2020年09月01日

◆ 敵基地攻撃能力

 敵基地攻撃能力について考える。

 ──

 陸上イージスが導入中止になったあとで、かわりに「敵基地攻撃能力を整備するべきだ」という論調がある。「かわりに導入する」という発想には、いささか疑問はあるが、「敵基地攻撃能力を整備するべきだ」という方針そのものは、間違っていないと思う。
 ちなみに、世論調査では、どちらかと言えば賛成論の方が多いようだ。(賛:否)
  → TBS(43:41)
  → 産経(54:38)
  → 日経(37:55)

 それとは別に、朝日の特集記事がある。
  → (記者解説)敵基地攻撃、欠く議論 軍事問題のタブー視、逆手に導入も 編集委員・牧野愛博:朝日新聞
 いろいろと興味深い情報もあるが、次の話が面白い。
 空幕長経験者は「核攻撃を含め、同盟国の日本が攻撃されたとき、米国が必ず報復するという拡大抑止の確約をとる必要もある」と指摘する。
 こうした議論で日本政府が念頭に置くのは北朝鮮よりはむしろ中国だ。中国軍は、音速の5倍超で軌道を変えながら飛行し、主な在日米軍基地を攻撃できる極超音速滑空ミサイル「DF17」や、精密誘導で日本全土を射程に収める「DF21」などを持つ。

 すごい最新兵器だ。こんなものがあったら、陸上イージスなんて、なおさら無効になる。陸上イージスを導入中止にして、本当に良かった。
( ※ 北朝鮮の攻撃に対しても、飽和攻撃を受けたら、まったく役立たずになるので、もともとゴミにすぎなかった。)
 
 では、陸上イージスがダメなら、敵基地攻撃能力はどんなふうにするべきか? 

 北朝鮮


 北朝鮮に対しては、「北朝鮮の先制攻撃を陸上イージスで受け止める」という発想が基本だった。
 しかし、「北朝鮮の先制攻撃」は、考える必要がないだろう。そんなことをすれば、米軍の攻撃を受けて、北朝鮮はたちまち体制崩壊となるからだ。
 では、北朝鮮は何のために大量のミサイルを配備するのか? もちろん、自衛のためだ。つまり、「米国が北朝鮮に攻め込んできたら、報復として、日本や韓国にミサイルをぶち込むぞ。痛いしっぺ返しを受けるぞ」と見せつけることだ。これが北朝鮮の本音である。はっきりと理解しておこう。

 そもそも、北朝鮮の最大目的は、(金正恩の)「体制の維持」である。これが何よりも優先する。そして、それを脅かすような「米軍からの攻撃」を恐れており、だからこそ回避手段としてのミサイルを大量配備するわけだ。
 そして、それを見て、「北朝鮮は日本への先制攻撃を準備している」と勘違いしたあげく、「何とかして陸上イージスで守らなくちゃ」と思い込んでいるわけだ。しかし、その思い込みは、もともとが勘違いの上に基づくのだから、ただの無意味(ナンセンス)なのである。……日本の防衛計画(陸上イージス)は、ただの妄想の上に成立していたわけだ。
( ※ 旧日本軍が真珠湾を攻撃したときに、妄想の上で「何とかなる」と信じたのに似ている。真実を認識できないまま、勝手な妄想に基づいて、全体計画を立てる。馬鹿丸出しだ。昔も、今も。)

 敵基地攻撃能力にしても、同様だ。日本政府は「北朝鮮のミサイル基地を攻撃する」ということを狙っているようだ。しかし朝日記事によれば、
 北朝鮮は移動式発射台を約200台保有するとみられている。

 ということだから、それらの発射台をすべて攻撃して壊滅させることは、ほとんど不可能だ。
 つまり、日本政府の考えているような「敵基地攻撃能力」は、もともと不完全なものなのである。「ろくに効果がない」と言ってもいい。

 では、どうすればいいか? いよいよ結論を述べよう。
 北朝鮮が最も恐れているのは、「体制の崩壊」だ。だから、「敵基地攻撃能力」を狙うのであれば、「体制の崩壊」をめざす攻撃にすればいい。
 そのためには、「北朝鮮のミサイル基地を攻撃する」のではなく、「北朝鮮の全土を陸上戦力で支配する」ことを最終目的とするべきだ。
 具体的には、戦車によって北朝鮮の全土を支配下に置く。(戦車は侵略兵器としては最有力だ。防衛のためには役立たずだけどね。)

 とはいえ、日本は(憲法の規定ゆえに)「他国への侵略」はできない。ならば、韓国軍が北朝鮮を侵略する(名目はただの「国家統一」でいい)のを、支援すればいい。
 その具体策は、こうだ。
  ・ 北朝鮮の航空戦力の壊滅
  ・ 北朝鮮の陸上戦力の壊滅
  ・ 特に国境線(35度線)で、北朝鮮の戦力の壊滅

 こういう形で「北朝鮮の体制崩壊」を狙うことを、最大目標とするべきなのだ。具体的には、空軍基地や陸軍基地への広範な攻撃である。( ※ 都市攻撃は含まない。それは9条違反だ。)

 もしこうなったら、どうなるか? 北朝鮮の戦力が壊滅したあとで、韓国から陸上戦力(韓国軍と米国軍)が押し寄せる。歩兵の師団も大量に押し寄せる。かくて北朝鮮は全土が韓国軍と米国軍の支配下に置かれて、北朝鮮の体制は崩壊する。

 つまり、日本は、自らは兵を出さないが、武器によって米韓の侵略を支援するわけだ。
 これこそが、北朝鮮にとって最も恐れることである。そして、それを避ける方法は、ただ一つ。日本への攻撃をしないことだ。日本への攻撃をしなければ、日本から北朝鮮への攻撃を避けることができるからだ。

 かくて、日本は「北朝鮮への攻撃」を見せつけることで、北朝鮮から日本への攻撃を回避することができる。これで「自衛」が成立する。……したがって、「北朝鮮への攻撃を見せつける」という方法は、自衛権の行使になっているわけだ。当然、憲法違反ではない。(自然権としてある自衛権の行使だから。)

 ※ 実際に北朝鮮を攻撃することについては、憲法上の疑義が発生するかもしれない。しかしながら、「北朝鮮への攻撃を見せかけること」だけならば、上記の理由で、憲法違反にはならない。
 ※ 実際に戦争になったら、憲法を停止する戒厳令で、憲法違反の問題を回避できる。戦争になったら、何でもありだよ。(エヴァンゲリオンで使徒に破壊されるように、日本中が破壊されたら、「憲法違反かどうか」なんて論じている暇はなくなる。)

 ともあれ、以上のようにして、北朝鮮の軍事基地への広範な攻撃手段は、すべて許容される。その具体的な兵器としては、巡航ミサイル、無人ドローン、爆撃機などがある。
( ※ 攻撃手段を持つことと、それを行使することとは、別のことである。行使しない限り、どんな武器を持ってもいいのだ。)
( ※ 逆に言えば、陸上イージスは、金を食ううばかりで効果はないも同然だから、金をドブに捨てるようなものだ。無駄。)

 中国


 中国に対しては、どうするか?
 そもそも、国力からして、中国にはまともに対抗できない。人口では中国が 10倍だが、若者の人口では 20倍ぐらいの差がありそうだ。(日本は老人ばかりだ。)
 経済力でも、軍事費でも、技術開発費でも、中国の方が圧倒的に上回っている。まともに戦って勝てる相手ではない。
 では、日本としては、何を目的とするべきか? こうだ。
 「もし中国が日本を攻撃してきたら、しっぺ返しを受けて、中国もそれなりに大きな傷を負う。虎が犬を攻撃しようとしたら、犬に噛みつかれて、虎は手負いの虎となる。そこに、別の虎である米国が襲いかかったら、中国はあっという間に食い殺される」

 つまり、中国が日本を攻撃したら、日本には勝つことができるが、米国には負けてしまう。……そういう結果をもたらすことを狙いとすればいい。
 だから、日本が中国に対して軍事力を備えるとしたら、その目的は、「中国を倒すこと」でもなく、「中国に致命傷を与えること」でもない。「中国に深刻な軍事的ダメージを与えること」だけでいい。
 「おれはおまえに負けて死ぬが、おれのあとから来る兄さんが、おまえを必ず倒す」
 というふうにするべきだ。こういうふうにすれば、中国は日本を攻撃してこなくなる。

 とすれば、日本が備えるべき方針もわかる。それは、「自衛力の整備」なんかではない。従前の日本は、「自衛力の整備」を重視して、次の方針を取ってきた。
  ・ (航空) F-35の配備
  ・ (海上) ヘリ巡洋艦で対潜水艦攻撃

 これらは、「自衛」のためであれば、有効だと言えそうだ。しかし、国全体の方針としてみれば、あまり有効ではないだろう。なぜなら、中国が日本単独と戦うことはないからだ。(必ず米国も巻き込まれるからだ。)
 戦争になったとき、中国が日本に攻めてくることはなさそうだから、上記のような自衛力は、「使われないまま宝の持ち腐れ」になりそうだ。
 その一方で、中国は日本にミサイル攻撃を仕掛けてくることはありそうだ。そうなると、日本は困る。ミサイル攻撃を止める方法がない。かといって、陸上イージスは配備中止と決まっている。また、たとえ陸上イージスが配備されたとしても、飽和攻撃の前にひとたまりもない。困った。

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 「北朝鮮への対策の場合と同様に、中国が最も嫌がることをやればいい」
 では、それは何か? いくつかの案が考えられるが、私としては、次のことを提唱したい。
 「日本の最西端である与那国島に、軍事基地を設置して、ここから爆撃機を大量に飛ばす。爆撃機で、中国全土に、大量の爆弾を落とす」


 一般に、爆撃機による爆弾の数は、ミサイルの数を圧倒的に上回る。百倍どころか、千倍、万倍にもなりそうだ。それほど圧倒的な攻撃力があるのが、爆撃機だ。
 ただし爆撃機が発進するには、滑走路が必要だ。それが現状では、沖縄にしかない。沖縄では中国から遠すぎる。そこで、与那国島に長距離滑走路(3000m 級)を2本整備して、そこから中国全土に爆撃できるようにすればいい。
  ※ 爆撃機は、当面は F-35 だが、別途、爆撃専用機も用意できるといい。(米軍機も可。)





 ただし、現状でこんな基地を整備したら、中国は激おこだろう。外交関係は壊滅的になりそうだ。
 そこで、当面は、次のようにする。
 「設置するのは、民間滑走路1本のみ。軍事転用はできるようにするが、軍事施設は設置しない。ただの民間用の滑走路とするだけだ」
……(
 これなら中国も文句は言えまい。

 なお、実施時期は、日中関係が険悪となったときがいい。たとえば、こうだ。
  ・ 中国が香港・ウイグル問題で強硬策を採り続ける。
  ・ 中国が南シナ海で攻勢を取り続ける。
  ・ 中国が尖閣諸島に漁船で圧力をかける。

 こういうことが起こったときに、それならこっちもやるぞ、という感じで、上記の方針()を取ればいい。

 ※ ただしその前に、日本は中国に非難声明を出しておく必要がある。上の三点について。
 ※ ちょっと言い方が曖昧だが、中国が図に乗っている今こそ、日本は対抗措置を取るべきだ、ということ。(しかもそれは、ただの民間空港の整備であるにすぎない。)
 ※ 与那国島には、現在も滑走路はあるが、長さ 2000メートルである。ボーイング737 は飛べるが、爆撃機や戦闘爆撃機が飛び立つには足りない。軍事的な効果を持つためには、 3000メートル以上が必要だ。

 ロシア


 ロシアへの対応は、上の「中国」の場合と同様の発想でよさそうだ。
 ただ、ロシアとは近年、国交断絶に近い状態が続いていて、国交関係はほとんど何もないようなので、特に何もしなくてもいいだろう。
 何かをするとしたら、独裁者プーチンのあとでのことだ。それまでは、時間が流れるのを、ひたすら待つだけでよさそうだ。



 [ 付記1 ]
 本校の全体を簡単にまとめれば、こうだろう。
 「敵基地攻撃能力というと、ミサイルのことばかりが話題になるが、ミサイルの攻撃力などはたかが知れているので意味がない。それよりは爆撃能力を備えるべきだ。それこそが敵の最も恐れるものだからだ」
 と言える。ただし、能力を備えるからといって、それをすぐに行使する必要はない。
 軍事力の最大の意味は、それを使うことではなくて、「使えるぞ」と見せかけながら、実際には使わないことである。実際に使ってしまうと、こちらも大損害を受けるので、そういうことは最大限、避けるべきなのである。
 そして、避けるためにこそ、「使ったらすごいことになるぞ」と見せかけるわけだ。(ただし張り子の虎であってはならない。)

 [ 付記2 ]
 ついでだが、「尖閣諸島に滑走路を作る」という案もある。
 ただし、これは特に考えなくていいだろう。理由は下記。
 (1) メリットがない。中国本土からの距離は、尖閣諸島も与那国島も、同じぐらいだからだ。(尖閣諸島の方が中国に近い印象があるが、そうではないのだ。)
 (2) 多大なデメリットがある。島が小さすぎて、滑走路を作る場所がない、ということだ。これじゃ、話にならないね。

 [ 付記3 ]
 新たに安倍首相が「敵基地攻撃能力」を言い出した。任期の終わる前に、最後に一仕事したいらしい。
  → 首相、在任中に敵基地攻撃方向性 与党幹部へ伝達、9月前半NSC | 共同通信

 「やめる首相が何を言っているんだ」と不評らしい。
 この件は、私としては、特に論評しない。



posted by 管理人 at 23:05| Comment(1) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 敵基地攻撃能力を備えると、その攻撃基地(ミサイル基地)が、敵にとって最重要の攻撃目標となる。敵は何としてもここを第1に破壊する必要が生じる。(さもないと自軍の攻撃能力が壊滅するからだ。)

 そうすると、敵は日本の民間施設(たとえば原発)を攻撃目標としなくなる。そのことで日本の原発への被害をなくす(減らす)ことができる。これぞ最善の原発防御策だ。

 ……という話を、すでに別項で記述済みである。
  → http://openblog.seesaa.net/article/476875998.html

  これの最後の方の (2) の箇所。

Posted by 管理人 at 2020年09月08日 21:11
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