──
この件については、第一報を聞いたときから、不審に思っていた。大型タンカーが座礁するということは、普通はありえないからだ。なぜなら、大型で座礁しやすいがゆえに、浅瀬や陸地に近づくことはありえなからだ。こんな陸地の近くにまで来るということは、タンカーの側に全面的な非があると思っていた。よほどの愚行をしていたことになる。
ただ、どうして愚行をしていたのかが不明だった。それがとうとう判明した。
船員「ワッツアップ利用で島に接近」、モーリシャス座礁
— 朝日新聞デジタル編集部 (@asahicom) August 22, 2020
https://t.co/2Vf2Znv4z2
船員たちは「島に近づいたのはインターネット接続をして(メッセージアプリの)ワッツアップを利用するためだった」と供述。事故前に船員の誕生日会を開いていたとも話しているといいます。 pic.twitter.com/4TzACEXlzP
そういうわけだったのか。呆れる。
朝日の天声人語にも言及が見られる。
遠洋漁業の船員たちは、何カ月も自分の国を離れて暮らす。何よりの楽しみは家族や友人から届く手紙だという。
▼船員たちはまずさらさらと読んだ後、自室でゆっくりと読み返す。手紙や写真だけでなく、子どもが百点を取った答案、家族の会話を録音したカセットテープなども送られてくる。1980年代の風景である。
▼スマホ全盛の現代にあっても、電波の届かない海上は隔絶された世界に違いない。だからだろうか、〜
( → (天声人語)モーリシャスの座礁:朝日新聞 )
これ以後、「事故はネット接続のため」という話につながる。
──
さて。それはさておき。
こういう愚行の結果は、とんでもない被害だった。
マングローブが重油まみれ、回復に30年? 貨物船座礁
— 朝日新聞デジタル編集部 (@asahicom) August 22, 2020
https://t.co/Ih37DBi7kF
モーリシャスで起きた貨物船の座礁で、約千トンの重油が流出しました。マングローブ林の油の回収も難航しています。環境団体は、生態系などの回復に30年前後はかかるとみています。 pic.twitter.com/bwLaSWP1S8
次の写真もある。
→ 朝日新聞 (画像)
大変な惨事だとわかる。
──
では、このあとどうするか? 対策としては、手作業で重油を除去するしかないらしい。
隊員の1人は「根が複雑なのでポンプで吸い取るのも難しい。植物相手なので、高圧洗浄機や薬剤の使用も難しいのではないか。手作業が中心になるだろう」と話した。
( → マングローブが重油まみれ、回復に30年? 貨物船座礁:朝日新聞 )
何とかうまい方法はないかと考えて、吸着剤を使うという方法も示された。
→ “油だけを吸い取る”日本製の吸着材 モーリシャスの現場へ | NHK
→ “下町ロケット”がモーリシャス救う! 大田区12人の会社が重油流出に吸着材を無償提供
→ Google 検索
しかし、原油の量があまりにも多大であるがゆえに、多少の吸着剤を使うだけでは、とうてい足りないようだ。多勢に無勢というか、焼け石に水というか。
このままでは、環境汚染が解決しない。
マングローブ林が大きな被害を受けた。複雑に重なる根の部分にこびりついた油の除去は難しく、回収時期は見通せていない。
環境団体は生態系などの回復に30年前後はかかるとみている。
( → マングローブが重油まみれ、回復に30年? 貨物船座礁:朝日新聞 )
30年もかかるのでは、ほとんど「半永久的」とさえ感じられるほどの長さだ。あまりにも長期的に環境が破壊状態となる。それではまずい。
困った。どうする?
──
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「汚染物だけを除去するのでなく、あまり汚染されていないマングローブもひっくるめて、一帯をすべて除去すればいい。そうして更地にしたあとで、新たに植林する形で、環境を再生すればいい」
これならば大幅に手間と費用を削減できる。環境保護論者からは「環境破壊なのでとんでもない」と怒られそうだが、大丈夫。
・ 環境はすでに破壊されている。元の環境は残っていない。
・ 地域外の周辺部は汚染されていない。そこから植生を移植すればいい。
このようにして被害を最小化できる。コストと手間も最小化できる。
被害を最小にするには、(いったん人為的に)被害を最大化すればいいのだ。
──
なお、具体的な手法としては、次の二通りが考えられる。
・ 現場のマングローブをブルドーザーなどで伐採する。
(手作業の伐採や解体も併用する。)
・ 現場の重油に灯油をかけて、燃やし尽くす。
(延焼に注意する必要があるが。)
私としては、後者がお勧めだ。ただし燃やすと、延焼の危険性があり、難度が高いので、注意が必要だ。
──
では、どう注意するか? とりあえず提案すると、こうだ。次の措置を取るといい。
「延焼を防ぐために、ところどころに防火帯(延焼防止帯)を設置する。そこではあらかじめ可燃物を除去しておく。その除去には、重機を用いてもいいし、手作業でもいい。あるいは、非常に注意深く小規模で燃やしてもいい」
たとえば、5メートル四方ぐらいの燃焼ならば、火が燃え広がりかけても、まわりから大量の水をホースで振りかけることで、火が燃え広がるのをすぐに抑止できる。そういうふうに小規模で少しずつ燃やすことで、小規模な防火帯を拡大していくことができる。
そうやって防火帯を拡大していったら、防火帯の間の区域も燃やすことができる。
以上のことを、「小 → 中 → 大」というふうに徐々に拡大することで、小さな防火帯から、大きな防火帯へと、拡大していくことができる。最終的には、全域を防火帯にする形で、一切の可燃物を除去することができる。
こうして、「一切の可燃物を除去する」という形で、重油と植物のすべてを燃やし尽くすことができる。あとは、うまく植生を再生させればいい。
──
なお、ざっと調べたところ、対象領域は、あまり広範ではないようだ。海岸線の近くの、狭い帯域だけらしい。海岸から数メートルぐらいだけかもしれない。これだと、処理は比較的簡単かも。
※ どちらかというと、浅瀬に沈んだ重油汚染物の方が、処理が大変かも。(それも採取してから燃やせばよさそうだが。)
※ 二つに分裂した船体については、片方を沈没させるという案が出ているが、環境汚染が危惧されて、反対されている。これもやはり、火を付けて燃やしてしまうのがよさそうだ。海上ならば、延焼の危険も少ない。
[ 付記 ]
「被害を最小にするには、いったん被害を最大化すればいいのだ」
と述べた。
これは実は、藤井聡太が将棋で勝つ方法にそっくりだ。つまり、「いったん目先の損を甘受することで、長期的には勝利にたどり着く」という方法だ。
将棋の弱い人は、これができないが、将棋の強い人は、これができる。「銀を取らせるように誘い込んだ上で、王手飛車をかける」というふうに。
モーリシャスの油汚染の対策も、同じようにすればいいのだ。
【 関連項目 】
→ 王位戦・第4局(2020年): Open ブログ
※ この項目の最後で、藤井聡太の方法と、本項との類似点を示している。