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菅首相の肝いりで、政府はデジタル庁を設置する方針だ。
菅首相は総裁選のときからデジタル庁設置を最優先課題と位置づけていました。新型コロナウイルス禍では現金給付に伴う行政手続きの遅れや連携不足が露呈しました。また、電子政府の進み具合でも世界各国に後れを取っています。こうした現状を打破すべく、16日に発足した菅内閣が早くも設置に向けて動き出した格好です。
デジタル庁は各省庁のデジタル化を推進する司令塔となります。各省庁や地方自治体、行政機関の間でスムーズにデータをやりとりできるようにし、行政手続き全般の迅速化を目指します。マイナンバーカードの普及も推進し、健康保険証や免許証など様々な規格を統合する方針です。最新のデジタル化の動向に対応するため、トップには民間人を据える案を検討します。
( → 新設予定のデジタル庁とは? :日本経済新聞 )
これは評判がいいようだ。では本サイトとしては、これをどう評価するか? 「例によってケチを付けるんだろう」と予想する人が多そうだが。
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実は、これと似た趣旨のことは、私も以前から考えていた。
「情報システム庁を設置せよ」
というタイトルで、下書き用のアイデアを書き留めておいた。「将来的に記事にする予定」という扱いで。
ただしそれを書いたのは、1年半も前のことだ。その後、記事を書く時間はあったが、書く気になれないまま、ずっと放置しておいた。なぜか? あまりにも平凡なアイデアだからである。誰にでも思いつくようなアイデアなので、いちいち特記するほどのことでもないという気がしていた。(だから優先度は低かった。ほぼ最低ランクである。)
書くとしたら、話の趣旨はこうだ。
「各省庁で個別に情報システムを構築するのは、非効率だ。そこで、各省庁の情報システムを一括して管理する組織(政府の情報システム部)を設置して、それを情報システム庁と名付ければいい」
話はこれで済む。あまりにも簡単で平凡なアイデアだ。だから、いちいち書く気になれなかった。
それと同じアイデアを菅首相が出したようだが、まあ、どうということもない。当たり前の平凡なことを言い出した、というだけのことだ。これまでやらなかったことの方がおかしい。ただし、「やるべきことはやらず、やるべきでないことばかりをやる」というのが、安倍政権の方針だった。そして、その安倍政権の中核にいたのが、菅官房長官だった。
そういうわけだから、書いても実現性が低いので、私は今まで書く気になれなかったわけだ。
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なお、私が書く予定だったのは、上記の核心のことのほかに、次の付随的な話題もある。
(1) 関連項目
似た話題を論じた項目もある。
→ ウイルス感染は組織の問題: Open ブログ
この項目では、特に(情報)セキュリティについて、横断的な組織の必要性を述べている。現状では、各省庁の情報システム担当の部局が、個別にセキュリティ対策をしている。それでは、セキュリティが甘くなる。だから、セキュリティについて、横断的な組織が必要だ、と述べている。
それを(セキュリティ以外にも)機能的に拡張したのが、情報システム庁(デジタル庁)だと言えるだろう。
→ ITの公的調達: Open ブログ
情報機材の調達も、各省庁が個別に実施するより、政府が機材を一括調達する方がいい。そういう話。
(2) 無駄の例
情報システムに関して、専門知識の欠如から、多大な無駄が発生したことがある。下記の事例だ。
→ 18億円の国のサイバー攻撃防止機能 未使用で廃止 使い勝手悪く |NHK
その解説もある。
→ 利用省庁ゼロで廃止された政府共通プラットフォームのセキュリティ機能についてまとめてみた - piyolog
こういう無駄をなくすためには、情報システム庁(デジタル庁)が必要だ、という結論になる。
※ 実は、上の無駄の例を見て、情報システム庁(デジタル庁)が必要だ、という話を書こうとしたのだった。それが1年半前のことだ。
※ 本項を読んで、「たいした話は書いてないな」と思う人が多いだろう。たしかに、そうです。だから今までずっと書かずにいたんです。今日になって書いたのは、デジタル庁が話題になっているので、そのついでです。
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004.html
https://www.softbank.jp/biz/future_stride/entry/column/20200226/
『論語』にもある「必ずや名を正さん乎(か)」ですね。
菅さんの命名かな。
それでも主管大臣は他の大臣よりは期待できそう。