2020年09月19日

◆ フェアレディZ のデザイン

 新型フェアレディZ のデザインが判明したので、講評する。

 ──

 新型フェアレディZ のデザインが公開された。


faialady0.jpg




 そこで、このデザインを講評してみよう。

 総評


 全体的には、「かなり良い」と言える。「非常に良い」というほどではないが、そこいらにある「良い」よりは優れている。5段階評価で、5にはならないが、4のなかでは上位の部類と言える。4.5 ぐらいか。
 現行モデルが「非常に格好悪い」のに比べると、雲泥の差だ。初代モデルと比べると、同じぐらいかな。ただし 240Z の Gノーズに比べると、劣る。また、Z32 に比べても劣る。この二つは、見てすぐに「カッコいい」と感じさせたが、今回の新型モデルは、そこまで格好良くはない。「カッコいい」と感じさせるのは、ヘッドライトだけだ。あとは、「そこそこ良い」という程度か。
 「ヘッドライトだけカッコいい」という点では、セミ・リトラクタブル・ライトの Z31 と同程度だと言える。ヘッドライト・フェチならば、Z31 と今回の新型を、どちらも偏愛するかもしれない。(実は私がそうかも。) 「この子、ちょっとブスだけど、目がかわいいから好き」というふうな。
 Z33 がいかにも平凡で、Z34 が不様な大失敗だったのと比べると、長足の進歩だとは言える。褒めておこう。(絶賛はしないが。)

 ※ ネットの評判では、日本では「良い」と「保留」が半々ぐらいだが、アメリカではかなり評判がいいようだ。もともとアメリカ向けなのだから、それでいいのかも。

 ※ Z32 は、とても格好良かったのだが、価格があまりにも高くなりすぎて、ちっとも売れなかった。フェアレディが長らく生産中止になっていたのは、Z32 が全然売れなかったからだ。これをもって、日産は「フェアレディでは価格がとても大事だ」と学んだようだ。
 ※ ちなみに、Z31 は、かなりよく売れた。街中でよく見かけたものだ。歴代では最もよく売れた部類かも。(初代以来。)

 ヘッドライト


 ヘッドライトだけは、とても良い。独創的だし、美しい。絶賛できる。
 できたあとで見れば、理に適っているし、当然とも言えるデザインなのだが、同様のものがなかったので、「コロンブスの卵」ふうだ。独創性がある。しかも、3次元の造形がある。彫刻的センスがあり、素晴らしい。トヨタ 2000GT 以来のかっこよさだ。(あっちの方が上だけど。)
 このヘッドライトだけで、大幅に点数を高めている。このヘッドライトがなければ、あとはたいしたことはない。


faialady0.jpg


 四角い口


 四角い口は、いかにも平凡だ。初代モデルを踏襲したのかもしれないが、いかにもセンスがない。もうちょっと美的センスのあるデザインにしてもらいたいものだ。無骨すぎる。
 ただし、よく見ると、ただの「真っ黒」ではなくて、内部に造形的な模様がある。また、上半分と下半分とは、微妙に色合いが異なっていて、ただの「真っ黒」とは違う。その点は、褒めておこう。

 バンパーレス


 このデザインには、バンパーがない。バンパーレスだ。これは非常に大きな欠点だと言える。その理由は、前にアルティマで説明したとおり。
  → 日産の新グリルは欠陥デザイン: Open ブログ

 バンパーがないと、「ぶつかったときに傷つきやすいし補修費が高額になる」という機能的な問題があるほかに、美的な問題がある。「ナンバープレートを付けると、ちょびヒゲみたいになって、格好悪い」ということだ。
 アルティマでは、こうなる。
  → 日産の新デザインのひどさ: Open ブログ

 ナンバープレートを付けると、こういうふうに格好悪くなる。だから、本来ならば、今回のデザイン発表のときには、ナンバープレートを付けた車で発表するべきだった。そうすれば、「ナンバープレートを付けると、すごく格好悪くなる」ということが一目瞭然だからだ。
 なのに、実際には、「ナンバープレートなし」の車ばかりを見せつけた。
  → 写真一覧

 実際に走行している動画でさえ、車両にはナンバープレートを付けていない。
  → https://youtu.be/9e8KWDgQ6Wc?t=100

 これはもう、「ゴマ化し」というしかない。きつく言えば、「詐欺」「ペテン」だとも言える。

 日産は、このデザインで公開するのならば、正直に告げるべきだ。「このデザインのままでは、公道を走れません。たとえお買い求めになられても、公道では走れないことをご了承ください」と。
 そうすれば、誰もが「何を考えているんだ」と呆れるだろう。それが本来の姿なのだ。

 そして、詐欺をするつもりがなければ、きちんとナンバープレート付きのデザインを公開するべきだ。たとえば、こんなふうに。


faialady.jpg


 これはまだ、数字がないだけマシである。現実には、変な数字がいろいろと並んだ、カッコ悪いナンバープレートが付く。そういう実車を表示するべきだろう。たとえば、こんなナンバープレートで。





 改定案


 この格好悪い四角いグリル(大口グリル)を改めるとしたら、どうすればいいか? 

 最善の策は、バンパーを付けることだ。バンパーを付けると、デザインが上下に二分割される。すると、見た人は、「バンパーの上だけが本当のデザインだ」というふうに意識して、バンパーの下のデザインをすべて無視するようになる。「見えても、見ない」という感じになる。だから、格好悪さが気にならない。
 一方、バンパーがないと、ナンバープレートも「デザインの一部」として意識されるので、その格好悪い数字や文字が「デザインの一部」として認識されて、すごく不様に見える。
 つまり、バンパーには、「ナンバープレートをデザインの対象からはずす」という視覚的効果があるわけだ。だからこそ、バンパーを付けることが最も好ましい。

 ただし、どうしてもバンパーを付けるのがイヤならば、次善の策もある。こうだ。
 「四角いグリルを上下に二分割して、下半分を(黒でなく)明るい灰色にする」

 現状では、四角いグリルを上下に二分割しているが、下半分は黒である。これでは、ナンバープレートが目立ちすぎる。
 そこで、下半分を、ナンバープレートの色(白)に近い灰色にすればいい。そうすれば、ナンバープレートの存在が、あまり目立たなくなる。格好悪さが緩和されるだろう。

 キャラクターライン


 ボディのサイドには、キャラクターラインが走っている。


faialady0.jpg


 これは、後ろに行くにつれて下がるデザインなので、格好悪い。このラインを消去するべきだろう。(ただの曲面だけで、ラインなしが良い。)

 このラインの最後は、ドアの取っ手の切り込みにつながるので、一連のつながりがあるようにも見える。あたかも、ドアの取っ手野切り込み部が、「ミッドシップ車の空気取り入れ口」みたいにも見える。こんな感じだ。
  → Evora GT410 | LCI Limited

 しかし、ミッドシップ車でもないのに、ミッドシップ車の真似をするなんて、みっともないこと、このうえない。
 というか、サイドのラインは、この車の「パクリ」と言えるほど酷似している。(上半分も、下半分も。)
 パクリデザインをするなんて、恥を知れ、と言ってやりたくなるね。
 
 《 加筆 》

 この尻下がりのラインは、現行型 Z(Z34)の意匠を引き継いだものだ。しかし現行型 Z は「歴代で最も不細工だ」と悪評ふんぷんだ。
 新型 Z は、歴代 Z の寄せ集めのようなデザインとなっているが、いくら何でも、歴代で最悪の部分まで組み込むことはなかっただろうに。
 頭がおかしいとしか思えない。「不人気で売れ行きが最悪」という部分まで真似しようとしているのだ、としか思えない。


 ルーフのサイドの銀色ライン


 ルーフのサイドには、銀色のラインがある。
  → 画像
 これは、前にも日産の高級車で、似たデザインがあったように記憶しているのだが、私の勘違いかもしれない。確か、アルミで作ると、ものすごく高コストになる……というふうに記憶しているのだが、思い違いかも。

 ま、これは、可もなく不可もなく、ひとつの個性ではある。ただ、コストがちょっと気がかりだ。

 リアの尾灯


 リアの尾灯は、立体的な LED であるらしい。
  → 画像

 平面的でなく立体的であるという点で、ヘッドライトにも共通した造形美がある。高く評価していい。

 気になるのは、後方から見て(細長い)長方形になる赤線の内側だ。ここは、ブレーキランプが点灯するのではないか? そこには LED が1列、並んでいるようにも見える。(別の写真で。)
 もしそこにブレーキランプがあるのならば、ブレーキを踏んだときには、尾灯の形状が変わることになる。

   → 

 というふうに。
 そうなると、ブレーキを踏んでいるか否かが、はっきりとするので、視認性が良くなる。これは好ましいことだ。

 実は、私は前から思っていたのだが、夜間走行時に、「尾灯」(常夜灯)と「ブレーキランプ」とが、光の強弱だけで区別されて、形では区別されないのは、視認性が悪い。
 この問題を解決するために、「ハイマウント・ストップランプ」というのを、別の箇所に取り付ける例もある。しかし、別の箇所にあるのでは、注視する場所と異なるので、視認性が良くない。
 夜間走行時には、先行車の尾灯を注視している。その光が強くなってブレーキランプになることはないか、とたえず気にかけている。そのとき、別の箇所でハイマウント・ストップランプが転倒すると、ちょっと意外感が生じる。一方、同じ箇所で、  が  になるのならば、意外感は生じず、単に「わかりやすい」というふうに感じられる。

 この点では、非常に優秀な尾灯であると言えるだろう。できれば、他車も、同じ発想の尾灯に転換してほしい。
 現状のように、光の強弱だけで、ブレーキランプが点灯しているかどうかを判断する……というのは、安全性では劣るからだ。



 [ 余談 ]
 売れるかどうかという点では、値段の点からして、「かなり売れるだろう」と予想できる。ポルシェよりは激安だし、昔のポルシェ対抗馬だったころのフェアレディを思い起こさせる。
 日産の新型の V6 エンジンは、非常に優秀なので、コスパに優れたスポーツカーとして、ポルシェをしのぎそうだ。
 また、GT-R は「どうしようもなく格好悪い」というのが難点だったのに比べると、はるかにセクシーであり、売れる要素はある。
 それにしても、現行フェアレディZ と、現行 GT-R のデザインはひどい。日産の最悪期かも。(いや、もっとひどい時代もあったんだ。箱形ローレルのころ。弁当箱デザインだった。あれこそ最悪だったね。)
 


 【 追記1 】
 デザインとは別に、自動変速機に懸念があるようだ。現行の 370Z や インフィニティ に搭載の JATCO 製7速AT が、旧態依然としたものなので、これが改良されているかどうかが注目される。

 【 追記2 】
 ハイブリッド・モデルは登場するだろうか? 「まず、ない」というのが、私の判断だ。
 (1) e-POWER モデルは、絶対にないね。スポーツ走行をすると、電池の消耗が激しくて、すぐにバッテリーが空になる。これを避けるには、発電機を 300PS にする必要があるが、そうなると、エンジン 300PS 、発電機 300PS 、モーター 300PS となって、300PS の心臓部が3倍にもなってしまう。コストが上がりすぎるし、重量も重すぎる。スポーツカーとしては自殺行為だ。ゆえに、 e-POWER は、ありえない。
 (2) パラレル方式のハイブリッドなら、あるかもしれない。市街地走行では、小出力のモーター駆動だけにする。スポーツ走行時にはエンジン駆動とモーター駆動を併用する。モーター駆動がある分、出力は上がるから、重量増にも耐えられる。……これは、可能性としてはあるが、俊敏さを失うので、魅力が大幅に減じる。スポーツカーとしては、矛盾する。当面は、なさそうだ。(電池性能が大幅に向上した数年後ならば、あるかもしれない。)

 ※ 2シータ−車なので、後席の居住性を考えなくていい分、電池やモーターを搭載する空間はある。(トランクがなくなってしまいそうだが。)

 【 追記3 】
 一つだけ、絶賛できる点があると気づいた。それは、
 「日産の Vモーション というデザインをやめたこと」
 である。アルティマみたいな Vモーション の意匠は、まったく見出されない。Vモーション をやめたことが明白だ。
 あのどうしようもなく ひどい Vモーション をやめたという点だけは、絶賛できるだろう。(一人負けしていたのだが、ようやく 他社並みになれた。)

 Vモーション については、下記を参照。
  → サイト内検索
 
posted by 管理人 at 22:29| Comment(3) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に  【 追記1 】〜【 追記3 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2020年09月20日 16:38
 参考記事

 【前編】フェアレディZ Z32のデザイナー山下敏男さんに聞いた!
 https://cardesign.jp/magazine/fairladyz_toshioyamashita.html

 https://cardesign.jp/magazine/fairladyz_toshioyamashita2.html
Posted by 管理人 at 2020年09月23日 23:14
 キャラクターラインの箇所に   《 加筆 》  の部分を付け足しました。尻下がりのラインの話。
Posted by 管理人 at 2020年09月28日 11:44
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