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これは肝を冷やす事故なので、夏の怪談みたいに、神経が涼しくなる感じがした。怖いよね。
横浜市金沢区の旧米軍施設「小柴貯油施設」の跡地で、土砂の仮置き作業をしていた男性作業員が、使っていた重機ごと行方不明になった事故で、横浜市消防局は28日夕、直径約45メートル、深さ約30メートルの貯油タンク内で男性を発見した。男性は現場で死亡が確認された。市消防局は重機ごとタンク内に転落したとみている。
タンクには鉄やコンクリート製のふたがあり、上部を土が覆っていたが、一部が崩れ落ちていた。
( → 米軍跡地の転落事故、男性の遺体発見 重機の操縦室から:朝日新聞 )
土の上で普通に作業していたら、突然、足元の地面が陥没して、一気に奈落の底へ転落。逃げ出す暇もなく、重機もろとも溺死。
「助けてくれえ〜! あ、あ、あ、くるし……」
と言いながら死んでいく。恐ろしい。
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どうしてこんなことが起こったのか、不思議に思っていたが、30日の朝日新聞・地方版に情報があった。横浜市はこの地下タンクの存在を認識していて、このタンクの上を除いた場所で作業するように指定したという。ところが、作業員はそれを知らなかった。担当した会社は、孫請けの会社だったから、情報が伝わらなかったらしい。
一方、横浜市が地下タンクの存在をきちんと伝えていたかも疑わしい。存在を教えないまま、「この上には来るな・近づくな」と言っただけなのかも。
それを聞いた会社は、「単なる伝達情報の一つ」とだけ捉えて、簡単に連絡していたら、孫請けまでの途上で、情報がこぼれ落ちた……ということはありえそうだ。
結局、原因は「危機意識の欠落」だったことにある。非常に大きな危険性があるにもかかわらず、横浜市も、受注会社も、下請け会社も、いずれも危険性を軽視していた。そのせいで、最終的なしわ寄せは、作業員に集中した。
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では、対策は?
まずは、関係者の全員を、業務上過失致死罪で起訴するべきだろう。
さらに言えば、横浜市(などの自治体)のマニュアルを全部書き換えるように、国交省が業務改善指導通知を出すべきだ。
「大きな危険性がある場合には、きちんと連絡すること。証拠文書を残して、担当者に署名捺印させること。失念した場合には、業務上過失致死罪に処せられるかもしれないと注記しておくこと」
こういう改善措置が必要だ。さもないと、作業員の幽霊が出て、「うらめしや〜」と呪いをかけるぞ。