──
ふるさと納税に反対した官僚を、菅官房長官が左遷したことがある。この件は、本サイトでも言及したことがある。
→ サイト内 検索
→ ふるさと納税はなぜ続く?: Open ブログ
その官僚が、このたび自ら名乗り上げた。
この制度に反発したのが、地方税を所管する総務省だ。ふるさと納税は自治体間の返礼品競争を招くとともに、高所得者ほど節税効果が高まる。しかし、制度の問題が改善されることはなかった。なぜなら、提唱者が安倍政権のナンバー2である菅官房長官だったからだ。
総務省では2014年、自治税務局長(当時)を務めていた平嶋彰英氏が菅官房長官に対して直接、制度上の問題点を指摘していた。しかし、事務次官候補の一人だった平嶋氏は翌年7月に自治大学に異動となり、省外に出された。ふるさと納税に反対したことによる平嶋氏への左遷人事と言われ、霞が関の官僚を震え上がらせた。
いったい、官邸で何が起きていたのか。現在は立教大学で特任教授を務める平嶋氏が実名で当時の様子を語ってくれた。
( → 菅官房長官に意見して“左遷”された元総務官僚が実名告発「役人を押さえつけることがリーダーシップと思っている )
──
ふるさと納税という制度の問題点は、本サイトでも前に指摘した。
→ ふるさと納税は合法的な脱税: Open ブログ
これほど詳細でなくとも、この制度がダメな制度であることは、まともな頭のある人ならば、誰でもわかる。上の記事でも、省内の意見は「ダメ」で一致していた旨が記されている。
ではなぜ、こんなダメな制度を、菅官房長はゴリ押ししたのか? その疑問への理由を考えよう。
──
すぐに思いつくのは、「地元への利益誘導」である。だが、これは成立しない。なぜなら、菅官房長の地元は神奈川二区であり、これは「みなとみらい」地区などの横浜都心部を含むからだ。ふるさと納税をすれば、地元民はお金を得するのではなく、お金を損する。地元に入る金よりも、地元から出て行く金の方が多い。
ちなみに、横浜市は、ふるさと納税で最も損する自治体であり、年間で 100億円を越える。
→ ふるさと納税で 100億円の損: Open ブログ
その中心部に位置するのが、菅官房長の地元だ。年間 30億円ぐらいは損しているだろう。日本でもトップクラスに損をしている自治体だと言える。
つまり、「地元への利益誘導」とは正反対のことをしているわけだ。
──
ふるさと納税に賛成する人の意見を見ると、似た点があることに気づく。「田舎の人は得をする」「制度の利用者は(減税と同じで)得をする」というふうに述べているのだ。
ここでは、物事のメリットだけを見ていて、デメリットを見ない。50円をもらって、100円を損したら、「差し引き 50円の損」と考えるのが普通だが、メリットだけを見ると、「 50円を得した」というふうに見て、喜ぶ。(朝三暮四の猿みたいなものかも。いや、もっとひどい。)
このような発想をする人には、共通する点がある。こうだ。
「物事を定性的に見るだけで、定量的に見ることができない」
メリットとデメリットを、それぞれ量的に見て、相殺された分を差し引いた残りで、全体を総合的に判断する……というのが、定量的な発想だ。これは、「物事を数字で考える」というのに等しい。理系の人ならば、いちいち言われるまでもなく、最初から実行していることだ。
ところが、世の中には、定量的に考えることができない人がいる。そういう人は、メリットがあることだけを見て、デメリットの存在には目をつぶることがある。
そして、その典型が、菅官房長であるようだ。

経歴は下記の通り。
秋田県雄勝郡秋ノ宮村……に家があったイチゴ農家に長男として生まれる。
中学卒業後は、自宅から最も近い秋田県立湯沢高等学校に2時間かけて通学し、第3学年では進学組に所属した。後に、「フライデー」から「特に目立った成績ではなく、姉が進学した北海道教育大学を受験したが不合格となった」と報道されたが、……(略)。
高校卒業後、集団就職で上京する。「東京へ行けば何かが変わる」と夢を持ち上京したが、秋田時代と変わらぬ日々を板橋区の段ボール工場で過ごし、現実の厳しさを痛感して2ヶ月で工場を退職。その後は大学進学を志すようになり、……上京から2年後に「授業料が最も安かった」という理由で法政大学法学部政治学科へ進学する。
法政大在学中には警備員や新聞社、カレー屋のアルバイトで生活費と学費を稼いでいた。一方で、大学の空手道部に4年間所属し、三段の段位を取得している。
( → 菅義偉 - Wikipedia )
学歴を見る限りは「法政大・法学部卒」のようだが、実態は「法政大・空手部卒」であるようだ。頭のレベルも、推して知るべし。その政治手法は、「理屈で論破する」よりも、「権力で恫喝する」というものであろう。
ちなみに、彼とそっくりな体質を持つプーチンは、柔道が得意だ。
KGBに入るためにはスポーツ(格闘技)を身につけるのが有利であったために柔道を身に付けており、段位は柔道八段である。称号は、サンボと柔道のロシア連邦スポーツマスター。2005年12月よりヨーロッパ柔道連盟名誉会長を務める。また国際柔道連盟(IJF)の名誉会長でもある。
( → ウラジーミル・プーチン - Wikipedia )
[ 付記 ]
この官僚(平嶋彰英)は、菅官房長に具申したそうだが、致命的な失敗をしたと言える。
彼が具申したのは、「正しいことを言えば理解してもらえる」と思ったからだろう。いかにも能吏の考えそうなことである。「どうせ東大卒だろう」と思って調べたら、実際に東大卒だった。
→ 平嶋彰英 - Wikipedia
しかし、「正しいことを言えば理解してもらえる」というのは、相手に知性がある場合に限られる。歴代の首相ならば、東大卒が多かったので、相手に知性があるという期待は満たされただろう。
しかし、安倍首相(成蹊大卒)も、菅官房長(法政大卒)も、ともに Dランクラスの大学卒なのだ。平均的な大学生のレベルを下回っているのだ。こういう相手に、「正しいことを言えば理解してもらえる」というのは、根本的に間違った期待であると言える。
東大卒の正統派のお坊ちゃまには、およそ理解できないことなのだろう。
これはちょうど、「話せばわかる」と相手に向かっていったら、銃弾で撃ち殺された……という犬養毅に似ている。
→ 五・一五事件 - Wikipedia
菅義偉を、まともな文明人だと見なすと、彼の政治的方針はまったく理解できない。しかし、好き嫌いの気分だけで物事を決める非文明人だと思えば、彼にはどんな理屈を言っても通じないとわかるはずだ。
人食い人種に向けて、信頼の握手の手を出したら、首をかっ切られて、食われてしまった……という感じだ。
菅義偉に向けて、そんなことをしてはいけないんだ。
反知性的政権運営をされてた中心的メンバーのお一人ですから、ムベなるかなであります。
の代表例として、
1)異次元緩和をダラダラと続けたこと(極度の円安誘導も)
2)特別法を差し置いて一般法を優先させたこと
など多数散見されるところであります。
何より政府負債残高が全く意味がない数字であることを実証した。
日銀が国債の大部分を買い取ることで財政再建をほぼ達成してしまった。
残念なのはそのあとの機動的財政支出が不十分だったことで、さらに消費増税でだいなしにしてしまった。
菅はさらに消費税引き上げを考えているようで、日本を途上国にしたいのかと気が狂っているとしか思えません。
インバウンドなんて、三流国・発展途上国がやることですが、あさひ様も書いてるように、政府は国を途上国へ貶める政策しかしないですね。
この国、本気で終わるのでしょうか。
よく聞く言葉で、学校秀才が仕事ができないのはよく見る
社会ですぐ役に立つことを学校で教えるようにすれば
学校なんて無意味という反知性主義もなくなるのではないか
は是非教えて頂きたいと思います。
非力な秀才の私もよくぶつかる壁です。
この歳から空手もやれません。
A橋下徹がTwitterで
A意見しただけで更迭した
なら菅さんが問題だが、
B政治的決定を公務員が拒否した
なら総務官僚が問題だ。
と述べていることについて評価を伺いたいです。
黙って従うか、辞表を出すか。
詳しく言うと:
普通に大臣と職務的に仕事をしていればいい。
わざわざ自分の省庁の枠を越えて、官房長のところに乗り込んだりしなければいい。それは虎の檻に自ら入り込むようなものだ。食い殺されて当然だ。
> 橋下徹
アホは無視していい。
「菅さんに進言したのは、自治税務局長としての職責を果たしたかったからです。私は当時、がんから生還した直後でしたが、自分がここで責任逃れすれば、死ぬ時きっと後悔するだろうと思いました」
https://www.asahi.com/articles/ASN9C3HB9N97UPQJ009.html
https://www.asahi.com/articles/DA3S14619552.html
──
残りの寿命も短いとのことなので、死ぬ前に覚悟があったんだろう。「蜂は一度刺して死ぬ」というふうな。
この役人は、この一事で、歴史に名を残した。
追加情報もありがとうございます。
国は何がどうなっても数年以内に潰れることはないのですが、民間の場合はそれがあるんですよね。
残念ながら(?)この官僚と違って僕の人生はあと半世紀程度あるので、転職するか、最後までイエスと言い続けて見届けるか、よく考えて選択します。