問題を解決するとき、一時的に後退してから、一挙に大幅に前進する、という方法がある。
──
通常、前に進もうとするときは、一歩ずつ着実に進むのが常道だ。勉強であれ、仕事であれ、スポーツの練習であれ、そういうふうに「一歩ずつ」というのが常道だ。
普通はそういう常道の方法でいい。だが、稀に、その方法では解決できない難問にぶつかることがある。一歩ずつ最短距離で解決に向かうのだが、どうしても目標点に到達しない。
そういう場合には、別の方法で解決することがある。それは、こうだ。
「一時的に後退してから、一挙に大幅に前進する」
比喩的に言えば、こうだ。
目の前に、幅3メートルの川がある。そこを渡ろうとするのだが、橋がないので、水中を歩くしかない。しかし、水深は2メートル以上あり、川の流れは速い。渡ろうとして飛び込んだ人は、次々と川に流されてしまって、一人も川を渡れない。
そこで、別の方法を取った人がいた。いったん 10メートルほど後退したあとで、助走を付けてから、ジャンプしたのである。すると、川を飛び越えることができた。ここでは、次の方法が取られた。
「一時的に後退してから、一挙に大幅に前進する」
──
似たことは、思考法でも得られる。その具体的な例を、前々項と前項で示した。(それぞれ項末で示している。)
→ 王位戦・第4局(2020年): Open ブログ
→ モーリシャスの油汚染: Open ブログ
事例を見ればわかるように、そのいずれも、
「一時的に後退してから、一挙に大幅に前進する」
という発想法が取られている。
そこで、このような方法を一括して、「一時逆行型の思考法」と命名しよう。あるいは、単に「一時逆行型」と呼んでもいい。
同様の事例は、世の中に多く見出されるはずだ。そして、それらはたいてい、「難問」に分類されるはずだ。なぜなら、「一歩ずつ着実に前進する」という普通の方法では、解決できないことが多いからである。
( ※ ついでだが、「三歩進んで 二歩下がる」というのは、また別の話である。つまり、関係ない。)
[ 付記 ]
実は、進化論においても、同様の対比が成立する。
・ ダーウィン説 …… 「一歩ずつ着実に前進する」という発想
・ クラス進化論 …… 一時逆行型の発想
前者では、「小進化が蓄積して大進化になる」というふうに発想する。ここで、小進化はいずれも「小さなプラス」をもたらすような進化だ。
後者では、「不利な変異が、淘汰されないままいくつか残っていて、それらが蓄積して組み合わさると、例外的に、大進化になることもある」というふうに発想する。ここで、不利な変異はいずれも「小さなマイナス」をもたらすような変異だ。そして、それらがいくつか組み合わさると、たまたま有利になることがある。
(ポーカーで弱いカードの組み合わせが強い力をもつようなもの。フォーカードとかフラッシュとかストレートとか。)
2020年08月23日
過去ログ
@一折りずつ順を追って形を作っていく折り方。
Aあらかじめ全ての折り目をつけておいて、最後に一気に形を作る折り方。
@の折り方しか知らない人から見たら、Aは最後までしわのついた一枚の色紙にしか見えなくて、仕事が全然進んでいないように見える。けれども、全ての折り目がついた後は数秒で鶴の形に組み上がって、折り目がずれにくい分、@よりも早くきれいに完成する。
しかし現実の社会では、@の人がAの仕事の進め方を理解できずに(進捗が滞っているように見えて)、低く評価したり、自分の流儀に変えさせたりすることが多々あるんですよね〜