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(1) 映画館のマスク
映画館やイベントなどでは、マスクをするのが常識だ。ところが映画館では、あえて「マスクをしなくてもいい」という方針を打ち出した。狂気的だ。
全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)は国との調整を経て、ようやく前日になって「収容率 100%にする場合は、食事をさせないよう努める」との基準を固めた。ポップコーンなどの食事販売が大きな利益になる映画館も多く、当面従来通りの制限を続ける映画館も目立った。
( → 「ブラボー」叫ばずに掲げた紙 制限緩和に期待と不安:朝日新聞 )
ここでは「マスクをしなくてもいい」と明示されているわけではないのだが、実質的には「マスクをしなくてもいい」と言っているのも同然だ。なぜなら、「収容率 100%にする場合は、食事をさせないよう努める」と言っているからだ。
これは、「収容率 100%にしない場合は、食事をさせてもいい」と言っているのも同然だが、「食事をさせてもいい」というのは、「マスクをさせなくてもいい」ということだ。(食事中にはマスクをはずすからだ。)
かくて映画館では「マスクなし」が許容される。これでは、感染の危険度が高まる。狂気的だ。ここは何としても、「映画館では食事禁止」を基本 or 義務とするべきだろう。
その一方で、「収容率 50%」は必要なく、「収容率 100%」と認めていいだろう。
※ 「映画館などで飲食は禁止」については、前に下記項目で論じたことがある。
→ 映画館
(2) 会食のときは?
Go To Eat キャンペーンが始まるので、これに関して忽那賢志が「会食の是非」について論じている。
→ 飲食店での食事は新型コロナ感染のリスク Go To Eatキャンペーンを安全に利用するためには(忽那賢志)
「会食は感染のリスクがある」と言う一方で、「会話なしの飲食なんてつまらない」と言って、両立しがたい難点を論じている。
まあ、そうですね。確かに両立しがたいので、人間的な悩みが生じる。
そこで、困ったときの Openブログ……と言いたいところだが、いくら何でも、根源的な矛盾は解消できない。
とりあえず、原則を言うなら、こうだ。
「二人までの会食なら、相手の感染危険度を考慮した上で、会食してもいい」
「感染危険度の高い人との会食や、三人以上の会食は、不可」
これで、二人までの会食は許容されるが、まだ危険度はいくらかあるので、何とかしたい。そこで、苦し紛れの案を出すと、こうだ。
「二人で会って会食するが、飛沫が飛ばないように、1メートル以上の距離を保って、スマホで電話会談する。顔は見えるが、声はスマホ経由で会話する」
ただしこれだと、ギガが減るのが心配かもしれない。だったら、うまい方法がある。それは、「糸電話」だ。こいつはギガを必要としない。

※ 糸電話には、別の利点もある。他人には話し声が聞こえないので、彼女と内緒話をできるということだ。ちょっとエッチな話もできる。普通の店では、他人の耳が気になって、あまり露骨なことは言えないのだが、糸電話があれば、他人の耳を気にせずに、内緒話ができる。
(3) マスク着用者にも効果あり
マスクは、飛沫を飛ばさないことで、他人に感染させない効果がある。一方、自分自身が感染しないという効果はほとんどない、と思われてきた。
しかし、新たに次の説が出た。
「マスクは、ウイルスを完全に阻止はしなくとも、通過量を減少させる効果がある。しかも、ウイルスの吸入量の大小と、感染者の症状の大小とは、おおむね比例関係にある。ウイルスを多く吸入すると重症化して、ウイルスを少なく吸入すると軽症または無症状となる。ゆえに、マスクをすると、感染を完全阻止することはできなくとも、症状を軽くする効果がある」
これは、下記ページで紹介されている。
→ マスクが新型コロナの重症化を防ぐ、という仮説(忽那賢志)
ここには、実際にそうなったということを示す事例も二つ紹介されている。
・ 別のクルーズ船では……船内の感染者の大多数(81%)は無症状のままだった。
・ アメリカの食品加工工場では……無症候性感染者の割合はなんと95%。
いずれも、マスクを十分に提供することで、症状を大幅に軽減する(無症状にする)ことに成功している。つまり、先の説の裏付けとなっている。
だったら是非とも、マスクの着用を大幅に推進するべきだし、特に、マスク義務化を推進するべきだ……と思う人が多いだろう。しかし、ここは、例によって忽那賢志だ。「しかし、この仮説はまだ科学的に証明されたものではありません」と言って、マスク推進やマスク義務化に水をぶっかける。さすがに、マスク嫌いのことはある。自分でマスクの効果を紹介しながら、自分でマスク着用論を否定する。
ま、これも、毎度のことだが。前も同様だったし。
→ マスクの話題 8: Open ブログ の (2)
とはいえ、上のことからして、「コロナで重症化したくなければ、マスクを着用しよう」と大々的にキャンペーンするとよさそうだ。忽那賢志は「科学的に証明されたものではありません」と言っているが、証明とまでは行かなくても、証明に近い事例(エビデンス)はすでに二つも挙がっているのだ。それを無視するべきではあるまい。
ただし、注意。
以上において「マスクが有効だ」とされているのは、マスクを毎日替えている場合だ。同一のマスクを使って、洗濯して使う場合には、同様の効果は期待できない。
なぜなら、上記のような効果があるのは、「マスクの間に静電フィルターが挟まれている」というタイプのものに限られるからだ。そして、マスクを洗濯すると、静電フィルターの効果が消えてしまって、ウイルスの捕獲が激減してしまうのだ。
私は前に「マスクは洗って使ってもいい」と述べた。だが、それは、「マスクが店頭には売っていない」という前提のもとで、「他人には飛沫を飛ばさない」という目的のためだった。
一方、「自分が感染しない」という目的のためであれば、話は別となる。毎日マスクを交換して、「いったん使ったものは使い捨てにする」というふうにすることが必要だ。
なお、そのためのマスクは、間に静電フィルターが挟まれていることが必要で、外装(袋や箱)には、「三層構造」というふうに書かれてあるはずだ。「ウイルス 99%除去」というふうにも書かれてあるはずだ。
そういうのは、高価なマスクには該当するが、一部の安物のマスクには該当しない。
ただし、ダイソーの 10枚 100円のタイプも、昨年に販売されたものは、上記のように「三層構造」「ウイルス 99%除去」というふうに書かれてあった。だから、「安ければダメだ」というわけではないようだ。
※ なお、現時点では、ダイソーでは 10枚 100円のマスクは販売していない。というか、マスクそのものを販売していない。
※ ドラッグストアでは、1枚 50円程度のマスクを販売している。1日 50円だと、1カ月で 1,500円 になる。ちょっと高いが、仕方ないか。去年のダイソーなら、300円で済んだのだが。
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あとで調べたら、Amazon では 100枚 1500円のマスクを売っていた。三層で、フィルタ付き。
→ https://amzn.to/3kLy015
[ 余談 ]
忽那賢志の記事には、致死率のグラフもある。これを転載してもいいのだが、元のサイトの方から、大きな画像を転載しよう。
※ 致死率は Case fatality rate

これを見ると、ちょっと不思議に思える。第一波の最中(死者が続出)には値が低めであるが、第一波の終了後には値が最大になっている。実状とグラフが一致しない。
なぜか?
実は、ここで言う「致死率」は、「その時点(期間)の致死率」ではなくて、「その時点までの累積値の致死率」だからである。つまり、「期間中の死者数/期間中の患者数」ではなくて、「累積の死者数/累積の患者数」だからである。……そう理解すれば、氷解するだろう。
たとえば、イタリアの致死率がずっと高いままであるのは、過去の死者が特別に多かったからだ。今なお高い致死率が続いているが、それは、「今なお多大な死者が発生している」ということを意味しない。
今現在の致死率を知るには、グラフにおける数値(絶対値)よりは、数字の増減を見るべきだ。日本では、「急増 → 頭打ち → 減少」というグラフが見られるが、これは、期間数値が「大 → 中 → 小」というふうに変動したことを意味する。
なお、日本のグラフは、凸状(半円状)のグラフのように見える。が、正しくは
/ ̄\_
と解釈するべきだ。つまり、
・ 第一波 (感染も死者も急増)
・ 小康期 (感染も死者もほぼゼロ)
・ 第二波・前半 (感染者のみが急増。死者は微小)
・ 第二波・後半 (感染者は減少中で、死者は若干)
と解釈するべきだ。
ただ、正確な認識をするには、累積値で考えるよりも、期間中の値で考えるべきだろう。
50*30=1500円でしょう。
※ このまえやったばかりなのに、またしても計算ミス。みっともないね。
立ち見の客を大量に入場させていた昭和時代の映画館を想定しているのかな。
普通、映画館では観客全員が「同じ方向」で着席する。向かい合って座ったりはしない(笑)。飛沫が他人の顔をめがけて飛ぶことはない。
まあ、隣同士ぺちゃくちゃ喋っていれば話は別かもしれない。ただし上映中にそんなことをしていればスタッフに注意される(甚だしい場合は、つまみ出される)。
飛沫が座席に付着することはあるのかもしれないが、映画館側では上映が終わるたびに各座席を消毒液で拭いている。
>三人以上の会食は、不可
理想はそうなのだろうが、三人以上の会食を禁止してしまえば多くの飲食店(特に居酒屋)は破綻する。十分な補償とその財源にまで言及しなければ、説得力は無い。
というのは、マスクあり と マスクなし を比較して、相対的に、前者より後者の方危険度が高い、ということ。これは当り前でしょう。
スライさんの言っているのは、相対的な話ではなく、絶対的な話。危険度が絶対的に高いか否か。それは別の話です。
ただし、絶対的な量でも、マスクなしだと危険度は高いです。なぜなら、咳をすると、呼気は1メートルも飛ぶので、前席の人の顔のそばに呼気が吹きかかります。
あなたの後ろの席にいる人が、マスクなしで、咳をして、あなたの後頭部付近に呼気を浴びせかける、と想像してください。「マスクなしでもいいですよ」と言えますか?
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> 三人以上の会食
多くの飲食店では、9割以上が1名または2名です。3名以上の会食は、ほとんどありません。(宴会形式の大ホールを除く。)
飲食店に関する限り、影響は少ないでしょう。せいぜい、学校帰りの高校生がたむろする場所ぐらいであって、例外的だ。
居酒屋は、影響を受けそうだが、禁止規定のない現時点でも、大幅に客が減少しているので、どっちみち、大差ないだろう。1〜2年は、業態転換して、我慢してもらうしかない。
ただし、「客席間を1メートル以上あける」「飲物は蓋とストローの付いた飲物だけ」「食べ物は各人ごとの取り分けで、蓋をかぶせる」などの工夫をすれば、三人以上でも酒席は可能だろう。工夫しだい。
原則は禁止であっても、例外規定を付ければ、何とかなる。