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100度の湯と 35度の水を、それぞれ冷凍庫で凍らせると、100度の湯の方が早く凍る。
この現象を、発見者の名にちなんで、「ムペンバ効果」という。
この現象は、不思議だが、何度も確認されたので、間違いない。しかし、その理由が未解明だ。仮説はいろいろとあるが、はっきりとしない。
→ ムペンバ効果 - Wikipedia
→ お湯が水より速く凍る:「ムペンバ効果」の再現に成功 | WIRED.jp
→ お湯は水より早く凍るって本当? 科学者たちが挑む“ムペンバ効果”の謎
→ 「水よりお湯の方が早く凍る!」 「ためしてガッテン」実験は本当か
→ 「水よりお湯早く凍る」論争沸騰 日本雪氷学会で本格議論へ
→ お湯が冷水よりも早く凍る「ムペンバ効果」のナゾが解明される!
最後のページでは、「解明される! 」と書いているが、別に解明されたわけではない。また、こうも書いている。
「より熱いモノが先に冷える」「より冷たいモノが先に熱される」という現象を既存の熱を扱うシステム(エアコンや発電)などに組み込むことができれば、私たちの生活を大きく変える、温度革命が起こるかもしれませんね。
物理学の原理に反する現象のように見えるので、革命的な事態が起こるかもしれない、と期待している。
いろいろと仮説が出ているが、結局、はっきりとしたことはわからない。困った。
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そこで、困ったときの Openブログ。解決案を出そう。
まずは、次の現象があることに着目しよう。
「冷凍庫で氷を作ると、白く濁った氷しかできない。透明な氷を作るには、どうすればいいか? 100度に沸騰させた湯から氷を作るといい。そうすると、透明な氷を作ることができる」
この理由は、こうだ。
「 100度に沸騰させると、水の中の気泡が追い出される。なかの水には空気が含まれなくなる。その状態で凍らせると、気泡の少ない氷ができるので、透明になる」
これを逆に言えば、こうなる。
「普通の水には、空気が多く含まれるので、そのまま凍らせると、水の中の空気が気泡となって、白く濁る」
以上のことから、論理的に、次のことが結論される。
「お湯から凍らせると、単に水が凍るだけなので、次々と結晶が成長する形で、速やかに氷ができる。
一方、水から凍らせると、途中で気泡ができてしまう。すると、結晶がなかなか成長しない。また、気泡が熱伝導を邪魔するので、次の結晶化が遅れる。その二点が理由となって、全体が凍るのに時間がかかる」
こうして、冒頭の疑問への回答が与えられた。 Q.E.D.
[ 付記1 ]
この説明は、「不純物があるから」という仮説に似ている。しかし、空気は普通、不純物には含まれないだろう。水をすべて蒸発させたとき、あとに空気の残滓が残るわけではないからだ。
従って、「含まれる空気が凍結を邪魔するから」という説明は、これまでにはない、新たな説明となる。
[ 付記2 ]
本項の説明ゆえに、「物理学の原理に反する現象のように見えるので、革命的な事態が起こるかもしれない」という期待は、当てがハズレることになる。
なぜなら、次のように言えるからだ。
「温度が高い方が早く凍るということは、温度が高い方が少ないエネルギーで済むということを意味しない。時間は短くて済むが、必要なエネルギーは多いからだ。
逆に言えば、ただの水から凍らせる方が、時間はかかるが、必要なエネルギーは少なくて済む。水だと時間がかかるのは、単に熱伝導率が悪いから時間がかかるというだけのことであって、より多くのエネルギーを必要とするからではないのだ」
結局、物理原理に反するように見えても、単に熱伝導率の問題にすぎなかった、というわけだ。真実が見えてしまえば、あっけない結論となる。
[ 付記3 ]
水だと時間がかかる理由も、次のように説明できる。
早く凍り始めるのは、お湯でなく、水の方である。水の上部からだんだん凍り始める。やがて周辺部も凍り始める。そうすると途中で、下半分の中央に気泡が集まる。残るのはここだけだ。
こうなると、水を凍らせるというより、気泡を凍らせる必要が出てくる。しかるに、気泡は熱伝導率が低いので、なかなか凍らない。この部分を凍らせるのに、非常に時間がかかる。
そうする間に、湯の方がどんどん凍っていって、いつのまにか、中心まできれいに凍ってしまう。
それでもまだ、水の方は、気泡が凍らないままでいる。
結局、ウサギと亀だ。水は、最初は駆け足で進んだが、最後の気泡のところで、のんびりグズグズしていた。そうするうちに、のろまな湯が着実に進んでいって、いつのまにか水を追い越してしまった。
「もしもしお湯さん、お湯さんよ。世界のうちで、おまえほど。凍るの遅いものはない。どうしてそんなに遅いのか」
「何とおっしゃるお水さん。それなら私と凍り比べ。中心全部凍るまで。どちらが早いか凍り比べ」
【 追記 】
「ムペンバ効果は誤認だ」
という説もある。実際、次のような理由が考えられる。
「冷凍庫にお湯を入れると、冷凍庫内の温度が上昇するので、センサーがそれを検知して、冷凍能力をフル稼働させる。だから、短時間でお湯が凍る。
一方、水を入れると、冷凍庫内の温度が上昇しないので、冷凍能力はあまり稼働しないままだ。だから、水がなかなか凍らない」
つまり、冷凍庫の冷凍能力が稼働するかどうかの違いだ、というわけだ。案外、こういうことも多く起こりそうだ。
ムペンバ効果が本当に起こるかどうかは、家庭用の冷凍庫で調べるのではなく、大型の冷凍室を使って、同一条件で水と湯を比較するべきだろう。

今度実験してみよう。
なお、水の量は、製氷皿の水の分。
ヤカンの水を注ぐときに、空気を混ぜないように注意。でも、難しそう。
いったんヤカンから平鍋に移した方がいいかも。それなら、空気が混じりにくい。
ムペンバ効果が現れる場合
アルミカップにA水10度CとBお湯60度Cをそれぞれ入れ、冷凍庫の金属部に置く。
金属部は霜が付いている。
Aは霜の上に、Bは霜を溶かし金属部に触れる状態。
冷却能力が充分にあれば、Bの接触面は最初は液化しすぐ凍り始める
つまり熱伝導差が生じているため、Bの方が早く氷結する。
(液量が小さければ起きるが大量なら起きない 冷却能力と液量の比率も重要な要因)
ムペンバ効果が現れない場合
冷凍倉庫か無風の氷点下の屋外にA、Bを糸で空中に吊す。
熱伝導は気体だけなのでAが早く凍る。
条件を吟味しないまま、「お湯の方が早く凍る」とだけ言っても意味がない。
庫内は冷媒用の通路が走っており、その通路の真上は冷やしやすい。
スポンジ等を敷いてカップを浮かせ冷却ムラを除去しなくてはならない。。
それなのに無頓着に金属体に直に置いている。霜の付き具合も変動要因。
温度もそれぞれの値次第で逆転現象も生じる。
本サイトで指摘のあった水の成分も影響する。容器の熱伝導率 容器の厚さ 底の形状
様々な要因がある 何をもって氷結とするかは瑣末なので無問題。
NHKの実験は置き方が悪かった。冷媒通路の場所による伝導差を無視したように記憶している。
https://logmi.jp/business/articles/178838
引用:ムペンバ効果を研究している科学者たちの主張は、「液体が温まるときに起こる水流の伝達によるものではないか」ということです。(中略)また、「温かい水は溶けているガスが少ないために、このような現象が起こるのではないか」という主張です。(引用終わり)
気泡などを追い出すには、一度沸騰させるのが手っ取り早い方法ですが、街の氷屋さんの製法は「ゆっくり凍らせる」のだそうです。家庭用冷蔵庫では -20℃程度で凍らせてしまうのですが、こちらは -10℃で凍らせるのだとか(下のリンクの記事)。
https://style.nikkei.com/article/DGXDZO42632040V10C12A6W03201/
この記事には、断熱材や熱循環用ポンプを利用した「簡易製氷キット」の作り方も載っています。これが手間だという人は、製氷皿の下に割り箸などを置いて(多少の断熱効果が得られる)凍結のスピードを遅くする方法も紹介されています(『学研ひみつシリーズ』にも書いてあったような。ただし、いま主流となっている、タンクから内部の製氷皿に水が自動で供給される方式の冷蔵庫には使えませんが)。
なお、こうやってゆっくり凍らせた(不純物が少ない)氷は、お酒など飲み物に入れたときに、溶けにくくて長持ちすると聞きました。これらの知見は、ムペンバ効果、もしくは場合によってはその逆の現象が起こるメカニズム(凍り始めから全凍結までの伝熱のプロセスを含めて)を考えるヒントになるような気がします。