2020年08月28日

◆ スバルとホンダの自動運転

 スバルとホンダが自動運転技術を開発した。日産のプロパイロットに追いつこうとしている。

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 スバルのアイサイトX


 スバルは新型レヴォーグを発売したが、そこに搭載されるアイサイトX は、ステレオカメラ方式としては 20年ぶりに機構を一新した。また、自動ブレーキだけでなく、自動運転技術も採用した。
 詳細は下記。
  → スバル、高速道路の渋滞で手放し運転できる「アイサイトX」を公開 新型レヴォーグの先行予約開始で - ITmedia NEWS

 部品は、これまでは自社と日立による国産品だったが、新型は(外国の)他社製となった。カメラも画像装置もそうだ。
  → 「アイサイトX」は渋滞時ハンズオフに対応! 停止・発進の繰り返しもスイッチ操作なしで可能に【スバル新型レヴォーグ詳密解説】

 もっと詳しい話は、自動車雑誌の「ドライバー」に掲載されている。それによると、こうだ。
 価格は 35万円である。ハンズフリーの自動運転が実現するのに、日産のプロパイロット(スカイライン)よりも大幅に安い。「これはすごい」……と思いかけたが、じっくり読むと、そうではなかった。

 この自動運転は、一般道は不可で、高速道路のみだ。しかも、時速 50km以下だ。「高速道路で、時速 50km以下とは、これいかに?」と思ったが、要するに、次の二通りだけだ。
  ・ インターチェンジ付近
  ・ 高速道路上で渋滞時

 この二点だけだ。つまり、用途はきわめて限定的だ。一般的な走行の 99%以上は対象外となる。(唖然)

 ──

 私の評価を言おう。
 時速 50km以下とはいえ、ハンズフリーを実現したのは素晴らしい。技術的にはとても立派だ。時速 50km と 時速 100km とで、技術的な差はあまり大きくないから、技術的には非常に立派だと言える。特に、35万円という格安の価格で実現できたのは素晴らしい。技術的には「とても良い」と言える。
 しかしながら実用面では、「使い物にならない」というしかない。「高速道路上で渋滞時」だと? そんなことのために自動運転装置など、まったく必要ない。単にアクセルとブレーキだけで、「渋滞のオートクルーズ」があるだけで十分だ。(ハンドル操作は不要だ。渋滞しているんだから。)
 オートクルーズで済むところを「自動運転」なんかにしているんだから、馬鹿げているとしか言いようがない。いったい、何を考えているんだか。
 
 結局、技術的には素晴らしいし、素性もいいのだが、商売下手すぎる。せっかくの技術が、宝の持ち腐れだ。大事な点が一つ抜けているせいで、すべてが無駄になる。

 ──

 では、どうするべきか? 「大事な点が一つ抜けている」と言ったのだから、その「大事な点」を付け足せばいい。それはつまり、「時速 50km まで」を「時速 120km まで」に引き上げればいい。それなら、高速道路で自動運転が可能だから、立派に実用品となる。そのために、価格が 100万円ぐらいまで上がるとしても、受け入れ可能だろう。

 さて。「時速 50km まで」を「時速 120km まで」に引き上げるには、どうすればいいか? もちろん、技術的な精度を上げればいい。
 日産のプロパイロットでは、カメラを「遠・中・近」の3通りに対応していたが、スバルのアイサイトX では、ステレオカメラ1式(カメラ2個)があるだけだ。
 しかも今回の アイサイトX では、従来品が「遠」だけに絞っていたのに対して、1つで「遠・中・近」の3通りに対応できるように、広角カメラにしたそうだ。
 しかし、広角カメラにすると、遠くの方の解像度が落ちてしまう。解像度が落ちる分は、画像センサーの精細度を上げることで対処したようだが、それでも十分ではあるまい。だからこそ、高速度には対応できなくなってしまったようだ。

 これを解決するには、やはり、「遠」に対応する専用のカメラ(望遠カメラ)が必要だろう。
 しかし、望遠カメラを使うと、ステレオカメラの装置がもう一つ必要となるので、装置の価格が倍増する。それはコストアップ要因となるので、まずい。困った。どうする?

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 「画像センサーを上下に二分割する。すると、非常に横長のものが二つできる。この二つのうち、上半分を遠距離専用として、下半分を近距離専用とする。こうして1台の画像センサーで、遠距離と近距離を兼用できる。だから、コストアップ要因にならない」

 この方法だと、画像センサーは1台で済む。
 レンズは(当然ながら)遠距離用途近距離用の二つが必要だが、レンズだけなら、たいして高価格にはならない。(スマホ用の大量生産品を転用すればいい。)
 画像が干渉しないためには、上半分と下半分とを仕切るような仕切り板を用意して、両方を空間的に分離すればいいだろう。

 ともあれ、こうすれば、「非常に横長のステレオカメラ」が二つできる。これによって近距離と遠距離をともに測定することができるので、時速 100km の高速にも対応できるようになる。
 原則的には、次のようにする。
  ・ 市街地では、近距離・低速用のステレオカメラで。
  ・ 高速道では、遠距離・高速用のステレオカメラで。


 高速道路では、カーブを曲がるときに、道路の先の方が右に移ったり、左に移ったりする。すると、画像センサーの右側を使ったり、左側を使ったりする。そういうふうに、使う部分が変わるが、それはまあ、当然のことだ。(全領域を無駄なく使う、ということ。直進時には、中央部分だけを使うが、常にそうだとは限らない、ということ。)
 
 こうして、低めのコストで、高速の自動運転にも対応できるようになるだろう。

 ──

 《 オマケ 》
 雑誌「ドライバー」によると、スバルのアイサイトX では、準天頂衛星による誤差は、たったの 数cm だという。一方、日産のアリアはそれが 50cm だという。スバルの方は、発売が1年も早いのに、技術的には1桁上の精度を誇る。その意味で、準天頂衛星を利用する技術は、スバルの方が高い。立派だ。日産は、焦って、冷や汗をかくといいよ。

 ホンダの自動運転


 ホンダは日本では他社に先駆けて、「レベル3」の自動運転社を年内に発売すると発表した。
  ホンダは 20年中に高級車「レジェンド」でレベル3の自動運転車を投入する。国内では初の投入となる見込み。高速道路での限定された条件下で、ドライバーが視線をそらした状態で運転をシステムに任せられるアイズオフ技術を確立している。
( → 自動運転「レベル3」の量販車投入へ、でもドイツに比べ倫理規定は遅れているぞ!|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

 「これはすごい」と思ったが、よく調べると、そうはないようだ。
 ホンダは、2019年の技術説明会にて、一定の条件付きで自動運転が可能にする「レベル3」を採用した車を2020年に実用化することを発表している。
 内容としては、高速道路の渋滞時にて前を向いていなくてもハンズフリーの状態で、車が車間調整等をとると思われる。
 つまり、2020年には渋滞時の高速道路上などの一定条件はあるもののレベル3を搭載した車を発売するということを意味する。
( → ホンダのレジェンドが2020年にマイナーチェンジか!自動運転技術で巻き返しなるか

 「人間がいちいち目で運転確認しなくてもいい」という意味では「レベル3」ではあるが、できる範囲内は「高速道路の渋滞時」に限られるそうだ。
 これでは、アイサイトX が使い物にならないのと同様である。こんなことができても、ほとんど意味がない。いったい、何をやるつもりなんだか。呆れる。
 こんなことをやって、「レベル3」と主張するなんて、羊頭狗肉・誇大宣伝も甚だしい。こんなものは「自動運転」というよりは「自動渋滞運転」とでも言うべきものだ。その実用性は、昔からあるオートクルーズとほとんど違いはない。馬鹿げている。
 ホンダには「頭を冷やして出直してこい」と言いたくなるね。水をぶっかけてやりたくなる。

 ──

 ちなみに、日産のプロパイロットは、1年前の時点で、すでに高速道路の自動運転を実現している。








 人間が前を向いている必要があるとはいえ、まさしく自動運転が実現している。この動画を見て、ホンダは頭を冷やすべきだろう。頭を剃った方がいいね。

 
posted by 管理人 at 23:00| Comment(11) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>>「画像センサーを上下に二分割する。すると、非常に横長のものが二つできる。この二つのうち、上半分を遠距離専用として、下半分を近距離専用とする。こうして1台の画像センサーで、遠距離と近距離を兼用できる。だから、コストアップ要因にならない」

下半分は前方10〜20m程度しか映らなくなりますし、上半分の望遠領域は平行ステレオカメラの設定次第ですが、測距できる範囲がほとんどなくなりますが。
Posted by 細波 at 2020年08月28日 23:40
> 下半分は前方10〜20m程度しか映らなくなります

 以前のアイサイトなら、そうでしょう。
 しかし新版のアイサイトX では、左右の画角が2倍ぐらいにふくらんでいるから、上下の画角も2倍ぐらいにふくらんでいます。それを半分にしても、元の画角を保てる。
 さらに言えば、画像センサーを(長方形でなく)スクエア型にすることで、上下方向には大幅に画角アップをすることも可能。

 上半分についても同様。もともと倍になっているんだから、それを半分にしても、元の画角を保てる。
 画像センサーが、今は4K や 8K に対応しているから、大幅に高密度化している。
Posted by 管理人 at 2020年08月28日 23:45
>> 以前のアイサイトなら、そうでしょう。
 しかし新版のアイサイトX では、左右の画角が2倍ぐらいにふくらんでいるから、上下の画角も2倍ぐらいにふくらんでいます。

そのレベルのセンサー使うなら素直にカメラ増やしたほうが安いですよ。

>> 画像センサーが、今は4K や 8K に対応しているから、大幅に高密度化している

4K8Kの画像処理を車載レベルでリアルタイムにやると言っているのですか?
いったいどんなプロセッサを使うのですか?
Posted by 細波 at 2020年08月28日 23:57
> そのレベルのセンサー使うなら

 今のセンサーですでに実現していますよ。20年たって、画角を2倍にしたが、その間に高精細化は2倍以上に進んでいる。

> どんなプロセッサ

 20年前に比べて、4倍以上の演算能力があるプロセッサならば可能でしょ。

> リアルタイムにやる

 リアルタイムにやる必要があるのは、単眼カメラ方式。ステレオカメラ方式は、リアルタイムにやる必要はない。1秒3コマでも足りる。単眼カメラ方式の 10分の1ぐらいのコマ数で足りる。

 ──

 そもそも今の アイサイトX は、左右の画角が大幅に広がったことに対応して、上下の画角も大幅に広がったが、その上下の部分は、使われずに、単に黒塗りされているだけだ。
 その無駄な黒塗り部分を有効利用する、というだけの話だ。新たに特別なコストが発生するわけじゃない。(一部を除く。)
Posted by 管理人 at 2020年08月29日 00:15
>>リアルタイムにやる必要があるのは、単眼カメラ方式。ステレオカメラ方式は、リアルタイムにやる必要はない。1秒3コマでも足りる。単眼カメラ方式の 10分の1ぐらいのコマ数で足りる。

時速120キロ走行時にこの処理速度では間に合いませんよ。
さすがにこの時間解像度では縦方向の加減速制御にも支障が出ます。
ちなみに横方向のステアリング制御には数十ms程度の時間解像度が求められます。
Posted by 細波 at 2020年08月29日 09:39
 車は急には動けないんだから、0.3秒以下の変動は、外挿による推定でも間に合う。

 ただし、間に合うとしても、現実にはプロセッサの方で余裕がたっぷりだから、実際には1秒 10〜20コマぐらいでやっているのかもね。
 必要性はなくとも、過剰な性能を持っていたとしても、悪くはない。

 ※ なお、0.3秒で間に合わなかったら、人間は自動車を運転できません。反応の遅れは 0.3秒ぐらいはあるのがザラだ。1秒遅れることもある。
Posted by 管理人 at 2020年08月29日 09:55
外挿するにしても、1秒3コマなんだから推定精度が甘々ですよ。

>>なお、0.3秒で間に合わなかったら、人間は自動車を運転できません

一発判定で誤検出しまくりなのを、OKとするならば、できなくはないかもしれませんね。
たぶん認証通らないですが。
Posted by 細波 at 2020年08月29日 10:07
それに横方向制御に数百msも余裕はないですよ。
すぐ白線をはみ出してしまいます。
Posted by 細波 at 2020年08月29日 10:08
 だから、「実際には1秒 10〜20コマぐらいでやっている」と書いてあるでしょ。
 「たとえ……でも」という仮定の話にこだわるなかれ。

 ──

 実は、カラーをモノクロに変えるだけで、画像センサーの横解像度が3倍になる。だから、ハイビジョン(2K)の画像センサーを使っても、4K と 8K の中間となる高精細さを得ることができる。
 1秒 20コマぐらいは、余裕でこなせる。
 
Posted by 管理人 at 2020年08月29日 10:52
>>「実際には1秒 10〜20コマぐらいでやっている」

実際はもっと早いです。
20コマなんて自動車制御では使い物にならないですよ。

>> カラーをモノクロに変えるだけで、画像センサーの横解像度が3倍になる

ピクセルとセンサー素子密度を混同していませんか?


Posted by 細波 at 2020年08月29日 12:09
>>※ なお、0.3秒で間に合わなかったら、人間は自動車を運転できません。反応の遅れは 0.3秒ぐらいはあるのがザラだ。

人間の目の時間解像度は3フレーム毎秒なんでしょうか?
Posted by 細波 at 2020年08月29日 12:10
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