだろうから、低コストで済む。

 ちなみに、大病院では、薬の数は 1200種類にも及ぶ。その収納位置をすべて覚える必要があるので、薬剤師の負担は大変になるらしい。
( ※ ドラマの「アンサング・シンデレラ」による。)
( ※ 内科の小さな病院なら、通常処方する薬の数は 30種類ぐらいで済むかもしれない。それを越える分は、外部の薬局で出すようにして、処方箋を書けばいい。)



 【 関連サイト 】

 院内処方に比べて院外処方の点数(価格)が3倍になるという件については、下記を参照。
  → 院内処方と院外処方との違いについて
  → No.618 「院外処方、なぜ院内の3倍の技術料か」疑問の声 行革推進会議・行政事業レビューで指摘

 後者のページで記されているように、3倍もの差が付くことには、批判が多い。
 
( ※ ドラマの「アンサング・シンデレラ」では、ドラマの舞台となる大病院が院内処方をしているので、 twitter では疑問の件が続出していた。しかし、良心的な病院では、院内処方をしているのだ。その方が患者の負担も少なくて済むし、薬剤師による医療サービスも向上する。病院としては、儲けにならないんだけどね。)
 




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 なお、薬局は非常に儲かっているので、薬剤師の年収はとても高い。院内薬局の薬剤師はともかく、街中の調剤薬局の薬剤師の年収は、IT技術者の年収を上回る。(年収ガイドのサイトでわかる。)
 街中の薬局の薬剤師は、若い女性が多いので、たいして年収は高くないんだろう……と思うかもしれないが、そこいらのIT技術者よりも給料は高いのだ。そういう女性と結婚したら、「妻よりも年収の低い夫」になりそうだ。

 ※ ちなみに、薬局の女性比率は7割。女性の比率が高い職業である。
 
posted by 管理人 at 22:37| Comment(0) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
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