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(1) 第2波の致死率のデータ
第2波の致死率のデータが出た。第2波はまだ終わったわけではないが、8月19日までのデータ。
国立感染症研究所は、新型コロナウイルスの感染者のうち、亡くなった人の割合を推計したところ、第2波では 0.9%で、第1波より大きく減ったと発表しました。
致死率は、1月から5月のいわゆる「第1波」は、5月末時点で、5.8%で、6月以降のいわゆる「第2波」では、8月19日時点で 0.9%でした。
( → 第2波コロナ致死率「0.9%」大きく減る|日テレNEWS24 )
致死率は、第1波で、5.8%、第2波で 0.9%だと判明したわけだ。
さて。本サイトでも同様の推計を前に出したことがある。それを覚えている読者も多いだろう。で、「当たったかな?」と興味津々であろう。
そこで、該当箇所を示そう。こうだ。
→ 第一波と第二波の致死率: Open ブログ(8月02日)
コロナの第一波と第二波では、致死率が異なる。第一波では 5.6%だが、第二波では 0.86% と激減する。
この数字は、今回の数字と、ほぼ一致する。しかも、提出した日付は 8月02日だ。1カ月以上も早い。その時点で、ほぼ正確な数字を出していたことになる。
ついでだが、国立感染症研究所が前に出した数字が間違っている、と指摘したこともあった。
→ コロナ致死率の政府データ: Open ブログ
これについては、国立感染症研究所が今回、自分で修正している。
→ 高齢者の致死率「第2波では低下」 国立感染研が計算方法精査|TBS NEWS
「計算方法を精査したところ……分かりました」というふうに、前回の数値が誤りだったことを(実質的に)認めている。
ただし、「間違いでした、ごめんなさい」というふうには述べようとしない。単に新たな数字を出しているだけだ。
沽券に関わるのかもしれないが、科学者としては、誠実さに欠ける態度だね。自らの誤りをきちんと認めないのだから。
どうせなら、本サイトみたいに、《 訂正 》 と銘打った単独記事を出すべきなんだが。
(2) 東京の感染者の増加と減少
東京では、感染者が急増したあとで、最近ではなだらかに減少している。それはどうしてか?
理由はいろいろと推定されているが、私としては、「会食」を理由としたい。
感染が急増したのは、ホストクラブや酒場などで、マスクなしの会食・飲食が理由だった。東京都や政府が「会食時にはマスクを」とか、「会食するな」とか、そういう政策を取れば良かったのに、そうしなかったので、感染が急増した。
最近になって、一転して急増が止まって、なだらかに減少するようになった。東京でもそうだし、全国でもそうだ。これは、なぜか?
たぶん、「会食をやめようとする注意深い人が増えてきた」せいだと思う。(私見だが。)
別途、「集団免疫で感染増加にストップがかかった」という説もあるが、これは成立しないと思う。
・ 8月冒頭をピークにして、増加から減少に転じた。
・ 全国の各県でいずれも同じ傾向がある。
この二点から、「集団免疫になった」という説は成立しないはずだ。仮にそれが成立するなら、全国で一斉に同じ傾向になるはずがないからだ。
ただ、お盆のころを境に、一挙に感染の急増が止まったことについては、ちょっと理解しがたい。
第一波ならば、「海外からの流入が途絶えた」ということで、急激な変化を説明できた。
しかし今回は、8月冒頭のころに急激な変化があった(それまでの急増が一転して、減少傾向になった)ことについては、はっきりとは説明しがたい。

出典:Worldometer
強いて言えば、(こじつけふうだが) Go To キャンペーンのせいかもしれない。政府がこれを推進したので、人々はこれを反面教師として、逆に警戒心を高めた。「旅行に行くのは危険だな。会食するのも危険だな」と思うようになった。それまでの(緊急事態宣言の解除後の)たるんだ気分が、一挙に引き締められた。
これはちょうど、アベノマスクに似ている。安倍首相がアベノマスクをしたら、人々はアベノマスクをする代わりに、これを反面教師として、不織布マスクをするようになった。政府のピンボケ政策のおかげで、逆に国民は正しい方針を取った。
GoTo も同様の効果を持ったのかもしれない。政府があまりにも馬鹿げた政策を取ったから、「これじゃやばい」と思って、人々は自らを律して、会食などの危険行動を避けるようになったのかもしれない。
(3) 高齢者の致死率
第1波と第2波では、高齢者の致死率はどう変わったか? もともと高齢者の致死率が高いことはわかっていたが、第1波と第2波では違いはあるか?
これについて調べようとしたが、両者を区別したデータは見当たらなかった。最初から一定時期までの通算を記したデータがあるだけだ。そのいずれも、似た傾向を見せている。
→ 特設サイト 新型コロナウイルス 年代別感染者数・死亡率データ|NHK(〜4/19)
→ 東京都の調査で分かった。新型コロナウイルスで死亡しやすい人の特徴 - シニアガイド(〜6/30)
→ 国内コロナ死者1千人、8割が70代以上 致死率も高く:朝日新聞(〜7/15)
→ 新型コロナ 重症化しやすい人は? 肥満、男性、糖尿病、喘息などそれぞれのリスクについて(忽那賢志) (〜7/22)
※ 1番目の数値だけが、致死率が低く出ているが、これは、統計上の処理のせいだ。感染してから死ぬまで2〜3週間かかるが、その分を考慮しないと、感染したばかりの人が多いので、統計上の致死率が低くなる。その点を補正するべきなのだが、1番目のデータでは補正されていない。累積期間が短いと、この影響が大きい。
※ 2番目以後では、累積期間が長くなっているので、補正しなくても、データの歪みが小さくなる。
ともあれ、ざっと見たところでは、第1波と第2波では、高齢者の致死率はあまり差はないように見える。どっちみち、高齢者ほど致死率が高くなる。70歳以上で急激に高くなる。
【 追記 】
次のデータはある。
70歳以上の高齢者の致死率は 8.7%となり、実際には低くなっていたことを明らかにしました。
( → 高齢者の致死率「第2波では低下」 国立感染研が計算方法精査|TBS NEWS )
高齢者の致死率そのものは、第2波では下がっている。ただしその理由は、「軽症者が増えたせい」ということが大きな理由であるらしいので、一概には第1波と比較できない。
知りたいのは、絶対的な致死率の低下ではなくて、死亡者の全体において、他の年齢層と比較した場合の、高齢者の占める比率である。他の年齢層に比べて、高齢者は多くなったのか、減ったのか。……この比率は、どうも、あまり変わっていないらしい。
70歳以上の高齢者の致死率は、第1波=25.1%に対し、第2波=8.7% とありますが・・・
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朝日新聞の記事のリンク(〜7/15)が間違っていたので、リンクを修正しました。
> (国立感染研が8/19までのデータをまとめた結果、)致死率は、第1波で、5.8%、第2波で 0.9%だと判明したわけだ。
⇒ ちょっと古い話ですが、本ブログ2月29日付の記事、「◆ 新型肺炎の検査が増えたら……」(下のリンク)のコメントの中で、致死率について自分の意見を提示しています。
http://openblog.seesaa.net/article/473816841.html#more
Posted by かわっこだっこ at 2020年03月01日 05:39
Posted by かわっこだっこ at 2020年03月01日 06:03
この時に私は、中国テンセント(勝迅)QQなどのサイトから収集した、中国における先行データ(中国全体、武漢を含む湖北省、湖北以外)を示しながら、以下のように述べています。
@ 中国でのこの病気の致死率は、「湖北以外」のデータから、最終的に1.0%前後に落ち着くことになるかもしれない。
A ただし、1.0%前後というのは、この病気の本来の実力というか、感染の封じ込めがある程度行われた場合の値。
B 「武漢を含む湖北省」では既に人が大勢死んでいるので、この初期の死亡者(数)はリカバリできず、最終的な致死率は6〜7%になりそう。
C 日本でも、今後のフェーズで感染拡大の抑制に成功すれば、「湖北以外」と同じく1.0%前後(或いはもう少し低い)致死率ですむが、何らかの要因が重なって感染爆発を起こしてしまえば、医療崩壊や社会インフラのダウンを招き、「湖北省」と同じ6〜7%の致死率にもなりかねない。
う〜ん、凄く当たっちゃってますが、まあそれはともかく、日本の致死率を評価すると、
・第1波(5.8%)は、「武漢を含む湖北省」より少し低い程度で、医療崩壊気味の高い値。
・第2波(0.9%)は、「湖北以外」と同等で、先進国なら本来これ以外の値。
ということになるでしょうか。
(誤)・第2波(0.9%)は、「湖北以外」と同等で、先進国なら本来これ以外の値。
(正)・第2波(0.9%)は、「湖北以外」と同等で、先進国なら本来これ位の値。
第2波の感染者は、濃厚接触者を対象に PCR 検査をかけたもので、大半が無症状者。つまり、発症していない。発熱もしていない。当然、致死率も低い。
両者は「感染者」の意味が違うので、致死率の意味がもともと違っています。
アメリカでは毎日、5万人が感染して、千人が死亡しているので、致死率は2%。
同様に、ドイツでは、致死率は 0.5%。
感染者の範囲をどうするかで、最終的な致死率が変動する。
国ごとに検査状況が違いすぎるので、同様な意味の数字として扱うべきではない。
> 第1波の感染者は、高熱を発した発症者のみ。初期は 37.5度以上が4日間以上続いた場合。
> 第2波の感染者は、濃厚接触者を対象に PCR 検査をかけたもので、大半が無症状者。つまり、発症していない。発熱もしていない。当然、致死率も低い。(中略)
> 感染者の範囲をどうするかで、最終的な致死率が変動する。国ごとに検査状況が違いすぎるので、同様な意味の数字として扱うべきではない。
⇒ もちろんそうなんでしょうね。といいますか、筆者が本稿内で提示された『TBS NEWS』の末尾にも、感染研のコメントとして、それに近いことも書いてあるようですね(国どうしの比較はしていませんが)。
<<引用>> 第2波での致死率が低くなったのは、検査体制が整備され軽症者などが多く見つかるようになったことなどが影響している可能性があるということです。<<引用終わり>>
⇒ であるならば、本稿の(1)のパートでは、まず、その部分が要旨になるのではないでしょうか。 一方で、このパートでも紹介されている過去記事では、それとは異なる見解も書かれています。
→ 第一波と第二波の致死率: Open ブログ(8月02日)
http://openblog.seesaa.net/article/476633659.html
<<引用>> 致死率は、第一波では 5.6%だが、第二波では 0.86% と激減する。全体(通期)では 3.8% である。なお、第一波に比べて第二波では激減しているのは、アビガンの効果だと推定される。第一波の致死率は(高齢化の度合いを考えると)日本も他国と大差がなかった。しかし第二波では、明らかに他国と比べて激減している。<<引用終わり>>
⇒ もちろん、本ブログをしっかりと読めば、別途いろいろと考察されていることがわかります。
→ アビガンの話題3: Open ブログ(8月22日)
http://openblog.seesaa.net/article/476974647.html#more
<<引用>> 結局、次のようにまとめることができる。・ 第一波の日本の死者数からの推定 → 死者を4分の1に。・ 第二波の日本と外国の死者数からの推定 → 死者を2分の1に。このくらいの効果があると推定されるわけだ。
ただし、私としては、(アビガンには)もうちょっと大きな効果があると推定している。(後略)<<引用終わり>>
⇒ また、次のような考察もありました。
→ 第一波と第二波の致死率2: Open ブログ(8月05日)
http://openblog.seesaa.net/article/476675676.html#more
<<引用>> 以上から、こう推論できる。
検査を増やして無症状者まで大量に検出することで、致死率を1%程度まで下げることができる(ドイツ)。その上でさらにアビガンを併用している東京都では、致死率は 0.1〜0.2% ぐらいにまで下がっている。その両者の差が、アビガンの効果だ。
※ 東京都は、ドイツほど大量に検査をしているわけではないので、検査によるだけでは、致死率を 1.5%程度まで引き下げることはできない。せいぜい 2%にまで下げる程度だろう。とすれば、2%と 0.1〜0.2% との差が、アビガンの効果だと言える(致死率を5分の1以下に引き下げる効果がある)。<<引用終わり>>
⇒ いろいろと要因があって直接的な比較ができないのはわかりますが、本稿だけを読んだ人は混乱しそうです。また、それでも比較をしようと苦労をされているのは伝わりますが、定量化が大雑把ですし、決めつけ気味に感じます。内容に齟齬があるようにも思われます。一度、再整理されてはいかがでしょうか。
今の段階で整理しても、またすぐに訂正の必要が出てきそうです。
また、推定・推量が非常に多くて、断定からはかなり懸け離れているデータも多々ある。「情報が何もないよりは、曖昧な推定でもあるだけマシ」というぐらいのつもりの話も多い。
本サイトでは、学術誌みたいな確実さは求められず、日報みたいな速報性を重視しています。「少しでも早く真実に一歩近づきたい」という感じ。「はっきり確定するまでは書かずにおく」というのとは逆。