2020年09月11日

◆ 航空機でマスクは必須か?

 航空機に乗った乗客がマスク着用を拒否したので、トラブルになった、という事例がある。
 
 ──
 
 まずは報道から。
 《 乗客の男性 マスク着用拒否 旅客機が新潟空港に臨時着陸 》
海道の釧路発関西空港行きの旅客機の機内で、新型コロナウイルスの感染防止のためマスクをつけるように求められた男性が、着用を拒否して乗客や客室乗務員を威嚇したため男性を臨時に新潟空港で降ろすトラブルがあったことが分かりました。
 航空会社によりますと、出発前、客室乗務員が乗客の中にマスクをつけていない男性がいるのを見つけ、着用を求めたところ、男性は求めに応じませんでした。
 出発したあとも男性は着用を拒否し続け、別の乗客がマスクをしていない人の近くは嫌だと言ったことに対し、「侮辱罪だ」と声を荒げたり、客室乗務員が警告書を渡すと告げた際に「やれるものならやってみろ」と威嚇したということです。
 このため、機長が機内の秩序を乱す行為に当たると判断し、新潟空港に臨時に着陸して男性を降ろしました。
 航空各社では新型コロナウイルスの感染防止のため、乗客にマスクの着用を要請していますが、国土交通省によりますと、マスクの着用をめぐって国内線の旅客機が臨時に着陸したトラブルは初めてだということです。
 これについてピーチ・アビエーションは「安全運航のためすべての乗客に乗務員の指示に従うようお願いするとともに、新型コロナウイルスの感染を防ぐために、空港や機内では特段の事情がないかぎりマスクの着用をお願いします」とコメントしています。
( → NHKニュース

 「マスクそのものよりも、騒ぎを起こしたら、下ろされて当然だ」という意見も多い。
  → 【機内でマスク拒否】いい機会なので皆さんに知っていただきたい事

 だが、ここでは騒ぎや搭乗拒否のことよりも、マスク着用の是非についてのみ論じよう。

 ──

 医学的な危険性については、「航空機内では換気も十分なので、感染する危険性は低い」というふうに説明される。
  → 航空機内ではマスクを着用した方が良いのか?(忽那賢志)

 それでも、マスクをしないよりはした方が好ましいとは言えるので、マスクを着用すべきだという意見の方が妥当だ、というふうに上記記事では示している。
 では航空機内ではやはりマスクを装着した方が良いのでしょうか。
 新型コロナでは、発症する前の症状がない時期にも感染性があることから、人が密集した場所や屋内では症状がない人も含めてマスクを装着する「ユニバーサルマスク」という考えが新型コロナ以降定着してきており、それを支持する科学的根拠も集まってきています。
 機内で大声で喋るような方や咳が出ている方は、周辺に飛沫が飛ぶ可能性がありますので、マスクを装着した方が良いでしょう。

 ところが、せっかくそう述べているのに、最後に一転して、マスク着用義務の否定論に転じる。
 しかし、咳などの症状もなく、喋ることもないようであれば、理論的にはマスクを装着しなくても換気の良好な機内では感染拡大のリスクは低いと考えられます。
 
 「機内ではマスクを着用しなくて良い」というほどのエビデンスは現時点ではありませんので、特にマスク着用に抵抗のない方は着けておく、マスクを着けたくない事情のある方は添乗員さんに事情を説明し食事中以外はできるだけ喋らない、などの対応で良いのではないかと思います。

 これだと、先の乗客は「マスクをしなくてもいい」ということになる。つまり、強制的に搭乗拒否した航空会社の方針はダメだ、ということになる。
 いかにもマスク嫌いの忽那賢志だけある。世間一般の「航空会社の方針の支持」「マスク着用は当然」という意見とは違って、乗客を支持する立場のようだ。

 ──

 では、私はどう考えるか? 

 (1) マスク義務化の明示

 現状では、マスク着用は、航空会社は「お願い」であるにすぎない。ならば、乗客が拒否する権利がある。今回の事例のように、もともと「お願い」であるにすぎないのなら、乗客は拒否できるはずだ。
 これを防ぐには、搭乗の前に、「マスク着用の義務」を明示しておくべきだ。そうすれば、乗客は、「乗ったあとで強制される」というような問題には直面しなかった。最初から「搭乗しない」という道を選択できた。
 なお、「マスクをしないと搭乗拒否」というのは、別に問題ない。なぜなら、「公序良俗に反する」ということはないからだ。この点では、裁判をしても、航空会社が勝てるだろう。

 (2) マスク義務化の法制化

 だが、いちいち裁判で法律解釈で争う前に、政府がもともとマスク義務化を法制化するべきだ。(私が前から何度も言っているとおり。)
 これに対して、「法制化は大変だ」という見解もある。
 国交省危機管理室の担当者は「国内では公共の場でもマスク着用は義務化されておらず、機内だけ義務化することが社会的に認められるのかどうか。法律改正が必要になる」と話す。
( → マスク拒否で国内初の臨時着陸 そもそも「お願い」とは:朝日新聞

 だが、法制化といっても、通常の法律は必要ない。政令ぐらいの措置で十分だ。当然、刑事罰のような罰則はない。せいぜい罰金刑か行政罰ぐらいだが、それで十分だ。

 (3) マスク義務化の対象

 ここで注意。マスク義務化をするといっても、義務化の対象は、「マスク義務化を客に要請する」という業者側に対して義務があるだけだ。客の側には、マスク着用の義務はない。客は、マスク着用を拒否しても、何ら罰されない。ただし、業者から「搭乗拒否」「入場拒否」などの措置を受ける。
 つまり、本件では、「搭乗拒否」をする航空会社の側が正当化されるだけだ。それが私の言う「マスク義務化」の意味だ。
 政府がこういうふうに公的な方針を取れば、(1) の裁判では会社側が勝つ。それが目的となるわけだ。

 ※ なお、マスク義務化の方針を取らなかった業者には、「営業停止」や「社名公表」などの行政処分が出る。

 (4) 鼻出しマスク

 以上の「マスク義務化」とは話は違うが、夏ならば「鼻出しマスク」を私は推奨する。これならば、呼吸が苦しくなることもないので、マスクをいやがる人もいないだろう。
 そもそも、普通の人は、口呼吸でなく鼻呼吸をする。ならば、マスクをしてもしなくても、どっちでもほとんど差はない。鼻出しマスクならば、マスク拒否をする理由がない。
 一方、正式にマスクを着用すると、マスクないで暑い呼気のせいで、蒸れる。これは不快だ。だから、夏には正式にマスクをしたがらない人も多いだろう。ならば、それならそれで、鼻出しマスクをすればいいのだ。
 鼻出しマスクだって、咳対策・飛沫対策ならば、十分にできる。だから夏には「鼻出しマスクをしよう」という運動をすればいいのだ。
 これで、誰もが満足のゆく結果になるだろう。(一部の過激な原理主義論者を除く。)


mask_man_ng_hana.png


 この図の右上に × が付いているように、「鼻出しマスクはダメだ」という俗信がある。だが、それは冬の話だ。夏の今ならば、鼻出しマスクで構わない。



 【 関連項目 】
 鼻出しマスクについては、前にも論じたことがある。
  → サイト内 検索

 
posted by 管理人 at 23:59| Comment(3) |  インフルエンザ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
マスク云々は発端だっただけで安全阻害行為により降機させられただけなので、この事件をもってマスク論争に持っていくのは各人の主義主張のネタにしているだけ、と思います。

実際に乗り合わせた方の投稿でも、マスク云々の話は関係ないと思われます。

→ 釧路珍道中〜Peachまさかの緊急着陸
  (かずま さん)

トラブルを起こした。指示に従わなかった。最後通牒も無視した。それに尽きるようです。

今後どれだけの損害賠償が請求されるがわかりませんが、そこまでして指示に従いたくないメリットがさっぱりわかりません。ひとつも良いこと無いのに。
Posted by けろ at 2020年09月13日 21:11
 あの人がどうであるか(どうすべきか)は、本項の目的ではなくて、あの人の例をダシにして、マスク義務化の話をしたい、というのが本項です。

> だが、ここでは騒ぎや搭乗拒否のことよりも、マスク着用の是非についてのみ論じよう。

 と文中に書いてある通り。
Posted by 管理人 at 2020年09月13日 22:36
> あの人の例をダシにして

……そうでした。すみません。
まさに、そういう文章でした。

そういう前提なく書き連ねている記事やら意見やらコメントの多いことがちょっと目についてしまって。
人のこと、言えませんでした。
Posted by けろ at 2020年09月14日 22:39
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