2020年09月06日

◆ 世界の感染者数(コロナ)

 世界におけるコロナの感染者数は、最近ではどうなっているか? 

 ──

 日本の状況については、前項で示した。「第2波は、いったん急増したあとで、8月冒頭から漸減しつつある」と。
 では、世界の状況はどうか? 

 もちろん、世界の統計データをいちいち見ればわかる。
  → Worldometer
 しかし各国の個別データを、いちいち開いて見るのは大変だ。

 ──

 ここで、朝日新聞がデータをまとめた記事を示した。
  → (新型コロナ)世界の感染横ばい、再燃リスクなお 米などで減少、増加続くインド:朝日新聞

 このグラフを見ると、各国の状況がわかる。(新規感染者数)
  ・ 世界全体では、7月上旬までは急増だが、以後は頭打ち。
  ・ その理由は、米国とブラジルで急増が止まったから。
  ・ 欧州では、夏の急増が止まらない国もある。インドも。
  ・ 南半球の南アフリカでは、冬のピークを越えて減少。
  ・ 日本と同じパターンは見当たらない。(第1波のあとで、第2波があってから、第2波が低下した、というパターン)


 以上を見ると、共通した傾向は見られないので、各国ごとの事情があるとしか言えない。
  ・ 米国では、マスク義務化の効果があったらしい。
    → 米国では、マスク義務化 - Google 検索
  ・ ブラジルは、改善したというより、大感染の状況で頭打ちになっているだけらしい。
  ・ Worldometer で人口あたりの累積感染者数を見ると、米国、ブラジル、チリ、ペルーが傑出している。(100万人中、2万人。つまり感染率が2%)
  ・ Worldometer で欧州の感染者数を見ると、フランス・スペインでは急増し、英国・イタリア・ドイツでは緩い増加だ。いずれも減少傾向にはない。
  ・ 日本だけは第2波が収束傾向にある。


 ──

 日本が特別な状況にあることについては、理由ははっきりとしない。前項でも軽く言及したが、仮説が考えられる程度だ。
 ただ、ひょっとしたら、次の仮説も成立するかもしれない。 「日本では第2波が急拡大してから減少に転じたのは、ウイルスの変異があったからである。第1波のウイルスには集団免疫が働いて、いったん縮小した。その後、ウイルスが変異したが、それには集団免疫が働かなかったので、第2波のウイルスが急拡大した。その後、8月冒頭のころになると、集団免疫が働いてきて、また第1波のころと同じように、減少に転じた」

 これが成立するとしたら、次のようになる。
 「もともとマスク必須によって、日本では感染倍率が低かった。ただし変異したウイルスが新登場すると、それは感染力が非常に強いので、マスクの効果も少なかった。しかし、集団免疫が聞くようになると、マスクの効果と相まって、感染者数を減らす効果が生じた」

 こういうシナリオは、考えられることは考えられるのだが、ちょっと信頼性が低い。
  ・ ウイルスの変異というのが、信頼しがたい。
  ・ 集団免疫が起こったというのが、信頼しがたい。

 というわけで、信頼性は低い。ただし、明白に否定しきることもできない。そこで、とりあえずは、可能性のある仮説ということで、ここに書き留めておく。



 【 補説 】
 集団免疫については、スウェーデンの状況が参考になる。もともと集団免疫の方針を取って、何も対策しなかったからだ。
 そのスウェーデンの状況はどうかというと、「7月下旬までは増えたが、以後は減少している」という結果になっている。これは、「集団免疫という方針が成功した」ということになりそうだ。
 とはいえ、感染治まりつつあるという意味では成功だが、これまでの累積死者数を見ると、英国・フランス・イタリアの2倍、ドイツの3倍である。これでは「成功した」とは言いがたい。

 仮にこのあと冬になって、「英国・フランス・イタリア・ドイツでは、冬の死者が大量に発生したが、スウェーデンでは集団免疫のおかげで冬の死者はあまり発生しなかった。累積死者数では、英国・フランス・イタリア・ドイツと同程度になった」というふうになれば、そのとき初めて、「スウェーデンの集団免疫戦略は成功した」と言えるだろう。
 しかしながら現段階では、他の欧州諸国を大幅に上回る死者数があるので、今のこの段階では、スウェーデンの方針が成功したかどうかは、何とも言えない。
 
 ただし、経済的効果という点では、これは成功している。他の欧州諸国のように、ロックダウンで(経済活動停止による)経済的損失が大幅に出たわけではないからだ。

 とはいえ、「だからスウェーデンを見習うべきだ」ということにはならない。同様の「集団免疫戦略」を取った南米諸国は、2倍以上の死亡者(死亡率)を出して、大失敗しているからだ。米国も大失敗している。
 スウェーデンが曲がりなりにも成功しているように見えるのは、同国の特有の事情があるせいかもしれない。(たとえば、人口密度が低いとか、人々の衛生レベルが高いとか。……いずれも、南米とは違う。米国とも違うようだ。)
 
posted by 管理人 at 11:17| Comment(1) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 参考記事。

 「仏、新規感染者8900人超 過去最多」
  → https://news.yahoo.co.jp/articles/941a04edb36916c808d31e5ae2f5c43d66eab3cf
Posted by 管理人 at 2020年09月06日 11:25
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