【 訂正 】 二つ目の業績は、取り消します。実は谷垣総裁によるものでした。
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前項で述べたように、安倍首相の業績のほとんどは、悪事である。なし遂げたことのほとんどは、すべて削除して、元に戻してしまいたいようなことばかりだ。
しかしながら、例外的に、まともな業績もいくつかある。たとえば、保育所をきちんと増やしたことだ。(十分ではないが、増やそうと努力はしたし、実際、かなり増やした。)
とはいえ、そういう細かな(当たり前な)業績を別として、彼独自の傑出した業績はあったか?
実は、あった。二つある。
【 訂正 】 二つ目の業績は、取り消します。実は谷垣総裁によるものでした。
金融緩和
一つは、金融緩和だ。それによって不況の経済を、さらに悪化させることを防いだ。いわゆるアベノミクスである。
アベノミクスそのものは、成功したとは言いがたい。経済成長率は先進国中で傑出して低い。日本経済はその間に大幅に没落した。成功は失敗かで言えば、失敗の部類だ。
しかしながら、それでも、最悪にはしなかったというぐらいの意義はある。特に、金融緩和をしたことは、十分に業績に数えていい。
なぜか? 金融緩和はただの当り前の業績であって、特筆するようなものではないのでは? ── そういう疑問も生じるだろう。だが、実は、安倍首相以外の多くは、財政再建優先の緊縮派だった。民主党政権もそうだった。(増税派の菅直人政権と野田政権が典型的だった。)
そういう緊縮派を脱したということだけでも、安倍首相には「金融緩和」という立派な業績があったと言える。
ただ、それは、過剰に評価されがちだった。「金融緩和」は当り前の政策なのだが、ことさら「安倍首相の素晴らしい業績だ」というふうに評価されがちだった。
さらに、実際以上に過剰に高評価されている面もある。たとえば、株価が上がったことだ。その理由は、次の点による。
・ 2008年のリーマンショック後の不況からの回復。
・ 2011年の東日本大震災の後の不況からの回復。
これらのあとでは、株価(および経済)が回復するのは、当たり前のことだ。誰が担当しても、自動的に上昇機運に乗るはずだ。
その上、日銀が大量の資金を投入して、株価を高めに操作したという効果もある。

というわけで、いろいろと過剰に評価されがちだったのだが、その面を差し引いても、「金融緩和」は安倍首相の大きな業績であったと言える。
より正確には、「財政再建路線」「緊縮路線」を取らなかった、ということに意義がある。
( ※ 金融緩和路線そのものは、経済成長をもたらさなかったので、失敗ではあった。ただし、悪いことをしなかったというぐらいのプラス面はある。)
( ※ 要するに、効果はたいしたことはなかったのだが、他の政治家がダメダメぞろいだったので、そのなかでは目立つほどの特筆すべき業績だったと言える。まわりが0点ばかりなら、50点でも目立つような優秀さとなる。)
【 訂正 】 以下は、取り消します。実は以下の業績は、谷垣総裁によるものでした。(当時の自民党総裁について、安倍総裁と谷垣総裁を間違えていました。)
政権奪取
安倍種首相の最大の業績は、歴代最長の政権を維持したことだろう。第1期との通算では、2019/08/24 の段階で新記録となった。第2期の単独でも、2020/08/24 の段階で新記録となった。その間に、何か立派なことをしたのかと言えば、そうでもないのだが、とにかく、在職期間だけは最長となった。
だが、特筆するべきは、その数字だけではない。質的にもめざましい業績があった。それは、民主党政権を打破したことだ。
菅直人の民主党政権は、当時、非常に高い支持率を誇っており、このまま長期的に安定した政権が続くと思われた。自民党はこのまま永遠に在野に落ちたままになると思われた。ところが、安倍首相は、その能力を駆使して、最強と思えた菅直人政権を突き崩したのである。これは安倍総裁(当時)にしかできないことだった。
安倍総裁は何をしたのか? 東日本大震災という国難において、民主党政権の政策を徹底的に妨害したのである。
このとき、国難であるのだから、常識的には「挙国一致」という方針の下で、国家の再建を最優先するべきだろう。誰もがそうするべきだと思った。自民党議員でさえ、ほとんどは「民主党政権の国家再建に協力しよう」と思った。
しかし安倍総裁だけは違った。参議院では野党が多数派を握っているということを利用して、徹底的に民主党の政策を妨害した。その最大のものは、「復興庁の創設」を拒否したことである。「今すぐ復興庁をつくって、一元的に震災対策をしなくては」という民主党政権の方針を拒否して、徹底的に妨害した。そしてかわりに、「1年後に創設」という遅延策を飲ませた。
それ以外にも、何もかも、あらゆる面で民主党政権の方針を妨害した。民主党政権は、何も法案を成立させることができなくなり、立ち往生するハメになった。
この手の妨害でも最大のものは、「こども手当」だろう。これで金が払われると、民主党の公約が実現したことになるので、自民党と公明党は徹底的に妨害して、法案を成立させずに葬った。
これに味を占めたのか、東日本大震災のときには、政府の復興政策を徹底的に妨害して、政府を立ち往生させた。
そのあとで、デマを振りまいた。
「福島原発が暴走したのは、菅直人が注水作業を妨害したからだ」
「復興が遅れたのは、菅直人がヘリコプターに乗って、福島の現地を見に行っていたからだ」
《 注 》 当時は回線が寸断されて、マスコミは麻痺状態であり、東北の情報は東京にはまったく伝わってこなかった。電話線も不通だった。テレビにも情報はほとんど流れなかったし、新聞でも記事に掲載された情報はわずかだった。
とにかく、日本の状況がうまく行かないことを、すべて「菅直人のせいだ」というふうにデマを振りまいた。そして、そのデマを人々は信じた。
その上で、民主党政権の政策を自ら妨害しながら、「民主党は無能だ」「菅直人は無能だ」というキャンペーンを大々的に展開した。そのための資金は、東京電力が莫大な額を提供した。(東京電力は、東電の国有化の危機に瀕していたので、何としても民主党政権を転覆させる必要があったのだ。)
→ 菅直人はなぜ辞任させられたか?: Open ブログ
結局、安倍総裁は、民主党政権を徹底して妨害しながら、その責任をすべて自分でなく民主党政権に負わせたのである。まるで殺人犯が、自分で殺人をしたあとで、被害者の家族を「あいつが真犯人だ」と虚偽の証言をするようなものだ。嘘によって虚構を信じさせ、かつ、自らの犯罪を隠蔽する。
で、結果的に、民主党政権を崩壊させることに成功し、自民党が政権を取り戻すことに成功した。安倍総裁の狙いは大成功。
ただし、その間、国民は大損害を受けた。大震災からの復興は遅れたし、経済的な損失も拡大した。
結局、国民を人質に取ることで、民主党政権を崩壊させ、国民に莫大な損失をもたらすことで、自分は政権奪取という圧倒的な利益を得た。
これはまさしく悪魔的な業績と言える。人間的な心(つまり良心)を持つような人々には、とうていできないことだ。「1億人を殺しても、自分さえ良ければいい」という徹底的なエゴイズムは、安倍晋三という人物以外にはできないような特別なことなのだ。

この人間離れした特別な能力こそ、安倍首相の傑出した業績の根源だろう。仮に、安倍総裁に少しでも人間的な優しさがあったなら、自民党は決して政権を奪取することはできなかっただろう。たぶん今も民主党政権が続いていただろう。
歴史がそういうふうにならなかったのは、安倍総裁に人間離れした特殊な能力(良心の欠如)があったからなのである。
「原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期している」
と答弁したのが、当時の安倍首相その人ですね。
→ http://openblog.seesaa.net/article/465602664.html
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