2020年08月28日

◆ フサンとアビガンの治験をせよ

 コロナの重症者の治療法のために、フサンの治験を行うべきだ。さらに、アビガンの(新方式の)治験も行うべきだ。いずれも対比試験(盲検試験)で。

 ──

 本項の目的は、コロナの重症者の治験だ。ここでは特に重症者に話が限られていることに注意。(これまでの治験は、軽症者を含む治験なので、そういうのとは別の話題となる。)

 フサンの治験


 フサンについては、前項で説明した。特に、最後で述べたことから、肺血栓塞栓症(肺塞栓症)に有効であることが見込まれる。そこで、この点での治療効果に着目して、新たな治験を実施するべきだ。
 先に東大がやったのは、「11例中10例で有効」という効果が出たものであるから、たったの 11例しかなかったことになる。これでは(数が少なすぎて)治験としては成立しない。もっと数を増やして実施するべきだ。さらに、プラセボ患者を使って、対比試験(盲検試験)の形で実施するべきだ。

  ※ フサンを使うことは、原則としては実施されていないので、対比試験をしたとしても、患者にとって特に不利益はない。

 ──

 なお、似て非なる試験はされるらしい。前項から再掲すると、こうだ。
 ナファモスタットをめぐっては、先発医薬品「フサン」の製造販売元である日医工に、第一三共、東京大、理化学研究所を加えた4者が、共同で吸入製剤の開発に着手。7月から非臨床試験を始め、来年3月までの臨床試験開始を目指しています。
( → 新型コロナウイルス 治療薬・ワクチンの開発動向まとめ【COVID-19】(8月21日UPDATE) | AnswersNews

 ナファモスタット(商品名フサン)について、「吸入製剤」を使った非臨床試験と臨床試験がなされるようだ。
 しかし、これは妥当ではない、と私は考える。
 前項で述べたように、フサンは血栓症に有効であると考えられる。とすれば、この薬は血管内で有効なのだから、血管に注射する方法(静脈注射)でこそ、有効になるはずなのだ。
 吸入製剤を使うというのは、肺の細胞の表面に吸収させるということで、これは、インフルエンザ薬でも使われる方法だ。肺にあるウイルスを無効化するためであれば、その方法もいいだろう。しかしフサンは、肺にあるウイルスを無効化する薬ではなく、血栓症を抑止する薬だ。だとすれば、吸入製剤を使うというのは、お門違いの方法となる。
 吸入製剤を使うというのは、たぶん、「サイトカインストームを抑止するため」という目的によるのだろう。しかしこれは、フサンの効果を誤認していることから来る方法だ、と私は考える。フサンの効果は、サイトカインストームを抑止することではなく、血栓症を抑止することだ。そこを誤認するから、「吸入製剤」という発想が出てくるのだ。これは、方法を根本的に間違えている。

 一般に、吸入製剤では、薬剤の濃度は低くなる。静脈注射ならば、薬剤の濃度は濃くすることができる。ならば、濃度を高めるという意味でも、静脈注射の方が好ましいのだ。

 以上のことから、私としてはこう提案する。
 「フサンの治験を実施する。対象は重症者。方法は静脈注射。目的は血栓症の抑止」

 こういう形の治験を提案する。もちろん、対比試験(盲検試験)の形である。

 アビガンの治験(重症者)


 アビガンについても、治験をすることを提案したい。特に、重症者向けの治験だ。
 そういうと、反論が来るだろう。
 「アビガンの治験はすでになされた。藤田医大の治験でも、バングラデシュやインドの治験でも、重症者を含めて実施した」
 というふうに。
 なるほど、それはそうだ。しかし、藤田医大の治験を精査したところ、そこには「重症者向けの治験」が十分になされていないと判明した。
 つまり、一応はなされているのだが、十分にはなされていないのだ。不十分なのだ。
 ではどこが不十分かというと、次のことだ。
 「重症者向けの治験では、途中でアビガンの投与が打ち切られている」

 つまり、ここでは、アビガンは途中までは使われているが、途中からは使われなくなっている。なぜか? アビガンの投与は、標準の方法で、10日間だけと規定されているからだ。その 10日間がすぎれば、もはやアビガンは投与されなくなる。

 とすると、「アビガンあり」と「アビガンなし」で比較がなされているのではなく、「アビガンなし」と「アビガンなし」で比較がなされているのだ。
 そのどちらでもアビガンが使われていないのだから、「アビガンが使われたことの効果」はまったくわからないわけだ。

 ※ 藤田医大の治験の報告書では、患者の半分が軽症者・中等症で、半分が重症者。アビガンの投与日数は平均で 11日。軽症者には 10日間の投与。とすると、重症者には 12日間の投与があったことになる。つまり、13日目以後には投与されていない。1カ月後まで経過を観察しているので、13日目から30日目まではアビガン非投与であったことになる。

 そこで私は新たに提案する。
 「コロナの重症者については、12日間の投与をする群と、30日間(まで)の投与をする群とに分ける。
 途中で軽快すれば、その時点で投与を打ち切っていい。途中で軽快しなければ、(最大で)30日目まで投与し続ける」

 この方法ならば、「重症者にアビガンを投与し続けた場合の効果」が判明する。

 ──

 ついでだが、レムデシビルでは、(重症者の場合)「5日間投与と 10日間投与で差がなかった」と報告されている。
 ギリアドのSIMPLE-Severe試験では、重症患者に本剤を5日間投与したところ、10日間投与した場合と同様の臨床的改善が認められることが明らかにされました。
( → ギリアド・公式 PDF

 一方で、「アビガンとフサン」の場合には、「 10日以上の継続投与で大幅な改善」があると報告されている。(投与日数の中央値は 14日間)
 なお、アビガンの使用量は、標準の倍量を使っているようだ。
 ともあれ、その結果として、「平均16日で人工呼吸器が不要となった」ということだ。
  → 重症COVID-19患者に対する「フサン」と「アビガン」の併用療法 8割以上が軽快しICU退室という結果に

 なお、上のグラフでは、死亡患者は7日間で死亡したとされる。その分、投与日数は少なくなっているはずだ。死亡者の分で、平均投与日数が減っているので、生存者では、投与日数は治療期間の全域(16日)に渡っているのかもしれない。詳細は不明だが。


posted by 管理人 at 21:00| Comment(0) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
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